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ポケモン不思議のダンジョン 革命隊

第13話 いざミルヒライへ

著 : ハルナツ・シュートウ

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 翌日、目を覚ましたブラン、サブレの二匹は身支度を始める。

「よし、準備完了だよ。ブランは準備できた?」

「ああバッチリだ。さあ早く外に出ようか。皆が待っているはずだ」

 二匹は会話を交わしながら準備を行っている。そして準備を終えた二匹は扉を開け、皆が待つアジト入り口へと走って行く。そこではもう既に何匹かのメンバー達が待っている状態だった。そんな時、その中にいたエムリットとガブリアスがこちらの存在に気がつき駆け寄る。

「おはよー皆。昨夜は良く眠れた? アタシは良く眠れたわ。ガブリアスをとことん脅してから寝たからね」

「……あ、ああよく眠れたよ。エムリット達も元気そうでなによりだ」

 ……昨夜エムリット達の部屋では何があったんだ? なにやら呆れ顔のブラン。

「それにしてもまだあまりメンバー集まってないようね。もう数分すれば皆集まってくるだろうけど」

 エムリットは辺りのレジスタンスメンバーを見渡しながらそう呟いた。


 それから数分後、アジトの中のメンバーが、アジトの入り口に全員集結。整列したメンバーの前にエンテイが立ち朝礼を始める。

「諸君、本日はいよいよ決戦の日だ。もう我々に後は無い……なんとしてでもデオキシスを打ち倒すんだ!」

 エンテイがそう宣言した後、レジスタンスのメンバー達は大いに叫んだ。皆やる気は満々のようだ。

「それでは皆の衆、行くぞ!」

 エンテイは皆に掛け声を上げると、ミルヒライ目指し走り出す。ブラン達も取り残されないようにエンテイの後を追い全速力でミルヒライへと走っていった。そして数十分走った後に、ブラン達はミルヒライ城下町に到着。

「ハァ、ハァ……やっと着いたね……」

「ああ! だが目的地は城下町じゃないだろうに。さっさと城へと突っ走るぞ」

 城下町に到着したことで喜びを見せるサブレに対し、静かに突っ込むガブリアス。ブラン達は城下町は無視して、町の中央に聳え立つミルヒライ城を目指し走り出す。城下町入り口からミルヒライ城まで結構遠い……。皆はそんな城下町をひたすら走り続ける。そしてそんな状況を城から一匹の兵士、エルレイドが目撃していた。

「奴らがッ……まずいなあ。公爵殿に報告せねば」

 エルレイドは慌てるようにデオキシス公爵に現状を伝えに走っていく。そしてその現状を知らされたデオキシス公爵は緊急会議を行う為に、迅速に侯爵達の召集を行った。会議室にデオキシス公爵と、六匹の侯爵達が集まった。そして六匹の侯爵達は慌しく話し合いを始める。流石にここまで迫られて来ては政府とてどうしようもないのだろう。そんな中、一匹の兵士が慌てて会議室のドアを開けて入ってきた。

「ほ、報告します。メレンゲを味方につけたワッフルは勢力を上げ、現在ここミルヒライ城へと向かってきております」

「お前達は兵士だろう。何としてでも食い止めるんだ。分かったな」

 兵士はデオキシス公爵にそう言われ、逃げるように会議室から出て行った。そしてとうとう侯爵達はざわめき同様を見せ始める。

「公爵、どうしましょう? 兵士などでは奴らを食い止めることは出来ないと思うんですけど」

 六匹の内の一匹、パルキア侯爵が不安そうな表情でデオキシス公爵に訴えかける。しかしそんな状況でもデオキシス公爵には焦りや動揺が見られない……冷静沈着な様子である。

「心配無用だ。こういうときの為にレジギガス子爵がいるのではないか」

 デオキシス公爵は余裕のこもった声でそう言う。すると侯爵達は安心したように、一息つく。なぜならレジギガスの戦闘力は計り知れなく、一度レジスタンスを追い詰めた実績を持つからである。侯爵達は、まだ自分達に希望があると分かった途端に歓喜の声をあげ騒ぎ出す。話が終わるとデオキシス公爵は立ち上がり、そんな侯爵達を横切って部屋の扉を静かに開けた。

