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ポケモン不思議のダンジョン 革命隊

第14話 フォルムチェンジ

著 : ハルナツ・シュートウ

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 ミルヒライ城のとある一室……ブラン達はその部屋で地下へと通ずる階段を発見した

「ウム、これがそうか。侯爵達の言った通りだな」

 時は数分前に遡(さかのぼ)る。ブラン達がレジギガスを撃破後、侯爵達を捕らえている最中だ。レジギガスが倒され希望がなくなり諦めたのか、六匹の侯爵達は全く抵抗せずお縄についた。そんな時だ。侯爵の中の一匹のギラティナが突然口を開いた。


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「お前達公爵様を追うのだろう? だったらいい事を教えてやろう。公爵様は隠し階段から通ずる城の地下に潜む『政府直下生物研究ラボ』に身を潜めていらっしゃる」

 ギラティナの暴露に一同は驚き。隊長はすぐさまギラティナに隠し階段の場所を吐かせると、レジスタンスの皆を連れ、城の中へ突入するように声をあげる。そんな時……

「ククク、お前らは公爵様の餌食となる。せいぜいもがき苦しむがいい」

 ギラティナは怪しく笑み、レジスタンス達を見つめる。隊長はそんな言葉にも動揺せず、城へと突入の合図を上げた。負傷したフーディンと縛られた侯爵達を見張る数名のレジスタンスを残して……


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 静かに階段を下りて行くレジスタンスのポケモン達。暫くすると階段の終わりが見えてきた。

「これはッ」

 ブランはそこにあるものを見て思わずそう発した。城の地下にあったのは、まるで人間世界のような設備が整っていた研究施設だった。

「この技術は一体……まるで人間世界とほぼ同じレベルの技術だ」

 元人間であるブランにとっては、ポケモンの大陸に人間世界のほぼ同レベルの技術が整っていることに驚いた。

「これらの設備は恐らく……デオキシス公爵の発明だろう。奴の頭脳は政府で随一と言われていたが、まさかこれほどとは」

 研究所の設備を拝見し静かに話し始めるエンテイ伯爵。その事実にブランはつばを飲む。デオキシス――奴の科学力は、既に人間レベルかそれ以上に到達していたなんて……ブランがそう考え事をしている途端

「そんな事はどうでもいいよ! 早くデオキシスの奴を探そうよ」

 サブレはブラン達にそう叫ぶと、一匹先へと走って行く。

「そうだったな、すまない。早くデオキシスの所まで行こうか」

 そう言いながら、ブランはサブレ達の方へと向かった。



 それからブラン達は、ラボの通路をひたすら歩き続ける。偶に部屋を見かけるが、中には研究機材などが置かれているだけでデオキシスの姿はない。一向に進展のない状態だ。そんな時、通路を歩いていると突然広いフロアへと辿り着いた。

「エンテイ伯爵、ここは一体なんでしょうか?」

 隊長はあたりを見渡しながら、エンテイ伯爵に問いかけた。

「ウーム、分からぬ。このフロアに特に意味がないようならさっさと先に進むべきだな」

 フロアより先に通ずる出口を指差しながらエンテイ伯爵はそう言う。するとッ

(殺気ッ!!)

 隊長は突然フロアの上空から殺気を感じ、とっさに上空に目をやったすると。

「死ねい、レジスタンスゥ」

 フロアの上空から突然レジロック、レジアイス、レジスチルの三匹がレジスタンス達めがけ空中から攻撃を発動。

「さ、させんーッ!!」

 ネイティオは三匹の攻撃を妨害すべく光の壁をレジスタンスとレジロック等三匹の間に作り出した。レジロック等の攻撃を遮るように作り出された光の壁は、レジスタンス達を見事に守りレジロック等三匹を弾き飛ばした。

