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ポケモン不思議のダンジョン 革命隊

第11話 湿原の木の実

著 : ハルナツ・シュートウ

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「それにしても君達危なかったねー。そんな君達を助けたアタシって救世主? メシア・エムリット!なんてねっ」

 突然自分を救世主と名乗りだすエムリット。サブレとマリルリの二匹は呆れた目で見ている。そんな時エムリットはユクシーの存在に気がつき、近くまで寄って話しかけた。

「ユクシーじゃない。貴方がこんな所で何をしているの?」

「私はワッフルのレジスタンスとして活動しているんですよ」

 自分がレジスタンスに加入したことをエムリットに話すユクシー。それを聞いてエムリットはかすかに笑った。そんなエムリットをサブレは疑問を持った目で見ている。

「あ、忘れるところでした。私達は貴方に用があってメレンゲに向かってたんですけど、話を聞いてくれますか?」

 突然自分達の使命を思い出し、ユクシーは慌ててエムリットに用件を話す。

「話? こんな所で立ち話もなんだから、私の屋敷で話を聞かせてよ」

 道端で立ち話は好きじゃないのか、エムリットはサブレ達を屋敷へ行くことを推奨する。エムリットの返答を聞いてメレンゲへと歩き出すサブレ達。するとエムリットは何故かサブレとマリルリの足を止めた。

「ハイ、ストップ! 君達はそこに倒れている侯爵をメレンゲまで担いでちょうだい」

 そういってエムリットは倒れているルギア侯爵を指差した。当然マリルリは突然の荷物運びを任されて抗議する。

「な、なんで私達が? そもそもルギアの遺体を運んでどうするのよ」

「死んでいないわ、急所ははずしておいたからね。分かったら運んで、運んで!」

 口のうまいエムリットの前ではマリルリの反論など、風の前の塵に同じだった。マリルリはしぶしぶサブレと一緒にルギアをメレンゲまで担ぐことになる。正直大型のルギアを担いでメレンゲまで歩くのはサブレとマリルリにとって苦痛だった。それから暫く道を歩いていると、賑わう声が聞こえてきた。そう、メレンゲに辿り着いたのだ。街に着いた途端、近くにいた住民が帰還してきたエムリットに駆け寄って話しかける。

「お帰りなさいませ、エムリット様」

「お帰り。後、今日は侯爵を捕らえたから牢に入れておいて」

「畏まりました」

 サブレ達は担いでいたるギアを住民に差し渡すと、エムリットと一緒に屋敷へと向かった。屋敷に着くと、奥から執事のサーナイトが出迎えてくれた。

「お帰りなさいませエムリット様。一体どちらまで……まさかッまた何処かへ遊びに言ったんじゃねェだろうな?」

 サーナイトの強い眼差しに圧倒されエムリットは思わず実を震わせる。

「ち、違うわよ。いつもみたいに散歩してただけよ」

「……そうだったんですか。所でそちらの方は?」

 エムリットの後ろにいたサブレ達が気になったサーナイトは問いかけた。

「ただのお客サマよ。客間で話し合いをするから、お客サマにお持て成しをしてあげて」

 サーナイトは静かに頷くと、キッチンへと早々と向かう。サブレ達も話し合いを始めるために客間へ……。客間に着くと三匹は、エムリットのテーブル越しに座った。

「さあ、ユクシー。話って一体何……」

 話し合いが始まったと思いきや、行き成りドアがガチャっと開きサーナイトがオレンの実が乗った皿を持って入ってきた。サーナイトはそれぞれ三匹の前にオレンの実を配っていった。だが何故かエムリットには配らなかった。エムリットは思わず不満の声をあげる。

「ち、ちょっとサーナイトさん。アタシには無いの?」

「それがですね、丁度オレンの実の在庫が三個しか残ってなかったんですよぉ。エムリット様は我慢してください」

 そう言ってサーナイトはエムリットをバカにしたように笑いながら部屋を出て行った。

「んもぉ、しょうがないわね。ユクシー、早く話したいことはなしてよ」

 エムリットは不機嫌そうな声でそう言った。

「今、政府は政府側にとって不都合な情報を握っているワッフルレジスタンスを全力で潰そうとしています。こちらも対抗したい所ですが、政府にレジギガスという強敵がいまして現在のワッフルでは太刀打ちできないのです。ですからメレンゲのレジスタンスの協力を得るためにここへ来たのです。協力してくれませんか」

