生あるものの生きる世界
51.sideユウト×アヤ 祭[フェスティバル]
著 : 森羅
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sideアヤ
・・・・・うぅ〜。
頭の中で鐘がなってるぅ・・・。
鈴じゃなくて『鐘』。
ガーンゴーンリーン。
ズキンズキン・・・ズキン!
もぅだめ〜〜。
頭が割れるぅ〜・・・・。
世界がまわってるぅ〜。
のどかわいたぁ・・・。
「おら、飲め」
「ふにゃぁ?」
唐突な声にあたしは変な声を上げた。
寝ぼけた目に映るのは、
・・・あ!お水〜!
あたしは目の前に差し出されたコップの水を良く考えずに飲み干す。
あたしに少し理性が戻ってくる。
でも・・
「もう一杯・・・」
頭上で盛大なため息のあとコポコポコポ・・と心地の良い水音。
「ほら」
返事もろくにせずにあたしは目の前に出された水を再び飲み干す。
まったく使い物にならなかった頭がちょっとずつ回復してくる。
あれぇ・・、そういえば水をくれたの誰?
「だ・・れ・・・?」
やっとの事でそれだけ言う。
それだけのことが異常なまでにだるい。
「オレだよ。お前、どんだけ呑んだんだ?」
オレ・・?だぁれ?
起き上がって見ようとするけど体に力が入らない。
「起きるな。吐くぞ」
確かに今起き上がったら一発で倒れる気がする。
あたしは素直にそのまま目を閉じた。
乱暴に額に乗せられる濡れタオル。
その冷たさが気持ちよかった。
夕刻・・・・・。
「それで?オレを呼んだ覚えはない、とそう言いたいわけだな?」
目の前でふんぞり返るユウトにあたしは強く言い返すことができずにわずかに頷く。
やっと二日酔いから回復したあたしはジムの芝生の上で正座をしている。
隣には同じように正座しているナタネちゃん。
ナタネちゃんの目の前にはユウトの代わりにジムトレーナーさんたち。
みんな鬼のような顔をして今にも平手打ちを食らわせんばかり。
「ナタネ!どれだけ呑んだの!!
片付けるのは誰だと思ってるのよ!!!!」
複数の人に言われている分、あたしよりかわいそうかもしれない。
小さくなっていくナタネちゃん。
・・・・あたしも人のことを言える立場じゃないけど・・・。
「それで、未成年のくせに酒飲んで酔っ払って、人様に迷惑掛けまくって、
言う事はねぇのか?」
「ご、・・ごめん・・なさ・・ぃ」
だんだん声が小さくなっていくのは仕方がない。
「・・・おまけに人に迷惑かけないならまだしも・・・、
ジムリーダーと言う社会的地位にある人間がぁ?
“未成年の子と酒飲んでへらへら笑ってました”?しゃれにならないわ!!!」
「ご、ごめんねぇ〜」
「笑い事で済むとでも思っているのかしら?」
「・・申し訳ないです・・・」
おんなじような内容で怒られているナタネちゃん。
確かにそれ、バレたらマズいわよね・・。
約20分後、やっと解放されたあたし。
ナタネちゃんはまだぐちぐちと文句を言われている。
いつの間にか酒瓶と大皿は綺麗に片付けられて『ジム』は『ジム』に戻っていた。
外からは祭の太鼓の音が聞こえてくる。
そっか、お祭なんだ・・・。
ナタネちゃんが正座のまますこしだけ体を横に倒して、
「アヤちゃーん!お祭、行って来なよー!
もうすぐだから。ポケモンセンターで浴衣貸してくれるよ」
「ナタネ!!」
「ごめんなさいっ!」
すぐにひっこんだ。
sideユウト
なんでだ・・・?
昨夜からどうもオレの運気が下がってきているような・・。
朴(占い)を信じるほど信心深くもないが。
朝っぱらから酔いつぶれている・食いつぶれているヤツらの介抱をさせられ、やって来たジムトレーナーの皆様には「なんでいるの?」と詰問され、挙句の果てにはジムの掃除まで手伝わされた。そしてトドメとして、
「景気の悪そうな顔しないでよ。せっかくの気分が台無しじゃない」
アヤの祭に行きたい、と言うふざけた理由につき合わされる羽目になった。
ここはポケモンセンターの入り口。出てきたアヤは幸せ一杯と言った顔だ。
嬉しそうに借りてきた浴衣には濃紺の地に朱色の金魚が泳いでいる。
帯は赤。下駄まで履いている。
なんでこういうのが好きなんだろうな・・・?
