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生あるものの生きる世界

著編者 : 森羅

65.sideケイヤ つぎはぎ[パッチワーク]

著 : 森羅

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「だから、もう、二度と・・・・!」

行きとは違う一瞬だけの暗い闇の中。
二度と、なに?
ぼくはかすれたあの声を聞いた気がした。
その先は、もう聞こえない。


「わっ・・壮観ー」

ぼくは小さくつぶやく。
時の止まった静寂なる世界。
気がつけば、ぼくはぼくの世界に戻ってきていた。
ぼくが無事に帰ったことを確かめたみたいに世界はゆっくりとその時間を動かし始める。
雨が、降り出す。
日常が戻ってくる。

「燐・・・」
《なんですか?》
「夢、じゃないよね?」

雑踏と雨の音に飲み込まれていくぼくの声。
ぼくは傘と学生鞄を拾い上げる。

《夢じゃないですよ。白昼夢のような現実です》
「・・・そっか」

ぼくは笑う。上手く笑えたかどうかはぼくにはわからない。
燐に傘をさし掛け、青に変わった信号をぼくらは無言で渡った。
雨は、静かに降り続く。
ぼくはあの人の涙を思い出した。

家についてからも、ぼくらは自室で沈黙を保っていた。
そして、先に沈黙を破ったのは燐だった。

《悲しい話でしたか?あのヒトのいった言葉は》

ぼくはその声にはっとする。

「うん。悲しかった。ぼくは戦争を知らないけどね」
《あれは勝手な言い訳にも聞こえます。綺麗事を言っているようにも》

燐の言葉に容赦はない。
ぼくもそんなことわかってるよ。
でも、

「それを言ってしまったらお終いだよ。
何も信じなかったら言葉は全て無意味なってしまうから」
《・・まあ、そうですね。
墓をあの場所に立てたのはきっと踏み荒らされないためでしょう。
川の傍ならすぐに荒らされてしまいますから。
その事で少しは、認めてもかまいません。わたしは。
それよりも、わたしたちがどうして帰れたかわかりますか?》

答えを知っているのに考えて見なさい、という先生みたいな燐の言葉。
ぼくの脳がその言葉に本来の目的を思い出す。
あ、そうだった。忘れてた・・・。

「ぼくらが、あの時代で必要な情報を手に入れたから、かな。
この様子からすると」

特に深く考える事なくぼくは答える。
その言葉に燐はそのようですね、軽く頷いた。
ぼくは、自分の言った言葉の意味を頭でちゃんと考えて、

「あ・・。なら!」

気づいた。
そうだ。ぼくらがあの世界のあの場所で知る事を全て知ったとしたら、
あの『英雄』は大切なキーパーソンと言う事になる。
そして彼が言った言葉も。
燐はよくわかりました、というように再び頷く。

「ゲーム、ゲーム!」

ぼくは急いでゲーム機の電源を入れる。

『星降る山』『墓』『砦』『剣』『英雄』『戦』・・・。
あぁ!でもそれだけじゃわからないっ!!

《剣の話があったではずです。図書館に。
その町の名前、場所が一致しているのでは・・?》
「それだっ!!」

燐の言葉にぼくは叫ぶ。
たしか、剣の話があった。
内容とかはどちらかと言うと『いましめ』と言う意味がありそうな話だったけど。
名前は、

『トバリのしんわ』

なんでトバリなのかとは思ってたんだ。
もしそこが戦場なら・・?

ぼくが操作する主人公は地図を広げる。

トバリ・・・あぁでも。もし戦場がトバリなら北東に山はない!!
ぼくは彼の話を思い出しながら確信する。
・・・もちろん地殻変動とか、そんなのがあって場所が変わったのかもしれないけど。
・・・・・・・・・。
・・・・そうだ!『砦』!!
どこかで見たんだ、絶対。

ぼくはかたっぱしから町をめぐる。
数分後。

「見つけた・・。ここだよ、多分ね」
《何を見つけましたか?何がどこなのですか?》

ぼくはゲームの液晶を燐に見せる。
そこは、憩いの場とゲームではなっている。
そう、
ヨスガシティ。ポケモン広場。

立ち並ぶ『何かの遺跡』である塔はぼくが見た『砦』とよく似ている。

《似てますね。外壁は無いようですが》
「何百年かは昔の話だもん。外壁はつぶれたんじゃないかな?
確かめる術はないけど。
ま、ちょっと待ってよ。ここを砦と仮定して」

