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ポケモン不思議のダンジョン 革命隊
第7話 集結
著 : ハルナツ・シュートウ
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カシュー峠を突破したブラン達一行は草原を歩きアロスを目指していた。
「ユクシーさん、アロスはまだですかね?」
「もう少しですよ。ほら、前方に見えてきましたよ」
そう雑談しているうちにアロスが前方に見えてきた。隊長は四匹に歩く速度を上げるようにいい、アロスへと走っていく。
ブランはアロスを始めてみて驚いた。ワッフルやマドレーとは違って規模がとても大きいのである。さすがミルヒライ周辺で三番目に栄えている街だけのことはある。手始めに街を見渡してみると、中央にとても大きなお屋敷が聳え立っていた。いかにも貴族が住んでいるって感じだ。
「多分あの屋敷にエンテイ伯爵が住んでいるんだろう。行ってみよう皆」
ブランの掛け声で皆は町の中央に聳え立つお屋敷へと歩み始めた。門の前まで来ると隊長は静かにドアをノック。中から執事のブースターが出迎えてくれる。
「失礼ですが何方でしょうか?」
「マドレーのユクシーです。エンテイ伯爵と面会をしたいのですがよろしいでしょうか」
「これはこれはユクシー殿でしたか。遠いところわざわざ申し訳ない。それではエンテイ伯爵殿のお部屋まで案内しますぞ」
五匹はブースターに連れられ、大きなお屋敷の中へと足を踏み入れた。中はとても広く、シャンデリアまで吊るされていかにも貴族の御殿って感じである。そして皆は二階のエンテイの部屋の前まで案内された。ブースターが部屋のドアを静かにノックする。
「エンテイ公爵殿、マドレーのユクシー殿がお見えです」
「ウム、通してくれ」
部屋の中から男の声が聞こると、ブースターは静かにドアを開け、五匹を部屋の中へと案内した。部屋に入りユクシーはエンテイに一通りの挨拶をすると、反政府運動の件について話し始めた。ユクシーはエンテイに今までのレジスタンスの成果と、これからの活動をエンテイに話した上で協力を依頼した。
「……というわけです。我々に協力をお願いしたいのですが」
「ウム、無論協力するつもりだ。伯爵クラスが私一匹では頼りなかったが、ユクシー殿と手を組めば大いに有利になる。さっそく皆に報告せねば」
エンテイはそう言い、各地の反政府運動に加担している一般市民を屋敷に集結させるため連絡を取った。それから約三十分後、屋敷には大勢の一般市民たちが駆けつけてきてくれた。あまりの多さにブラン達は驚きを隠せなかった。しかも中には子爵、男爵といった貴族達も少数確認できた。これはいまの政府に不満を持っている貴族が存在しているという証拠でもある。
するとサブレは加担者の一般市民の中に、嘗ての友達であったヒノアラシを発見する。サブレは思わず駆け寄って話しかけた。
「サブレじゃないか。久しぶりだなー、元気だったか」
「まあね。ヒノアラシも元気そうだね。村から親を探しに出て行ったきり全然あってないから懐かしいよ」
なるほど。会話から察するにこのヒノアラシ、ピスタ洞窟でサブレが話した故郷の友達の一人らしい。まさかこんなところで嘗ての友達にあえるなんて、サブレもさぞ嬉しかろう。懐かしそうにヒノアラシと会話をしている。するとその時……
「そうだ。お前、村の大人達のあの後を知っているか?」
ヒノアラシは突然村の大人達の話を持ち出してきた。勿論サブレは親のあの後は知らない。首を横に振り、否定をする。
「そうか、じゃあ聞くんだ。これから話すことは全て本当のことだ」
ヒノアラシはそう前置きをし、村の大人達の真相を話し始めた。ブラン達は黙って話を聞いている。
約五年前、ヒノアラシは親を探すと村から出て行ってさ迷っていると、知らない内にミルヒライに来ていたのだ。ここが親達が訪れたというミルヒライだな。そう感づいたヒノアラシは親の行方を探るべくミルヒライに潜入を開始。そしてそこで偶々ヒノアラシは見てしまったのだ。ミルヒライ城の庭に大量に積み上げられている村の大人達の遺体を。
「な、なんで……こんなッ」
余りの衝撃に硬直していると、近くにいたミルヒライの騎士がその遺体の処分を始めたのだ。その悲惨な状況を目撃してしまったヒノアラシはショックの余り声が出ない。すると……
「フン、間抜けな奴らだ。デオキシス公爵様に抗議などせず税金を納めてりゃあ、こんな惨めなフィナーレにはならなかったってのによォ」
突然その騎士はとんでもない事実を呟き始めたのだ。ヒノアラシはそこで初めて親達が政府の手によって処刑されたことを知る。その一言でヒノアラシの怒りに火がつき、拳を震わせながらその騎士を睨んだ。怒りに身を任せミルヒライ城に突撃してやろうと思った。しかしヒノアラシ一匹が突撃した所で何にもならないことくらいヒノアラシ自身が自覚している。ヒノアラシは自分は無力だと嘆きながら、涙を呑みその場を後にした……
その後、ヒノアラシはアロス周辺で途方にくれていた所アロスの住人に保護され、街の道具屋でバイトをするという条件付で部屋を借り生活をして今に至っている。サブレ同様、このヒノアラシも結構苦労したんだな。ブランはそういう目でヒノアラシを見つめた。するとサブレの様子がおかしい……急に身を振るわせ始めている……
「そんな……それじゃあボク達の親は政府に……クソッ政府めェェ―――ッ」
真実を知った途端、サブレは今までにない怒りを覚えた。
「ブラン、絶対に政府を倒そう」
「ああ、とりあえずこの件をエンテイ伯爵に報告しようか」
五匹は急いでエンテイ伯爵の部屋へと行き、政府の市民殺しの件を報告した。それを聞いたエンテイはたいそう驚いた。まだこの件を聞かされていなかったようだ。
「その話が本当なら、こちらはとても有利になる。政府は罪のない住民を殺した事になるんだからな」
エンテイ伯爵は政府に不都合なネタを手に入れ、早速ミルヒライで議会をするよう五匹に宣言。五匹もこの件を反政府運動の皆に使えるべく、皆を会議室へと集めた。数分後、待合室で待っていた加担者の皆は会議室へと移動。全員が会議室へと集まった事を確認すると、エンテイ伯爵は明日の議会について話し合いを始めた。その話は晩まで続き、そして……皆の意見が一致。議会は明日、ミルヒライで行う事に決定。
「こちらには政府を打ち負かす証拠、すなわち武器がある。それ故に敗北はありえん。皆の衆、決戦の日は近いぞ」
「オー!」
皆は意気投合し、決戦の日へと臨んだ……
2007.10.19 22:20:53 公開
2007.11.17 22:19:20 修正
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