「私は万が一に備え、あそこへ非難する。此処は君達に任せよう。無理はするなよ」

「ご心配なく公爵! レジギガスがいれば私たちは無敵!」

「……クク。そうか」

 デオキシス公爵は侯爵達とそう会話を交わすと、不適に微笑みながら部屋を後にした。ミルヒライ城の通路――叫びあう侯爵達を他所に公爵はどこかへと歩いていく。


「ククク、レジスタンス共。私に逆らった事を後悔させてやろうじゃないか」

 一方、ミルヒライ城下町――丁度その頃そこではブラン達が、襲い来るポリゴンや兵士のエルレイドを撃退しながら進撃している最中だった。

「ハァ……やたらと攻撃が激しいな」

「ウム、だがそれだけ奴らも追い詰められているという証拠だ」

 レジスタンス達の群集の中間辺りで隊長とエンテイ伯爵がそう会話を交わす。そして群集の先陣を切っているのは、ブランやサブレ達といった今まで活躍してくれたメンバー達。先陣は、進撃の際もっとも敵と接触する機会が多い危険な位置だが、今まで活躍してくれたブラン達には、兵士など大した相手ではなかった。どんどん兵士達を押しのけ城へと進行していく……。

「ム、あれは……」

 隊長はあるものが目に入り、思わずそう発する。そのあるものとは、城の門だ。レジスタンスは上街を突破し、ミルヒライ城の門前まで辿り着いたのだ。

「門だ!よし皆飛び込むぞ!」

 ネイティオ隊長が後ろを振り向き、大声で皆にそう伝える。だがその時、

「城ヘノシンニュウハミトメラレナイ」

 突如謎の声がブラン達の耳に響く。そして次の瞬間、ブラン達が目指していたミルヒライ城の門が突然内側から何者かの手によって破壊された。辺りに煙を上げ、破壊された門の木片がブラン達の周辺に飛び散る。突然のことでレジスタンス達は足を止める。

「い、一体何事だ?」

「急に門がぶっ壊れたぞ……」

 突然の出来事でレジスタンス達はざわめく。すると煙の中から巨大なポケモンが姿を現した。ブラン達はそのポケモンの姿を見て驚愕する。何故ならそのポケモンの正体は、一度自分達を敗北に追いやったレジギガスだったから。

「ま、またコイツ……なの」

 サブレが絶望的な表情を浮かべていると、何者かが城の中からレジスタンス達を嘲笑いながら姿を現す。それは、六匹の侯爵達だった。

「ハッハッハァ! 残念だが、レジギガスのお出ましだ。コイツはお前達を一度追い詰めた実績がある。お前達は此処で死ぬのだ!!」

 六匹の一匹、レックウザはレジギガスの戦闘能力を賞賛するようにそう言う。それはブラン達も認めざるおえない事である。何故なら自分達は一度レジギガスの戦闘能力を実際にその身に焼き付けられているからである。

「よくもここまで我らの邪魔を。貴様らに制裁を下してやる」

「レジギガス、こいつら全員皆殺しだ!!」

 侯爵達は高らかに指示を言い渡した。レジギガスはゴゴゴと唸りながらブラン達に襲い掛かる。そんな状況でエムリットはレジギガスを冷静に観察している。すると、

「わかったわ。レジギガスはノーマルタイプよ! フーディン、あれをやってあげなさい」

 相手がノーマルタイプだと分かると、エムリットは振り向きフーディンに声をかける。

「かしこまりました、エムリット様」

 フーディンはエムリットに一礼すると、レジギガスの目の前まで接近し、『ノーマルタイプ』の弱点である『格闘タイプ』技の気合い球を顔面に打ち込む。強力な一撃を食らわされたレジギガスはたまらずドシィンと音を立て、仰向けに倒される。

「よし、チャンスだ!皆で一斉攻撃を仕掛けよう」

 ブランは、レジギガスが倒れた隙を突いて、皆で一斉攻撃を仕掛けようと提案する。勿論皆は賛成してくれて、倒れているレジギガスに対し総攻撃を開始した。そんな時、侯爵達はレジギガスに冷たく声をかけた。

「オイ、ギガス! さっさと立ち上がれ! お前がやられりゃ俺たちまで危害が及ぶだろう」

「さっさと立ってこいつらを皆殺しにしろ」

「……ぎ、ギョイ」

 ブラン達の総攻撃の中、レジギガスは苦しそうに立ち上がる。それを見て一部のレジスタンス達は怖気づいて後退してしまった。しかしブラン達は勇気を振り絞りその場にとどまる。

