![dummy](http://img.yakkun.com/dummy.gif)
ポケモン不思議のダンジョン 革命隊
第4話 マドレーの貴族
著 : ハルナツ・シュートウ
ご覧になるには、最新版の「Adobe Flash Player」が必要です。 また、JavaScriptを有効にしてください。
ブラン、サブレ、マリルリの三匹はマドレーを目指し洞窟を歩いている。時々野生のポケモンが襲い掛かってくるが、まだ敵もあまり強くはないので苦戦はしなかった。洞窟をさくさく進んでいると前方に光が見える。
「あれは洞窟の出口だね。やっと出られるよ」
三匹は歩く速度を速める。洞窟から出ると、ずっと洞窟内にいたからか太陽の光が眩しかった。
三匹は暫く日光浴をした後、マドレーへの草原を歩き始める。始めは草が深く歩きにくい道だったが、マドレーが近くなるにつれ、だいぶ歩きやすくなった。これも街が近いからだろうか。そう思いながら歩いていると前方にマドレーの入り口が見えてきた。
「まずマドレーに入ったら住人にユクシーの居場所を聞き出しましょう。良いわね?」
マリルリはそう二匹に言いマドレーの中へ入る。すると早速住人を発見。サブレは住人にユクシーの居場所を訊き始める。その住人は優しく返答してくれた。
「ユクシー様の居場所? ああ、君達観光者かい。ユクシー様なら街の奥のお屋敷にいらっしゃるよ」
ユクシー様? 様付けとは、ここの一般市民は貴族に対して不満を抱いていないのだろうか?とりあえず一人だけの情報では断定できないので、ほかの住人にも話を聞いてみることにした。
「ユクシー様はこの街のために尽くしてくれる立派な方です」
「ユクシー様はとても優しいお方だよ。それに比べてミルヒライの貴族達ときたら……」
するとこんな返答ばかり返ってきた。貴族は悪いイメージの方しかいないと思っていたが、そうじゃない貴族もいるんだなァ。少なくともユクシーには悪いイメージはない。こんなに街の住人に信頼されているのだから。そんな話を聞いているうちにブラン一つ提案を出した。
「ユクシーは侯爵クラスと交流が取れる伯爵クラスの貴族なんでしょう。いいイメージもあるし、レジスタンスに協力してもらおうよ」
ブランの提案に二匹は賛同。なぜなら伯爵クラスの貴族を仲間にすれば後々有利になるからである。だが一つ問題が残る。伯爵クラスである貴族がサブレ達、一般市民とまともに会話をしてくれるのだろうか? するとサブレ達の会話が聞こえたのか、一匹の住人が三匹に近づいた。
「君達ユクシー様に会いたいのかい? ユクシー様ならどんな方とでも会話をしてくださるよ」
貴族は一般市民の相手なんてしてくれないと思っていたが、ユクシーは住民の声に耳を傾けて、街を良くしていこうと考えているらしい。ユクシーとはそんな貴族なんだそうだ。話ができると分った途端サブレはブラン達二匹を連れ、ユクシーの屋敷へと足を運んだ。三匹は挨拶をして屋敷の中へと足を踏み入れた。すると前方から執事と思われるハッサムが出迎えてくれた。
「失礼、御用はなんですか?」
「ユクシー様と会話をさせていただけないでしょうか。街の住人にユクシー様はどんな方とでも話をしてくださると聞いたので」
「ユクシー様との御対話ですか。少々お待ちください」
ハッサムはそういい三匹の持ち物検査を始める。物騒なものを所持している輩を貴族に合わせないためだ。
武器を所持していないことを確認すると、ハッサムは三匹をユクシーへの対面の許可を出してくれた。
「それでは少々お待ちください」
ハッサムはそういい残し、屋敷の奥へと姿を消した。約五分後、準備が出来たのか、ハッサムは走りで三匹の前に戻ってきた。ブラン達はハッサムに案内され、屋敷の奥の一室に案内される。
「こちらです。どうぞ」
三匹はその部屋の中へ。その部屋には大きなテーブルが。そしてテーブルの上にはブラン達へのお持て成しか、人数分の飲み物が用意されていた。
するとテーブルの奥に一匹のポケモンが座っていた。黄色いベレー帽のような頭に小さい体、ユクシー伯爵だ。三匹はユクシーを見るなり驚いた。何故ならユクシーはまだ幼い少年だったのだ。
「今日はわざわざどうも有り難う。少ないですがお持て成しもしました。どうぞ召し上がってください」
しかし言葉遣いはとても丁寧だ。三匹は言われるままに飲み物を召し上がる。ひと段落するとサブレは単刀直入に今日来た目的を話した。
「ボク達は反政府運動を行っている革命隊(レジスタンス)です。侯爵クラスと交流が取れる伯爵である貴方の力が必要なんです。協力してくれないでしょうか」
ユクシーは最後までじっくりと話しを聞いてくれた。しかし、残念なことにユクシーはそれをあっさりと断った。ブラン達は断るワケを尋ねた。ユクシーはすんなり答えてくれた
いくら伯爵クラスとはいえ、政府に反抗を見せればそれだけで反逆と見なされ、街への食料、薬の配給を止められる恐れがあるからだ。それにマドレーは政府へ毎月決まった税金を納めている。住人はユクシーのおかげで苦はないらしい。多少政府への不満は持っているが、そこまで苦はないからか気にしてないらしい。ブランは悔しいが納得してしまった。
「街の住民達を危険にさらすわけにはいかないんです。力になれなくてすいません」
もう無理だろうとブランとマリルリは諦めて席を外そうとするが、サブレは食い下がる。なんとしてでもユクシーを仲間にしたいらしい。
「今動かないといつまでたってもこの問題は解決しないんだ。お前達貴族が動き出さないからッ……」
その途端、ユクシーはサブレの言い放った一言を聞いて表情を厳しくさせサブレに視線を合わせる。そしてテーブルに手を置き話し始めた。
「君達が政府を倒そうという想いを、バトルを通じて私に教えてくれないでしょうか?」
!? 突然ユクシーが誘ってきたのはバトルだった。ユクシーと和解するにはバトルで勝利するしかないのか。ブランの頬に一滴の汗が流れる……
2007.10.9 22:06:02 公開
2007.10.13 11:31:11 修正
■ コメント (0)
コメントは、まだありません。