「……すまない隊長」

「ブラン、礼なら後で言えるぞ。それよりあいつ等は何だ?」

 隊長等は突然現れた三匹のポケモンを見て疑問に思っている。

「……お前は……レジアイスッ! 僕の嘗ての村の統治者だったレジアイスじゃないか!!」

 少し間をおいて、サブレはそう発した。

「んんー? お前はサブレじゃないかぁ、久しぶりだねぇ」

 サブレの存在に気がついたレジアイスは、サブレに歩み寄る。

「何が久しぶりだよ!! 僕の村の統治を放棄して行方不明になったくせに、そんな事いえる場面かよ!!」

 サブレは声を険しくして、レジアイスを睨み付ける。

「私はなーあんなド田舎の統治に飽きちまったんだよぉ。だから統治者を辞めて、ここのラボの警備員として働いているってわけさぁ」

「ふざけるな! 飽きたから僕の村の統治をやめた? そんないい加減な理由で統治者が居なくなったばっかりに僕の村はッ……もうお前なんていらない、ここで……」

 サブレの故郷を侮辱するように話すレジアイス。サブレは起こった様子になり反論。サブレは少しの間レジアイスを睨み付けると、攻撃態勢に出た。

「……やめろ、サブレ」

 それを見かねた隊長は、突然サブレを制止する。

「なぜ止めるんですか、隊長!?」

「お前達がこんな所で傷を負う必要はなかろう。ここは俺達が受け持つ。ブラン、サブレ、マリルリ、ユクシー伯爵、エムリット伯爵、ガブリアス。先に進んでデオキシスを打ち倒せ!!」

 そう言うと、隊長とエンテイ伯爵、その他のレジスタンス達はレジロック等三匹へと向かっていく。

「た、隊長……」

 サブレは脱力したような表情で隊長の名を呟く。

「行こうよ。これは隊長サンからアタシ達に化せられた使命みたいなもの。アタシ達がやらなくてどうするの? ずっとここで隊長サンを見守っているつもり?」

 エムリットはサブレの肩をポンとたたくと、静かにそう言った。

「………わかったよ。いこう皆」

 サブレは少し間をおき、先へ進むことを決意。六匹はデオキシスを追い、ラボの最深部へと向かう……


 暫く歩いていると、急にラボの雰囲気が一変したようなフロアに辿り着いた。壁などがまるで宮殿のような造りだ……

「あの先か……?」

 ガブリアスが先を指差してそう呟く。その先にあるのは、馬鹿でかい扉。いかにもこの先にデオキシスが居るというような雰囲気だ。六匹はすぐさまその扉の前へと向かう。

「……ふぅ、それじゃあ開けるぞ」

 ブランは扉の前に立つと一息つき、扉に手をかけ、巨大な扉を押した。扉はギィィと音を立てながら静かに開いて行く……

「……これはッ!?」

 一同はその部屋に入るなり驚きの表情を浮かべた。部屋の中にはシリンダーのようなものが無造作に置かれている。その幾つかのシリンダーにはよく分からない生き物が浮かんでいる。そして何より気になったのが、部屋の中央に置かれている、巨大な赤いシリンダー。

「よく来たな、諸君」

「ッ!!」

 一同が中央の巨大なシリンダーに見とれていると、そのシリンダーの付近から突然声が聞こえてきた。声の主は紛れもなくデオキシスのものだ。ブラン達六匹はデオキシスの方へと駆け寄る。

「フン、ここまでこれた者は六匹か。まあレジロック共を振り切れたことだけは褒めてや――」

「そんな事はどうでもいいです。今の貴方には抵抗する力は残っていません。諦めて降伏してください」

 ユクシーはデオキシスの言葉を遮り、降伏を求めた。

「降伏? 私は降伏などしない。それに抵抗する力はまだ残っているぞ?」

「何だと!? そんなもの何処に?」

 ガブリスがそう問いかけると、デオキシスは体の形状を変化させていった。デオキシスの腕や膝、頭が鋭くなっていく。ブラン一同はただただその光景を見て唖然とするばかり……暫くしてデオキシスの体の形状変化が終わると、デオキシスは静かに顔をブラン達の方へと向けた。

「政府の最終戦力……それは私自身だッ!!フォルムチェンジ『アタックフォルム』……いくぞ愚民共ッ」

 威圧するデオキシス。そのすさまじい威圧感の所為か、ブラン達に一筋の電撃のようなものが走った――

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2008.1.29  22:08:32    公開
2008.2.1  08:16:40    修正


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