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生あるものの生きる世界

著編者 : 森羅

60.sideケイヤ 黄昏[トワイライト]

著 : 森羅

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《なるほど・・・そうですか。
わかりました。それで、貴方はどうするのですか?ケイ?》

静かに金色の狐はぼくに聞いてくる。
ぼくの『答え』を。

ぼくの部屋でぼくたちは適当な所に座っている。
ぼくは椅子に、彼女はカーペットの上に。
ゆっくりと時間をかけてぼくは彼女に説明した。
パソコン部の部室で、気を失っていたときに聞いた声について。
この世界に見える真闇の穴について。

目の前の“非日常”の象徴たるキュウコンはそれを静かに聴いていた。
そして今、彼女はぼくに選択肢を与えてくれている。

『その声の言う通りにその真実を探しに行くのか、否か』

赤い目は優しくぼくにそう問いかけていた。
それは彼女の存在の肯定否定の答えにもなるんだと思う。
ぼくが『否』と答えれば、ぼくは彼女の存在を否定してしまう。
ぼくは『真実』から目をそらせるってことなんだから。

ぼくが『是』と答えれば、ぼくは自分の答えに全責任を負わなきゃならない。
どんな危険があるとしても、ぼくは答えを見つけなきゃいけなくなるから。

それを踏まえたうえで彼女は聞いているはずなんだ。
どうするのですか、と。

目をつぶる。
自分の部屋の明かりで目の前は完全的な黒色にはならなかった。
少しだけ明るい黒。それは光にも見える。

目を開く。
光が目を差す。
目の前には九尾の狐。
黄昏を切り取ったようなやわらかい黄金(きん)のキュウコン。

その姿を見てぼくの心は決まった。
『答え』をぼくは口にする。

「燐。ぼくは君と一緒にいたい。
世界の真実も知りたいし、あの声が言っていた『約束』も知らなきゃいけない。
だから、・・燐、君はどうしたい?」

黄昏はそれを聞いて笑う。
火の粉のような赤い瞳をいつかのようにきゅーと細めて。
おかしいなぁ。ぼくはそんなに長い間彼女と居た訳でもないのに。

いつの間にこれが“日常”の風景に変わっていたのかな?

《貴方の考えはわかりました、ケイ。
もちろん付き合いますよ、最後まで。
わたしも気になりますし、貴方を一人にするのは忍びないです》

ぼくもへにゃんと笑う。

「じゃあ、改めてよろしくー。燐」
《宜しくお願いしますね、ケイ》

真実を、見つけよう。
どんなに残酷でも、哀しくても。


さて、と切り出して燐は続けた。

《貴方がこれからわたしの方の世界にどれほど関わってくるのかわかりませんが、少しだけ貴方に言っていなかった事を伝えますよ。
一度だけ、あちらの世界に行った事は覚えていますよね?》
「うん。キッサキシティでしょ。凪と会ったとこ」

あれは感動的だったなぁ。
雪の冷たさまでまだ思い出せそうだしね。

《そのとき、湖に落とされましたよね?》

うん、とぼくは頷く。
あれがなかったら凪とは会えなかったよね、多分。

《湖から出た後、貴方を突き落とした人物を見ましたか?》

ぼくはぶるんぶるんと首を横に振る。
そう、それがおかしかったんだ。スズナも居なくて。
でも、その突き落とした人とスズナが戦い終わった位までぼくが水に浸かっていたならぼくは確実に死んでいる。

「そう!それそれ。おかしいとは思ってたんだよね」
《そうですか。わたしが言いたいのはそのことなのですが、
これを言ったらおかしいと思われるかも知れません。ですが、
・・・・・・・・消えました》
「え?」

消えたって、どういうこと?
“そらをとぶ”とか“テレポート”とか?
それとも燐、消えたって言うのは何かの方言なの?
『?』を頭に浮かべるぼくに燐は続ける。

《どういえば良いのかわかりませんね・・。
周りの風景が流れていくような感じでした。
わたしだけ時間を早送りされたようでしたよ。
実際、気がつけばその、スズナという方もいなくなっていましたしね》

なんで!?
ぼくの存在があっちの世界では異物扱いだからかな?
あ、でもそれなら燐もなんだったよね・・。
あれ?そういえば、ちょっと待って。

・・・・・・時間が早送り・・・?

ぼくは無意識にゲームを積んである棚を見る。

目に入るのは『ポケットモンスター・ダイアモンド』と書かれたカセット。
時間の神、ディアルガ。紺色四足の『神』たるポケモン。

まさか、ね・・?

ぼくは内心で首を振る。
だってそんなの出来過ぎているから。

《どうかしましたか?》
「ううん!」

不思議そうに首をかしげる燐にぼくは慌てて笑う。
まだ、確信なんてない。

間違っているかもしれないしね。

だから、まだこれは推測。

推測は真実ではなく、仮定でしかない。
データがまだ足りない。

パズルは、まだ組み立て始めたばかりだ。











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2009.7.15  22:34:48    公開
2009.7.16  23:48:05    修正


■  コメント (2)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

コメント有難うございます!!ペガサスさん!

ジョジョは読んだ事が無いのですよ。すみません。
ユウト達との合流は・・・当分ないのですよね^^;
それでは来年もよろしくお願いしますm(−−)m

10.12.31  21:49  -  森羅  (tokeisou)

ペガサスです

時間を早送り・・・ですか。
「ジョジョ」に出てくるプッチのメイド・イン・ヘヴンを思い出しました!(「ジョジョ」読んで無かったらすいません)

久しぶりのケイヤsideですね。
ユウト達との合流が楽しみです!

10.12.29  00:22  -  不明(削除済)  (30002500)

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