
生あるものの生きる世界
20.sideユウト 炭鉱[クロガネシティ]
著 : 森羅
ご覧になるには、最新版の「Adobe Flash Player」が必要です。 また、JavaScriptを有効にしてください。
「・・・・ぅ・・・どこだ・・?」
目が覚めると、天井が見えた。
電球の強い光がオレの目を開けさせまいと、目を差す。
「起きたかい?」
唐突に声。
夜月ではない。人間の、女声だ。
やっと光に目がなれた所でオレは声の主を探そうと起き上がる。
気がつけばちゃんとしたベットで寝ていた。
オレはどこかの洞窟を抜けた所から記憶が無い。
と言う事は、誰かが運んでくれたのか・・・?
「大丈夫かい?」
「・・・え?」
一瞬忘れかけていた・・・。
目の前にはおばさんがいる。
オレの母さんより年上らしかった。
辺りにはいくつも似たようなベットがある。
家具はほとんどない。
「聞こえているかい?」
「あ、はい・・・。あの、ここどこですか?」
言ってしまってから先にお礼を言うべきだったのではないかと気がついた。
おばさんは「あはは」と豪快に笑ってから答える。
「ここはクロガネシティの端っこ。
クロガネ炭鉱で働く人たちのための仮眠所だよ。
あんたはクロガネゲートのところでぐーすか寝てたらしいんでね、
風邪ひくよりはと思って連れてきてくれた人がいたんだよ」
へぇ。
やさしい人もいるもんだ。
それから、あのイシツブテロードはクロガネゲートって言うのか。
あの時のことは思い出したくもない。
「そうなんですか。ありがとうございました。
あの、オレを連れてきてくれた人は・・・?」
「このクロガネシティのジムリーダーのヒョウタくんだよ。今炭鉱にいるよ」
じむりーだー?
・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ、なるほど。
ジムリーダーね。懐かしい響きだ。
全て倒したのはゲームの話。
「ところで」
「はい?」
オレはおばさんの差し出してくれたおにぎりをお礼を言いながら受け取り、答える。
「なんでそんなところで寝てたんだい?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・言うのはなんだかなぁ・・・・。
「いたるところに擦り傷、切り傷。服の損傷は少ないけど・・・・」
そんな、心配顔をしないでくれ・・・。
言わなきゃならない雰囲気になってしまう。・・いや、もうしっかりなっている。
「いや、なんでもないですよ・・。
ちょっとポケモンに・・・」
言いかけてはた、と気がつく。
・・・ポケモン?そう言えば、
「すみません。夜月(よづき)・・・ブラッキーを知りませんか?」
この部屋にはいない。
「ブラッキーなら外だよ。嬉しそうに駆け回ってる。
一応仕事場だから危ないよって言ったんだけどねぇ」
・・・・あんにゃろう・・・・。
人様に迷惑をかけんなっ!!
「ありがとうございます」
もらったおにぎりを口に突っ込む。
怒りは全て右の拳(こぶし)にこめて、出来る限りの笑顔でお礼を言う。
ショルダーバッグを引っつかんで外に駆け出そうとして、
「ヒョウタくんのところに行くならこれを持って行ってやってくれるかい?
お昼なんだけどね」
「・・・・わかりました。ありがとうございます」
一体何への礼なのか。言った自分でもわからない。
そもそも、その『ヒョウタ』くんの所に行くつもりはさらさらなかったんだが・・・。
どうやら、炭鉱に潜らなけりゃいけない事になったようだ。
外
夜月を見つけるのは保育園児用の間違い探しよりも簡単だった。
向こうもこちらを見つけたらしく寄ってくる。
《なぁなぁ、ここすごいんだぜ。なんか機械みたいなのが黒い石を運んでくるんだ》
嬉しそうに報告してくる夜月。
お前は幼稚園児か!