「フーディン! また気合い球ぁ」

「承知、エムリット様」

 今度こそトドメをさすようにと、エムリットはフーディンに命令口調でそう発する。再びレジギガスの目の前まで接近して気合い球を掌に作り出す――その時、

「コレイジョウノ攻撃ハ ミトメレラレナイ」

 フーディンが気合い球を掌に作り出している最中にレジギガスが攻撃態勢にッ! フーディンは一瞬にしてレジギガスの大きな手に包み込まれ、そのまま『握りつぶす』を発動されあえなく沈んでしまった。そして気を失ったフーディンはエムリットの近くに投げ飛ばされる。

「あーあ、フーディンがやられちゃった。他に気合い球繰り出せる者はいるかな……」 

 フーディンが倒され、エムリットは他に格闘技を使える者がいないか後ろのメンバー達に問いかけようとした――その時サーナイトがエムリットを掴み、ギガスの前まで投げ飛ばす。

「な、何するのサーナイトさん」

 行き成り前触れもなくレジギガスの前まで飛ばされたので、エムリットは驚きサーナイトの方を向き催促。

「エムリット様、偶には自分で闘うことも大事ですよ。それでは生きて帰ってきてくださいね」

 何を考えているのか? サーナイトはエムリットに対し満面の笑みでそう言いはなった。

「そ、そんな! まるで生きて帰れないようなこと言わないでよ」

 そんなエムリットとサーナイトの会話の最中、エムリットの背後でレジギガスがゴゴゴと不気味に唸る。エムリットは悲鳴を上げ、急いでブラン達の後ろに非難する

「ワッフルのレジスタンス達ぃ、頼んだわよ」

「エムリット様、そんな逃げ腰ではいけませんよ」

 サーナイトはそんなエムリットを見て呆れるばかり。そんな会話をしている間に、レジギガスは『思念の頭突き』の構えに入る。ブランは『思念の頭突き』が来ると知って冷や汗をたらす。

「あ、あれは……皆、一斉に攻撃して奴を跳ね返すんだ」

 ブランは振り向き皆に一斉攻撃をするよう指示を言い渡す。それを聞いたブラン周辺のレジスタンスメンバーは一列に並んだ。

「……よし。それじゃあ奴が向かって来たら一斉攻撃を開始する」

 みんなの準備を確認し、構えに入るブラン達。

「シネンノズツキ!!」

 レジギガスは助走をつけ、その巨体で一列に並んだメンバーに身を投げてきた。攻撃範囲は凄まじく広く、完全に避ける術なし。

「よし、一斉攻撃開始!」

 ブランの上げた一声で、一列に並んだメンバー達はレジギガスに対し遠距離による一斉攻撃を開始。始めは五分五分と言ったところだったが、徐々にレジギガスの勢いが衰えていき、最終的にはメンバー達の攻撃が勝りレジギガスを打ち倒した。

「コレ……イジョウノ戦闘ハ ミトメラレ……ナイ……」

 ブラン達に打ち倒されたレジギガスは、立ち上がろうとせず、最後にそう呟いて気を失った。自分達の最後の希望であるレジギガスが目の前で倒された六匹の侯爵は口を開けながら、唖然としている……。レジギガスが負けるなんて想定してなかったんだろう。一方ブラン達はそんな侯爵達を他所に、大いに喜びはしゃいでいる。

「やったわね、ブラン。やっと奴に借りを返せたってモノだわ」

 マリルリが大喜びしながらブランに駆け寄った。借り――借りといえば確かに借りだな。ブラン達は一度レジギガスに負けているし、ブランは今回レジギガスを打ち倒せたことを大いに喜んだ。

「でもまだ終わりじゃない」

 マリルリはそう言うと急に表情を曇らせて、ミルヒライ城を見つめる。

「デオキシス、まだアイツが残っている。急ぎましょうブラン」

「……ああ!」

 ブランはマリルリに返答すると、もう一度ミルヒライ城を見上げた。なぜか今日はミルヒライ城がいつもより大きく見えた……

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2007.11.16  22:46:43    公開
2007.11.17  21:36:40    修正


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