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生あるものの生きる世界

著編者 : 森羅

68.sideユウト 夜中の散歩[メリッサ]

著 : 森羅

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・・・・・・・・。

・・・泣いている・・?

誰が?

・・・・わからない。

わからないが、泣いている。誰かが、何かに対して。

寂しい?・・・違う。悲しい?

あぁ。そうか。悲しいんだ。

「・・・き!なぁ!どうし・・だ!置いて・・・いでくれ!」

「もう、十分。・・・こんな悲し・・は」

泣き叫ぶ、声。
それと静かな、声。
痛々しいほどに反響する。
そして、

【お前は、こうなるな】

確実にオレに向けて言われた言葉。

こうなるな?何が?

答えは・・・。

ガリッ!

「ってぇーー!」

寝るときは夢に引きずり込まれたが、起きる時は夢から引きずり出された。
辺りは真の闇。真夜中らしい。
浮かび上がるのは黄色い輪のような模様。一瞬だけ気味の悪さにたじろく。
引っかかれた頬に血は出ていない。

「・・・夜月か」
《だいせーかーい!なぁなぁ!出かけよーぜ》

夜中、光源がほとんどなくても夜月が笑顔だとわかる。
それでどれだけ笑顔かわかる。・・・・わかりたくねぇが。

・・・・・・。

オレは、無視した。
無視してもう一度布団にもぐりこむ。
が、
それを夜月が許すはずがなかった。

スルリと鮮やかなスピードでオレが掴むよりも速く布団を奪い取る。

《もう十分寝ただろー?》

夜月の言葉にオレは心中で猛烈に反論する。
それは、お前だ!
オレはまだ6、7時間しか寝てねぇ!
つか、

「こんな真夜中にどこ行くんだよ?」
《入れなかったところだ》

嬉しそうな夜月の言葉。
・・・・入れなかった所・・?

オレは今日(もしくは昨日)の記憶をさかたぐる。
・・・・あぁ。そういやあった。
確か、『ポケモン広場』。
特定のポケモンしか入れないと言う事で、入れなかったんだった。

・・・・・、つまり・・。いや、まさか。

「おい・・まさか・・」
《侵入するんだが。どうした?》

その声にへらっ、とオレと夜月が同時に共犯者めいた笑みを浮かべる。
その一瞬後、オレは夜月の脳天に右拳を振り下ろした。

《痛(い)ってー!何す・・・》
「なにが、だ?」

夜月が途中で言葉を切った。
それくらいにはオレは怒っていた、と言うわけだ。

睡眠不足のオレを町に引きずり回してくれ、人の安眠を妨害してくれ、
今度は不法侵入だと?
オレを振り回すアヤが今はいない。
つまり、オレは今、めでたくそして心置きなく夜月に振り回されている。
・・・嬉しくもなんともない・・・。

《いーじゃんかー。行こーってばー》

今度は下手(したて)に出てきた。
無視する。

《気にならねーの?あの中とかさー》
「まったく」
《悲しい人間だって言われないか?ゆーと君》

人を真夜中にたたき起こして、不法侵入させようとするやつに言われたくない。

《・・・じゃ、チョクセツミンシュセーな!》

楽しそうな夜月の声。
チョクセツミンシュセイ・・・?
オレの頭の中で直接民主制だと変換されるのに少し時間がかかった。
つまりは多数決だ。多数け・・。
・・・・ちょっと待て。