ぼくは主人公を燐が走った道のりをなぞって走らせる。
西に一直線。川もある。
しばらくして、

・・・・・・。まさか。

ぼくはゲームの操作を止めた。
だって、まさか。こんな上手い話は無いよ。

《どうしたんです?》
「燐。ビンゴかもしれないよ」
《あの砦、ですか?》

うん。そうだけど、それだけじゃない。

「燐見て。こっちが砦の方向。
この場所から北東・・『星降る山』はトバリとして。
そして、これが『墓』」

ぼくは燐に画面を見せ付ける。
燐が息を呑むのをぼくは見た。

「わかった?」
《納得です》

一瞬の沈黙の後、ぼくらは同時にその場の名前を読み上げる。

《「ロスト、タワー」》

失われた命の眠る場所。
こんな上手い話ってあるんだろうか。

side???

魂は輪廻する。
この世に生まれた幾千幾万のいのちも同じく。

剣は全てを否定して、すべてを瞬時に切り捨てた。
悲しき声は叫びとなった。

世界を揺るがすほどに、あの子の思いは強かった。















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2009.7.30  14:07:03    公開
2009.8.5  00:18:11    修正


■  コメント (3)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

コメントありがとうございます!!ハミングさん!!

ワクワクしていただけましたか!!ありがとうございます!なによりでございます!!
リンクですが、こじつけ感が・・頑張って矛盾を消さねば!(矛盾が出てくること前提)
トバリシティの設定なんて元ネタの神話なんか完璧無視の方向となっております。無理やりにでも引っ付ける為いろいろ考えていますが・・(『理屈と絆創膏はどこにでもひっつく』の方針となっております)個人的に神話が好きなもので、なんだかんだと無意味な知識を頭に詰め込んでおりますよ(勉強しろっつーの)
過去にいる仮ゆーとはまた出てまいりますよ♪ですが、結構後での登場となりますね。生きているのか、死んでいるのか。忘れないでやってくださいm(−−)m
それでは、コメントありがとうございました!
失礼を

09.7.30  22:52  -  森羅  (tokeisou)

こんばんはです、森羅様。
わお、二話も進んでる…♪という事で一気読みさせて頂きました!
何か凄いワクワクしてきました!ゲームと異世界がちゃんとリンクしているのには驚きです!
トバリシティの設定なんて、私のようなバトル厨はすっかり忘れてましたから^ ^; それにポケモン広場のアレ、そしてロストタワーと来るとは…!
森羅様の奴そこまで考えて(この虫野郎
あっちの世界に取り残された仮ゆーとはどうなったのでしょうか…ケイヤが慰めたとは言え、未だに自己嫌悪に陥っているようで気になります。
再び戦いへと赴きましたが、生きていると信じます。ええ、信じますとも(
あの世界の経験がどう繋がっていくか、楽しみに待ってますです!
ではでは、乱文失礼しましたっ!

09.7.30  22:32  -  不明(削除済)  (lvskira)

[編集後記]

またかよ!とは言わないでくださいね・・。
まず、はじめに言わせてください。
「申し訳ありませんでした!!」
今回のsideケイヤは好き勝手にストーリーをつなげたのでいろんな情報がごちゃまぜです。本当にすみません。
しかもシリアスまっしぐらです。笑えるネタが無いに等しいくらいです(汗)
そして、極め付けのこの65ですが話の展開が素晴らしく速いです。漫画を読んでるみたいに早いです。
ケイヤの立ち直りがめちゃくちゃに早いです。
かなり薄情な人間にしてしまった・・(ごめんケイヤ)
細かな描写とかが少ないんですね、本当にすみません。
どう繋がったのかわからないような所があれば言ってください。僕の頭の中で勝手に話をつなげている所だと思います。
それでは、長々と失礼をいたしました。

09.7.30  16:57  -  森羅  (tokeisou)

 
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