オレにはよくわからん。動きにくくて仕方がない気がするが。
「なら、オレ帰る」
「じょーだんでしょ?こんな夜に女の子一人で歩かせるつもり?」
「お前なら絶対大丈夫だよ」
「・・・だって一人じゃ寂しいし」
つまりは人型で動けば何でもよかったと言うわけだ。
どういう扱いだよ、オレは。
ソノオタウンではあんなに嫌がっていたくせに。
「それよりも!なんか言う事ないの?この姿見て!!」
どう?どう?とでも言いたげな顔でこちらを見てくる。
オレは気の無い拍手を数回と一言。
「馬子にも衣装」
「あんた、最っ低」
カランカランと乾いた下駄の音をバックミュージックにアヤは一人で行ってしまう。
・・・・オレ来る必要まったくねぇじゃん。
《ゆーとー、飯〜》
「お前はもう食うな」
下でさっきまで黙っていた夜月が唐突に飯の要求。・・・・ふざけるな。
屋台から色々な食べ物の匂いがしてくるからだろうが、こいつは昨日食いすぎだ。
カランカランカラン。
さっき聞いた下駄の音だと思ったらアヤが戻ってきて言う。
「早く来てよ。あっ、そうそう。これ預かってて。
ロッカーの鍵。・・・服の方じゃなくて靴の方だからねっ!
あたし、鞄置いてきたから」
「・・・・・・・」
ぶん殴ってやろうか・・・・。
荷物持ちですか、オレは。
そう思いながらもしぶしぶ鞄に鍵を突っ込む。
ここで反論しようものなら機関銃のごとく次から次へと繰り出される言葉の嵐に見舞われる事になるだろう。面倒ごとは避ける事が一番だ。
「早くぅ!!」
《ゆーとぉ!飯ぃ〜!》
・・・・・・オレはよーちえんじの保護者かっ!!!!
祭はまだ、始まったばかりだ。
2009.5.31 21:55:46 公開
2009.6.6 18:00:01 修正
■ コメント (2)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
09.6.7 14:18 - 森羅 (tokeisou) |
どうもです^^ いやー待っていましたよ! 体調が悪いのに……お疲れ様ですm(_ _)m ナタネさん……未成年とお酒を飲んでヘラヘラはまずいですよね〜^^; 一応でも、ジムリーダーですし、何より未成年。 そういえば、ほかのジムリーダーが誰なのか気になりますね。 ゆーと乙です。 酔っ払いの付き合いは大変ですよね〜はい。自分だけではないですが、家族を見ていると分かります。(花見とか ひごろ、お酒を飲まない方が特に……。 夜月はおなかを膨らませるほど、お食事ですか。すこしはユーとを手伝ってあげたって。 と言うか、なぜジムの掃除まで(笑) 本当に運気がどんどん落ちて行きますね。^^; アヤの浴衣姿。何故だろうか、微妙に気になってします(−−;) いや、日ごろはそんな興味は内のですがね^^;(変体? では、体調管理をしっかりとして下さいね。では、ここら辺で失礼させて頂きます。 09.6.6 19:01 - 不明(削除済) (45syost) |
いや、まぁ、体調の方は大丈夫ですよ。ありがとうございますm(−−)m
ナタネちゃん、確かにまずいですよね〜。アヤがでろんでろんに酔ってましたし(誰のせいだ誰の)
隠れ設定ですが、実はゆーとも呑んでるんですよ(ゑ)
でもゆーとはお酒強いんですね。だから大丈夫だった、と。完璧にはずしましたけど・・・。(また、書くチャンスがあれば書こうかなー?)
他のジムリーダーは、・・出てましたか?
ジムトレーナーのことですか?彼らはあのほら、ジムにいるザコさんたちの事ですよ!(何気に言い方ひどい・・)
ゆーとは本当にお疲れ様でしたm(−−)m
(誰のせいだ!とゆーとの声が・・・)
アヤの浴衣。
これが書きたかったから祭をしたのですよ!!!(・・・・・)
・・・・・・・・・・・・・冗談ですよ?(本当かよ)
いや、僕が祭好きなだけです・・。ゲームで「祭したものだけどねぇ」と言うセリフを聞いて即決定しました(単純)
それでは、失礼を。