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生あるものの生きる世界

著編者 : 森羅

27.sideケイヤ 湖[リュウ]

著 : 森羅

イラスト : 森羅

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「・・・・なんでキミ達ついてきてるの?」
「え?『行こッ!』って言いませんでした?」
「言ってないよッ!あれはユキメノコたちに言ったのッ!」

スズナの言葉にぼくはあいまいに首をかしげた。
あれ?そうだったの?
ぼくと燐は目を合わせる。
いまさら、そんな事言われてもね・・・・、

「付いてきちゃいましたし・・・」

へら、とぼくは笑ってみせる。
ここはエイチ湖の入り口の前。
エイチ湖はダイヤ・パールの形でちょっと残念だなぁ、と思う。
“ロッククライム”見てみたかったのに・・・。

「あぁ、もうッ!帰りなよ、自分の家に」

・・・もちろん帰るよ。帰り方がわかれば、今すぐにでも。
ぼくは心の中でつぶやいた。

「とにかくッ!邪魔しないでよッ!」

はぁい。
ぼくと燐は仲良く右手と右足を上げた。

ま、ポケモンバトルって興味あるし、スズナがどれくらいのレベルかも知りたいし!
結構ぼくは楽しんでいる。
だって、せっかくだしね!

スズナを先頭に後からぼくと燐が続く。
町のほかの人は手伝わないのかな?
信頼してるってことか、それとも厄介ごとを押し付けているだけか・・。
前者だと思うケドね。

「ここで何してるのッ!観光目的じゃないなら出て行ってくれる?」

ユキノオーとユキメノコを率いてスズナは勇ましくご登場!

「ワレワレは大事な任務を頼まれているのです!アナタにどうこう言われる筋合いはありません」

あれ?この変なしゃべり方って・・・。
ぼくはスズナの背中で何も見えないので少しだけ顔を横に出す。
・・・やっぱり。

3人の変な青緑のような髪色がやけに目に付く人たち。
『ギンガ団』。
この世界にもいるんだー。
あれ?ってことは・・・。

ここまでゲームと同じなら、
彼らの目的は・・・・ユクシー?
でも、居るはずの幹部の姿が見当たらない。
それにスズナがこんなとこに来る話はないし・・・。

一体どこまで同じで、
どこからが違うって言うの?

頭の上には疑問符が3つか4つ浮かんでいる。

《ケイ・・・。わたしたちも自らを守らなければいけませんよ》
「・・・そーなの?ぼく、バトルは初めてだよ?」
《大丈夫でしょう?よく知っているようですし》

燐の顔が意地悪そうに笑う。
あはは、隠し事はできないなぁ。
じゃあ、やってみますか、『初』バトル!

さっそくギンガ団の皆様はそれぞれポケモンを繰り出す。
一匹ずつ出すって言うのが変なところでモラルを守ってるなぁ、と思ってしまう。
それとも、一匹ずつしか居ないのかな?

出てきたのは、ゴルバットにニャルマー、グラエナ。

やっぱりゲームと違うね。
主人公にあわせたレベルのポケモンなんて持っているはずが無い。
ニャルマーはわからないけどグラエナとゴルバットは結構強そうだし。

「燐!“かえんほうしゃ”!」
《いいですよ》

いきなりの大技にも燐は応えてくれた。
ロコンは低レベルの時から“かえんほうしゃ”を覚えてくれるから嬉しいんだよねー。

実物は始めてみたけど、すごい。
本当に火炎放射器のように口からすさまじい量の炎が吐き出される。
万年雪は水となり、凍った地面が地肌をさらす。
ぼくがあれを受けたら炭と化すか塵と化すか。
確かめたいとは思わないなぁ。

「へぇ、やるじゃんッ!負けられないね。
ユキノオー“きあいだま”ッ!ユキメノコ”ふぶき”ッ!」

“きあいだま”はグラエナ、ニャルマーに効果抜群だし、
ユキノオーの特性『ゆきふらし』で“ふぶき”は必中だからいいコンビだと思う。

あっという間にしたっぱたちの一匹目が『ひんし』状態。
ぱちぱちぱち・・とぼくは小さく拍手を送った。

「ありがと」と言葉少なく、けど嬉しそうにこちらを見て笑うスズナ。
ぼくもへら、と笑った。

「次です!」

したっぱたちのその声にぼくたちは視線を戻す。
まだまだぁ!バトルってこんなに楽しい物なんだ!

