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生あるものの生きる世界

著編者 : 森羅

67.sideユウト 優しい町[ヨスガシティ]

著 : 森羅

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「うわー」

めったな事では歓声を上げたりしないオレが珍しく歓声を上げている理由。
それは、目の前の2段ベットにある。
顔はきっと最近の最上級の笑顔にちがいない。

「ちゃんとしたベットをお目にかかるのは何日ぶりだ?」
《さぁな。そんなに嬉しいのかー?こんなもんで?》

夜月がこんなもん扱いをしたベットはオレにとったらある意味金より価値がある。
ハクタイから数えて3日間の野宿、テンガン山のトンネル抜け、精神状況は最悪。
・・・我ながらよく頑張った。
つまりは、

《良かったな、泊めてもらえて》

夜月のセリフにオレはしみじみと頷く。
いや、本当に良かった、ポケモンセンターの宿泊施設利用させてもらえて。

「いいですよ」とあっさりとした快諾と無料(ただ)の笑顔を向けられてオレはしばしこれは夢だ、と3回は自分に言い聞かせた。
そして、カードを持っていない、と言う自滅的なオレの言葉も「問題を起こさなければ大丈夫です」と言ってもらえた。

と言う事で、ありがたく宿泊施設利用をさせてもらえることになった、というわけだ。
つーわけで、

「オレ、寝るから」

それだけ言ってオレはカバンとその場に置き、コートを脱ぎ散らかして2段ベットの下にもぐりこむ。
ズタズタ、ボロボロの体はさっきから限界を訴えている。
休んでもバチはあたらないだろう。
だが、

《ジョーダンだろー!!まだ3時だぞ!3時!!町見に行こーぜ!》

バチは与えなくても、文句を言うヤツならいると言う事をオレは眠気のあまり忘れていた。
オレは即座に決意を告げる。

「いやだ。オレは寝る」

固い決心の元、オレははっきりと言いきって寝転んだ。
寝転がったとたん睡魔が襲い掛かってくる。
視界はすでに真っ暗だ。

《アホー!!なぁなぁなぁなぁー、ちょーとだけでいいから!
5時まで!いや4時まででもいいから!町中に行こうってばー!!》

ぐー。

《寝るなーッ!!なぁなぁなぁなーてばっ!!》

うるせぇよ。

オレは上布団を頭から被って、夜月の抗議を無視する。

グイッ。

は?

スルスルと上布団がベットから引っ張られていく。

《な!遊びに行くんだよ!!若人だろ!!若人!》
「ば、馬鹿野郎!ひっぱるな!!破れるだろうが!」

夜月、てめ・・・。
上布団を口にくわえてこれでもか、と言うほどに引っ張ってくる夜月にオレは必死で対応する。
反対側からも引っ張られてこの布団が破けない事を心から願う。

「は・な・せっつってんだよ!」
《行くって言ったら、な・ッ》

両者、お互い必死。
オレはさらに力をこめるため腕を上に引っ張りあげる。
自動的にオレ自身が伸びをするような体勢になる。

ゴンッ!

「い・・ッ!?」

突然、脳天に激痛。
オレは痛みのあまり布団から手を離した。

《ぉうわッ!》

夜月はオレが手を離した反動でごろごろと布団に撒かれるようにローリング。
そして、壁に激突する。

ゴツン。

乾いたいい音は夜月の方から。

《「痛(つう)・・!」》

ほぼ同時にオレたちが叫ぶ。
オレは2段ベットの2段目(1段目の天井)に激突。
夜月は壁に激突。
じんじんする頭を互いに頭を押さえる。
これが本当の痛み分け。
眠気はさっきの衝撃で一時的には完全にふっとんだ。

「・・・・4時までな・・」

オレがこれ以上ダメージを受けないようこう答えるのに10秒かからなかった。


・・・数時間後・・・。

「やっ、と帰ってこれたか・・」

色んな意味でふらふらのオレはやっとの事でポケモンセンターの自分の部屋にたどり着く。
背中でぐーすーと寝ている黒い馬鹿犬は無駄に重い。

日は落ちて、一番星は多分もう見えるだろう。
ふと見た部屋の壁時計はすでに6時越え。

4時までの約束はどうなった?