こいつがこんなにも自信ありげに言うってことは。

《準備はできてますな》

・・・・・マジか?
気がつけば紅蓮が座っている。
オレは即座に夜月をにらむが夜月はさっと目を逸らした。

《さぁ!いざ行かん!!反論はねぇよなッ!》

お前ら、いつから・・・。

《いやぁ、人間って偉いよな!拍手拍手》

弾んだ声の夜月と楽しそうに笑う紅蓮と反してオレは暗い。

オレは、多数決なんて考えた人間を殺してやりたい・・。
ずるずると引きずられながらオレは思った。


ポケモン広場・・・。


《なんだーなんもねぇじゃん》

・・・・あっそ。

《つまんねーの。何か起こんねーかな?》

・・・・あっそ。

《うわぁッ!池に落ちた!》

・・・・あっそ。

《つまらなさそーな顔すんなよ!ユウト!》

・・・誰のせいだ。

夜月がブルブルと体を震わせた結果、飛んで来た水しぶきは盛大にオレにかかる。
真っ暗で視界はあまりよくない。
月明かりと夜月の光が唯一の光源だ。

《そろそろ戻しましょうかな?》
「・・・賛成」

一通り広場をめぐってきたらしい紅蓮がオレの後ろから声を掛けてくる。
だいたい広場のど真ん中。
そこにあるベンチに座ってオレはぼーとしていた。

誰も居ない広場は夜月の騒ぎ声以外は静かなもんだ。
本当に不法侵入だよな、コレ。
見つかったらどうなるんだ?

ふと怖い想像が頭をよぎる。
その瞬間、

「そこで何やってるんデースカ!?
不法侵入ーデスネー!!!」

拡声器を通したような無駄に大きく少し発音の変な女の声。
キーンという拡声器の音でダメージを受ける。
音源を捜して上を見上げると風船か気球のようなものにつかまっている人のシルエットが浮かび上がっている。

《あーあ、ゆーと、見つかった〜》

・・・オレのせいかよ。

嬉しそうな夜月の声。この突然のハプニングが面白くて仕方がないらしい。
つかな。

「ワタシはーこの町のジムリーダー、メリッサデース!
えぇっと、とにかくショーブしまショー!」

あのな。

メリッサさん?だっけ。

・・・・お前も不法侵入だろ・・・。





























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2009.8.8  17:20:59    公開
2009.8.9  14:19:02    修正


■  コメント (2)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

コメントありがとうございます!!45さん!!

すごいですよねー、表紙絵。描いていただいたのですが、見た瞬間「すげー!」の一言でした。絵が描ける人ってまじで凄い!!!

仕事とはもしやこちらの?
楽しみにしてますねー!

夜月、紅蓮が暴走してますね。紅蓮はいままでいい子でしたから、意外だったかもしれませんね・・。
夜月はそれなりに満喫したのでしょう!池に落ちるくらいには(笑)
ゆーとはテンション低っ!・・もともとテンション高いことが少ないという冷めた寂しい人間ですが(誰のせいだと思ってるんだ?)眠いでしょうが、タダですまないのが「生あるものの生きる世界」です。頑張ってメリッサを倒してくれますよう(他人事)

メリッサさんはかなりはた迷惑な傍若無人キャラです。
というか、僕の考えるジムリーダーは皆様そうなのですが。(ヒョウタとナタネがいい例)
真夜中に拡声器使って声を出すのははっきり言って安眠妨害どころかへたすれば法律違反で捕まります。それでもそれを堂々とするのがメリッサさんなのです!!(勝手な思い込み)

それでは、そろそろ失礼を。


09.8.14  17:11  -  森羅  (tokeisou)

おおオオオおおオオオオオオオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
なんだ、あの絵は!!!!すげぇwwww

なんだか、メチャメチャテンションあがりましたww

寝起きで、ボケーとしていたのに「はっ!? 何だコレは!!?」
と、テンションあがりすぎて……あ、犬起きてしまったorz

でも、なんな事より、本当に凄いですね^^b

あ、元気になってきたので、このまま、自分も仕事しますかねw(宿題じゃないですよw

やばい。テンション上がりすぎて……落ち着かないとお。

感想を書かせていただきますね^^ あと、荒しじゃないですよw

って、夜月・紅蓮もテンション高いですねーww
あの、真面目そうだった紅蓮ですら、ポケモン広場に侵入ですか^^
夜月は満喫したのですかね? いや、していなきゃ、池に落ちたりしませんよねw
ゆーとの方は、早く起こされてしまいテンションが下がり気味でしたね^^;
それだけ、眠いのでしょうね。早く帰って、安眠してください……と、思いましたら、メリッサさん登場。

とりあえず、勝負。……これは、トレーナーとしての宿命ですかね?
それに夜中ですからね……拡声器は^^;
さて、次回はゆーとはどうなるのか楽しみに待っています^^

なんだか、訳の分からない感想失礼しましたorz
自分でも、正直、五月蝿いと自覚しました^^;

では、失礼します。

09.8.13  04:21  -  不明(削除済)  (45syost)

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