ドンッ。

え?

唐突に後ろの誰か、に押されてぼくは吹っ飛んだ。
誰、とわずかに振り向きかけた目がかすかに誰かの視線とぶつかる。
ぼくを押したのは女の人らしい、と言う事と、
その人の目が何をするのもいとわない目だったと言う事だけを理解する。
ぼくは恐怖を感じた。

《!・・ケイ!!?》

燐の声が聞こえたのとほぼ同時に視界が水の中に移る。

・・・・って水!!?

ガボガボともがいてみるけど、服は水を吸って重くなるし、
どちらが上か下かもわからなくなってきた。

やばいかなぁー、ぼく。
死ぬわけには行かないんだけどな。

《・・か?》

え?誰・・?
無くなりかけた意識がわずかに聞こえた声をちゃんとぼくに届けてくれる。

《貴方がわたくしの願いを聞いていただけるなら、助けて差し上げましょうか?》

話し方もどこか燐のものとは違う、ずっと高い声。

願いは、何?

《貴方がここを守ってくださること。あの人たちを追い払ってくださること》

・・・いいよ。君がぼくに力を貸してくれるなら、ぼくは君の願いを聞き届けるよ。

・・・・の約束と同じように・・・・・・。

何の、約束?
朦朧とした意識の中で静かに自問の声が響く。

意識が無くなる、その瞬間に。

何か、がぼくの体を押し上げていった、海面に向かって。

一筋の光が目を焼く。肺に空気が入ってくる。

「ゴホッ、ゴホッ・・・ひどい目にあったよ・・・」

やっとのことで目を開けて、空気があるって素晴らしい、と感動してたら、

「って、空に浮かんでるしー!!・・・・・ハクリュー?」

ぼくはハクリューの背中に乗っていた。
ハクリューって飛べるんだー、と感動再び。

《わたくしの名前は凪(なぎ)。貴方は約束を守っていただけますか?》
「もちろん。追い払うんだよね?凪!」

ぼくは凪の背中に乗ってぼくを突き落とした人物を探す。
けれども、その人はどこにも居なかった。
そして、スズナの姿も見当たらない。

「・・・?ま、いっか。りーん!“ほのおのうず”!
凪はえーと、“たつまき”!」

二匹の唐突な攻撃にしたっぱのギンガ団は一瞬で逃げ去った。
凪はゆっくりとぼくを地上に降ろす。

《無事でしたか、ケイ。良かった》
「あはは、死に掛けたけどね」

今思ったら笑い事じゃないね、ほんと。

「なんとか無事だ・・・よ?」

あれ?

突然に体の力が抜けてぼくはその場に倒れこんだ。


「ぅ・・・・・」
《目が覚めましたか?》
「・・・燐・・?」
《はい》
「ここは・・・?」

辺りを見回すと病院。
といってもポケモンセンターじゃない。
ゆーとのいる、ぼくが訪れるはずだった病室。
その入り口にぼくは座り込んでいた。

「戻ってきたの・・・?それとも、夢・・?」
《同じ夢を見たならそうなりますが、戻ってきたようですね》

一体どうやって?

ふと気になって時刻を見ると、

「時間が・・・」
《はい、全然経ってないんですよ。一秒も》
「な・・・なんで・・・?」
《さあ。ですが、》

ですが、何?

《世界が矛盾を生まないためではないでしょうか?
わたしたちが居なくなったまま時間が進めば矛盾が出来てしまいます。
確証はどこにも、ないですが・・・・》
「そうだね・・・」

ぼくは自分のびしょびしょになった服を見下ろす。
あーあ、乾かさないといけないなぁ。

さっきまでのは一体なんだったんだろう?
現実なのか、夢なのか。
燐の言う仮説が正しいのか、違う理論が存在するのか。

「まぁ、でも・・・」
《?》
「楽しかったから、いいんじゃないかな?」

ぼくはとびっきりの笑顔を見せる。
《そんなものですか?》と燐も困ったような笑顔を向けた。


****
挿絵はぴかちゃんことぴかりさんからの頂き物です!!ケイヤまじいけめん……!!(文章の残念さがry
本当に本当に本当に本当にありがとうございますっっっ!!!!!

27.sideケイヤ 湖[リュウ]

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2009.4.6  22:55:52    公開
2012.5.22  01:04:08    修正


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