そう思ったが、それを言うだけの元気はもう残ってはいない。

《大丈夫でありますかな?》

赤い方の犬は口に紙袋をくわえてそう聞いてくる。

オレに答えるだけの力はない・・。
オレはなんとか頷くだけ頷いた。

夜月を乱暴におろして、オレはその場に倒れ込む。
フローリングの床が程よく冷たい。
紅蓮もショップでの戦利品である紙袋を床において座り込んだ。

あの後、嬉しそうに街中を駆けずり回る夜月に付いて行き、
町にあった聖堂にまで夜月が入り込んだせいでオレが怒られ、
入ったショップではなぜか持ちきれないほどおまけをしてもらった。

最後の一つはありがたかったが・・・ひたすら疲れた。
そう、それに極め付けには、

《疲れたぁ〜。なぁなぁ!乗っけてくれっ!》

その一言で飛び乗ってきた夜月はこともあろうに人の背中の上で寝てしまった。

勘弁してくれよ・・・。

遊ぶだけ遊んで、寝るだけ寝て、好きなだけ食べて、
自由奔放という言葉は夜月のために存在することをオレは身にしみて知った。

そして、その夜月は幸せいっぱいと言った顔で寝ている。
ふざけるな、と殴りかからないのはオレが精神的に成長したのか、それともただ疲れているだけか・・。

とにかく、寝る。
オレは、寝る。
明日の8時だろーが、9時だろーが好きなだけ寝る。

限界のメーターが当の昔に壊れたオレはその場で夢に引きずり込まれた。

《良い夢を。ユウト殿》

紅蓮の声を遠くで聞いた。























































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2009.8.6  23:51:48    公開
2009.8.8  16:56:20    修正


■  コメント (4)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

後になってしまい申し訳ありませんが、
コメントありがとうございます!!ハミングさん!!

模試を受けられたんですか・・。大変ですね。
僕もこの前死にました。先生に「お前、大学どこいくつもりや?」と心配していただきました・・・・。

ゆーとサイドは久しぶりですね!ケイヤがあんなに長くなるとは思わなかったもので・・。夜月は本当に書きやすくって可愛いキャラです。
ゆーとは本当に野宿お疲れでした♪大変だったろー!?
そうなんですよ!忘れがちですが、トレーナーカードを持ってないんですよ。地味に困りますよね、コレ(誰のせいやねん)
夜月は差し上げられませんよ〜。だってコイツがいなかったゆーと、主人公しなくていいですから(ユウトはおまけかよ・・)
「なぁなぁなぁー」はもはや夜月の口癖です。初期のクールでニヒルな夜月の面影は欠片も残ってないですね。ゆーともなんだかんだ言ってちゃんとつきあって(巻き込まれて)くれてます☆
紅蓮はゆーとの慰め役もとい保護者(のハズ)。さらには最近では少しずつわがままも言うようになってきました。本当に良い子ですとも!

アカギさんに関しては、冷めすぎです。何が面白いのか何が面白くないのか、何でそんなに暗い?(聞くな)
確かにゆーとも結構熱いというよりは冷めてるキャラですが、アカギさんは冷めている、というよりむしろ全部あきらめているもしくは見下している、って感じですね。次はいつお目にかかれるか・・。

そうですね。そういえばアヤがご無沙汰です。
とりあえずこのゆーとサイドが終わってからか、もう一度ケイヤサイドをはさむか、ちょっと悩んでます。スピカ、レグルス、あとシリウスも早く書きたいです〜。
再登場、楽しみにしてやってくださいm(−−)m

大人気に入れていただいたのはコメント・評価を下さった皆様のおかげでございます!!本当にありがとうございます!!これからも精進致しますので宜しくお願いしますm(−−)m
それでは、失礼を。

09.8.9  11:45  -  森羅  (tokeisou)

コメントありがとうございます!!45さん!!

宿題だなんてとんでもないですよ!!
僕のほうもコメントできずにいるのですから。

sideケイヤは最悪的にシリアスでしたね(汗)
ここまでいくか、と自らに突っ込みを入れました。
『英雄』に関しては燐の言ったように言い訳にも聞こえますし、彼自身の優しさとも取れると思います。
まぁ、結局的には相手の受け取りようですね(なぜなげやり!?)
ケイヤにとっての生の世界での話、・・鳥肌!!?
大丈夫ですか?夏風邪ですか?(・・・)
凄い設定って・・そんなものじゃないですよ!
なんかもう「全部ひっくるめて利用しちゃえ☆」みたいな・・(簡単に言えばこじつけ)
お褒め預かり光栄です!!