オレは怒りをこめた右拳(みぎこぶし)をおもいっきり夜月の脳天めがけて振り下ろす。
ゴチッ。
《なにするんだよー!!》
「うるせぇ!人様に迷惑をかけるな!!」
《迷惑なんかかけてねぇし!》
「お前の存在自体が迷惑だ!」
《なんでだよー!!ほら、誰も困ってねぇじゃんか》
・・・まぁ確かに地上での仕事はほとんど機械がやっているらしく人影は少ない。
少しくらい遊んでも迷惑はかからないとは思う。
「ああそうかよ。・・・ほら行くぞ?」
《どこに?》
「そこ」
オレはぽっかり開いた地下への道を指し示す。
先はわずかなランプの明かりだけでほとんど見えない。
・・・・オレだって入りたいとは思わない。
《・・・おみやげは期待してないから》
「お前も行くんだよ」
《いやーだー!俺の本能が危険だと告げているっ!!》
地面に爪をたてて抵抗する夜月を引っ張ってオレたちは炭鉱の中へ。
2009.3.29 22:58:32 公開
2009.3.29 23:13:27 修正
■ コメント (8)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
09.10.28 22:10 - 森羅 (tokeisou) |
夜月かわいすぎです。ゆーとくんとの掛け合いがツボです。 ブラッキー人気ですよね。なぜか対戦するとあたること多いです。 といってもあまり対戦しないけど。 わたしのブラッキーはなまいき♀ちょっぴり見栄っ張りとツン揃っていますが対戦では滅多に使わないなぁ (いろんな意味で)とはなんなのでしょうか? 中途でコメントよりはポケメのほうがよろしいでしょうか? ポケメは送信内容保存できない+保存量がすくないのでフリーメールとかのほうが好きですけど 実際コメントは誰にでも見られるので緊張します “契約”は種類あるわけじゃないんですね。最悪のとかいうからいろいろあるのかとおもいました。 『捕獲できなくても強制的に言う事を聞かすことができる』ですか自発的な動きの妨げにならなければよろしいのですが 09.10.28 17:40 - 夜光 (iteboe) |
コメントありがとうございます!稲妻尻尾さん! はじめまして、ですね。読んでいただきありがとうございます。 夜月は人気者ですね・・・。 ゆーとより人気が高いかもしれません。 僕の小説の書き方が好きだといってくださりありがとうございます!! ではでは、未熟者ですが温かい目で見守ってくださいm(−−)m 失礼を。 09.3.31 21:00 - 森羅 (tokeisou) |
初めまして^^稲妻尻尾です。 貴方の小説、読ませていただきました。 とっても面白いですね。特に、夜月のキャラが好きです。 なんだか夜月君殴られましたが。大丈夫かぁ!? 情景描写というか、なんというか。森羅さんの小説の書き方が好きです^^ これからも頑張ってください(^ー^)b! 09.3.31 01:38 - 不明(削除済) (0024) |
後になってしまい申し訳ないですが、 KaZuKiさんコメントありがとうございます!! ジム戦は、どうでしょうか?(聞くな!) 今思えばゆーとはまだ一度もちゃんとした公式試合をしてないんですよね・・・・。(グラエナを除けば、ですが) ベルトコンベアーは僕も見るたびに「乗ってみたいなぁー」 と・・・・思ったのは小学生のころの話ですよ!!(本当かよ) ほほえましい、と言っていただければ幸いです。 では短いですか失礼を。 09.3.30 21:25 - 森羅 (tokeisou) |
もはや恒例ですが、時間順にコメントのお返しを。 コメントありがとうございます!45さん! 夜月のラストの言葉はですね、本当は「絶対に入りたくない!」と言う夜月の心理だったんですが・・。 でも、彼らの旅路が無事で済むはずが無いので・・・(笑) そういう意味もあるかもしれません(どっちだよ) 夜月の頭なら心配ないですよ。これ以上は壊れないハズです(え?) ではでは短いですが失礼をー! 09.3.30 21:16 - 森羅 (tokeisou) |
今回でクロガネシティに到着ですね。 夜月君はベルトコンベアーに興味深々ですか。 ユウト君は怒ってましたが、私には微笑ましい限りでした。 さて、次はヒョウタを探しに炭鉱内部へですか。 このままジム戦とかもやるのでしょうかね? それでは、次の話に期待しております! 09.3.30 17:05 - 不明(削除済) (fantasic) |
今回も、ゆーとと夜月のコンビは、面白かったです。 ヒョウタと遭遇しましたね〜、寝ていたときだけど。 あと、夜月の頭は大丈夫でしょうか?ポケモンだから、大丈夫だと思いますが、ゴチッて…^^: そして…夜月は、一体何を察したのでしょうか? しかし、強いんだから、大丈夫だと思うのですが…。グラエナを倒したのですから、自信を持って!と、応援しています。 では、短いですが、失礼します。 09.3.30 16:04 - 不明(削除済) (45syost) |
夜月が可愛いですか!いやぁ〜嬉しいですね^^
ブラッキーはポケモンの中で最高に好きです!!エーフィも好きです!ついでにフライゴ(もう止めろ)
ちなみに僕のブラッキーは能天気の♂ですよ(やめれ)
いろんな意味で、と言うコメントはそんな大した意味ではないのですが・・^^;奇数コメントになっていたので「コメントがある!」と騒いでいたのに最初夜光さんのコメントを見つけられなかったので、サイトの方でバグでも起こっているのかと思ってしまったんです。それと初めてコメントの方だったので驚いたんですよ(馬鹿としか言いようが無い・・)
いえいえいえーーー!途中コメントでも全然大丈夫です!!
と言うよりコメントもらうたびにパソコンの前で踊り狂いますので!
“契約”についてですが、はい。種類は特に無いです。細かく言えば方法が違うんですね。もっと細かい事はそのうち小説内で書く予定ですので、ここら辺りでっ!
それでは、失礼を。