「イヤ」

 ……即答で断られてしまった。

「なんでですか?」

「だって、そんな勢力の弱い革命隊と手を組みたくないんだもん。足を引っ張られるくらいなら居ないほうがいいよ」

 やはり過去に断られた所為もあって簡単には協力してくれないようだ。そんな時、サブレが立ち上がりエムリットを睨みつけた。

「昔隊長がエムリットさんに協力を求めてきたときは弱かったかもしれないけど、今のワッフルは皆実力を上げているはずだよ」

 サブレはさらエムリットに協力を求めるが、今度は無言でサブレの相手をしないエムリット。

「どうすれば私達の実力を認めてくれますか?」

 そんなエムリットを見てユクシーはそう尋ねる。するとエムリットはアーモンド湿原へ行って来て『木の実』をとって来てとサブレに頼んだ。今はエムリットの頼みごとに付き合っている暇は無い。マリルリは腹が立ちエムリットを怒鳴った。

「いい加減にしなさいよ! 協力するつもりがないだけならまだしも、『木の実をとってこい』だなんて私たちを使いっぱしりに使うつもり?」

「なによ! アーモンド湿原に生息するポケモンは強暴だから、そこから木の実をとってこれたら貴方達の実力を認めてあげようと思ったのにッ!!」

 マリルリに怒鳴られたエムリットは不満げに頬を膨らませそっぽ向いてしまった。しかしこれでアーモンド湿原から『木の実』をとって帰ってくれば実力を認められると分かった。サブレはエムリットに挨拶すると、三匹は屋敷を出て行った。そんな三匹をエムリットは窓から心配そうに見つめていた。すると、サーナイトがエムリットの背後から突然声を掛けた。エムリットは、突然現われたサーナイトに驚いて振り返った。

「そんなに心配なら見に行けばいいのでは」

「し、心配なんかしてないわよ! あんな奴らどうせ返り討ちにあって帰ってくるわ」

 サーナイトに図星を突かれたのか、頬を赤くするエムリット。一方その頃、サブレ達三匹はメレンゲ湿原にあるというアーモンド湿原へと足を踏み入れていた。皆は生息するポケモンを見て、主に毒、草タイプポケモンの住処だと察した。

「草タイプのダンジョンか。ボクには少し不利かな」

「私も、水タイプだから草はちょっと……」

「そうですか。じゃあ私が先頭に立ちます。皆さん着いてきてください」

 サブレもマリルリも水タイプ。故に二匹の苦手な草タイプの生息するアーモンド湿原を攻略するのは厄介だと判断したユクシーは自分から先陣を切って進むことを宣言した。

 それから何十分か時間が経った頃のエムリット屋敷――エムリットは部屋で椅子に座って三匹の帰りを待っていた。

「ユクシー達、なかなか帰ってこないわねえ……」

「エムリット様、やはりあの三匹が心配なのですね」

「ひゃあっサーナイトさん!!」

 エムリットはため息をつきながら三匹の帰りを待っていた。そんな時突然現われたサーナイトに驚いて飛び上がる。

「別に心配なんかしてないわよ。何回も言わせないでよ」

「……!!いい加減心配してるって事ォ認めろォォ!!」

 なかなか素直にならないエムリット。そんなエムリットに腹が立ったのかサーナイトは大声で怒鳴り散らした。

「ひゃああっ。ごめんなさい、サーナイトさん」

 サーナイトの怒鳴り声で涙目のエムリットは思わず蹲る。すると、屋敷の扉が開く音がした。帰ってきたのか!? そう思ったエムリットは玄関へと駆けて行った。玄関まで行くとそこには木の実を持ったサブレとマリルリ、ユクシーが立っていた。

「……これでしょう。確かに木の実を届けたよ」

 サブレは木の実をやさしくエムリットに手渡した。受け取った気の実をさっそく召し上がるエムリット。とても美味しかったのか、エムリットは満面の笑みを見せ喜んだ。

「木の実を持ってきたんだから協力してくれますよね」

 マリルリは木の実を食べているエムリットに問いかけた。するとエムリットは改まったような表情でサブレ達の方を向いた。

「あの湿原に挑んで帰ってこれるなんて並の実力じゃない……。ワッフルもあれからかなり実力を上げたようね。分かったわ、貴方達に協力してあげる」

 エムリットは微笑みワッフルへの協力を示した。サブレとマリルリは歓喜の声を上げ、ユクシーはエムリットと握手を交わす。

「エムリット、貴方ならきっと協力してくれると思ってましたよ」

「倒す敵が共通だから協力するだけよ。勘違いしないでよね」

 ユクシーはエムリットの様子を見て、静かに微笑む……

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2007.11.3  18:24:35    公開
2007.11.17  22:07:59    修正


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