アカギさんは、書いていて怖かったです。なんでおとぼけキャラじゃない!?(当たり前だ)
彼の野望は・・はい。アレです。
そのときの???の言葉も結構怖かったですけどね(笑)

ゆーとは、完全に遊びました。あー、楽しいっ!
ケイヤの話のクッション代わりになればいいな、くらいで。ほんとにユウトお疲れ様です。

勉強会は・・夜月が先生ですからね。まともな授業をするはずがない!(えばるな)
夜月たちの声が聞こえない人にとったらユウトは変人確定ですね♪(かわいそうに・・)

ベットはこのままだったら冗談抜きでゆーとが死んでしまう!と思った僕の優しい心遣いです(・・・シーン)
まぁ、このまま無事に済むわけがないのですが(怪)
眠くなりましたか?おやすみなさいです♪

夜月は本当に自由人です。書いていて楽しい楽しい!
振り回されてズタボロのボロ雑巾になるゆーとを書くのはさらに楽しいです。

それでは、コメントありがとうございました!
失礼を。

09.8.9  11:22  -  森羅  (tokeisou)

こんばんはです、森羅様。模試で死んできたハミングです(シラネ
久々のゆーとサイドにテンション上がりまくってます!いや、ケイヤサイドも同じくらい好きなのですが、やはり夜月のゆるさが懐かしくなって^ ^
ゆーと野宿乙でした←
ゆーとトレーナーカード持ってませんもんね…地味に困るポイントです;
あ〜もう夜月可愛い!むしろ夜月欲しい(帰れ
町中に行きたいって駄々こねる所とか…♪
「なぁなぁなぁ」が癖になります(変態
不承不承で許すゆーとも微笑ましい(誰だお前
そして紅蓮良い子良い子(ナデナデ
この一人と二匹は最強の萌えパーティー(死滅
前回27歳(だっけ?)のアカギさんが登場しましたね!冷めた性格は悪役の運命d(なぁにそれぇ
何というブラックメンタル…ゆーともそこまで熱くなるような性格ではないですが、アカギさんとはちょっと異質な物って感じがします。衝突は避けられなさそうです。
そういえばアヤサイドがご無沙汰ですね。まだ暫くはこの二人サイドで回していくのでしょうか?
スピカやレグルスの再登場楽しみに待ってます!
ではでは、乱文失礼しましたっ!
P.S.大人気小説入りおめでとうございます!

09.8.8  22:31  -  不明(削除済)  (lvskira)

お久しぶりです^^
感想書く宿題を忘れていました(違

いや〜、ケイヤ編も以外に何も起こらずに……起こらない訳が無かった〜(泣)
悲しく運命を背負いながら戦う英雄さん……そして、自分を責めている。そのせめてもの償いで死んだ者達の墓を作る……。
リンはやはり納得できない様子でしょうか。言い訳にも感じているそうですがね。
最初は反感的だった、ケイヤも最後には彼の気持ちを理解できたようで、嬉しかったです!

……けで、思いは伝えられなかったですね。

そして、現実の世界へ……。
やべー。鳥肌たった。
凄い設定力。そして、神話もばっちり。そして、ゲーム機。
『凄い』の一言につきます。まいりましたorz(何が!?

そして、ギンガ団の頭――アカギの登場ですね^^;
いや〜、彼も何かを知っていそうなコメントを……。
そして、やはり野望はそれでしたか。そして、その野望に関して『???』からお言葉が。

そして、ゆーとへ(宿題は溜めたら大変。
とりあえず、一言「お疲れ様でしたm(_ _)m」

ゆーとは、しばしの勉強会を開かれていた模様。
そう言えば、ポケモンの言葉が分からない人には、激しい独り言として捉えられてしまうんですよねww
そして、ようやく愛しいベット。しかも、二段ベット。これは、眠くなってきた……(リアルな話、これ読んだあと寝てましたww つまり、遅れての感想ですww)

夜月も一杯楽しめたようですね。ただ、引き換えにゆーとが……。
ただ、沢山何かをもらえたり買ったようですし。

ゆーと、おやすみなさいm(_ _)m

では、長々と失礼しましたー^^;

09.8.8  18:43  -  不明(削除済)  (45syost)

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