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生あるものの生きる世界

著編者 : 森羅

36.sideアヤ 異変[コトナルデキゴト]

著 : 森羅

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「ぅ、・・・ん?」
《どうかしたの?》

あたしの声にスピカがあたしの顔を覗き込んで聞いてくる。

・・・・・・・?

「ねぇ、なんか・・・」

言いかけてなんか、が何の事なのかあたし自身がわからないので口をつぐむ。
それにますます変な顔をするスピカ。

《どうかしたの?アイスに何か入ってた?》

アイスじゃなくてソフトクリームよ。
そう思いつつも、

「ううん、おいしい」

と素直に感想を述べる。

ここは前々からスピカと行こうと言っていたソフトクリームの店。
ウッドハウスのような店内はまばらながらに人が居てそこそこ繁盛している様子。
目玉商品の花のソフトクリームは6種類ほど。
ちなみにあたしとスピカは『桜』、
あたしの足元で幸せ一杯の顔をして夜月が舐めているのは『バニラ』

・・・・・ここに来て『バニラ』を食べるのはもったいない気がするのはあたしだけ?

まぁ、人の好みはそれぞれよね。
あたしは夜月を横目に自分のソフトクリームを舐めた。

桜、というよりはさくらんぼの杏仁豆腐みたいな味。
ちょっと残念。これはこれでおいしいからなんにも言わないけど。

ソフトクリームを堪能していると、
ピクン、と突然に夜月がバニラでひげができている顔を上げた。

「どうし・・・・・・・」

言いかけてあたしも違和感を感じる。

何・・・・・・・・?

《何か、あったな・・・》
「え?」
《夜月くんのセリフ。聞こえないでしょ?通訳よ》
「あ、ありがと」

《どういたしまして》とスピカは言って続ける。

《俺は外に行く、だって》

舌で綺麗に口の周りの『ひげ』を舐めとりながら夜月はさっさと出口に向かっていく。

ええぇぇぇーーー!!

「ちょ、ちょっと待ってよー!!」

あたしとスピカはソフトクリームを片手に急いで追いかけた。


数十分後

何もなかった。
町は普通の光景を維持している。
が、しかし。

「居ない、わよね?」
《綺麗にすれ違っていなければね》

あの馬鹿の姿は町のどこにもなかった。

もともと存在感のうっすいヤツだから見落とし、と言う事もあるかもしれないけど。
それでもどこにもいなかった。

《花畑の方も行ってみる?一応》

まさか花畑の方にいるとは思えないんだけど・・・、万が一、と言うのもある。
夜月が何も言わずに花畑の方に歩いて行くのにそっと付いていった。

もともと花畑と引っ付いているような町だから、すぐに花畑の入り口にたどり着く。

咲き乱れる花にあたしはまるで別世界にいるような感覚を味わう。
ホウエン地方にマボロシ島という島があるそうだけど、
そこもこんな感じかもしれない。

《誰もいないわね》
「うん・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・?

《どうかした?》

何かおかしくない?ここ。

《何で誰も居ないんだ!・・・・そういえば、そうね》

多分最初の言葉は夜月のもの。
・・・・・!
それよ!!なんで誰もいないの!!?

ソノオの花畑、といえばシンオウ地方の観光所の一つ。
観光客や、花の香りによって来たポケモンを求めるトレーナー、
いるはずの人が誰も居ない。

ざあぁぁぁ。

風が花畑を駆け抜けて、
それがどうにもあたしを不安にさせた。

「・・・・だ!・・・・・・・っあ・・・・」
「へ?」

もう少し奥から大人の男と思われる声が唐突に聞こえてきた。

「何?さっきの?」
《さぁね・・・・・・行ってみる?》

さっきの声は確実にユウトのものじゃないけど、いるかもしれないし・・・・。

「・・・・って、えぇぇぇーーー!!」

夜月はダッシュ2秒前・・・・・あ、もう走って行っちゃった。

・・・・・なんか、無駄に疲れるような・・・。
けど仕方がない、行かないと。

スピカとため息をつきつつ更に奥へ。








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2009.4.25  16:46:15    公開
2009.4.25  22:32:19    修正


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