生あるものの生きる世界
10.side ユウト×アヤ 研究所[ナナカマド]
著 : 森羅
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アツイ・・・。
イタイ・・・。
体が無意識に寝返りを打つ。
少しでも痛みが和らぐように。
しかし、痛みは和らがない。
どこからか声が聞こえる。
『貴方は私の願いを聞いた。』
『汝は我の声を聞いた。』
『さぁ、今こそ・・・・・・。』
今こそ、何?
答えはない。
《・・・ぃ。・・ト!・・起きろ!!》
うるさいって。
少しだけ目を開く。
辺りの光がオレの目を差す。
目の前には黒い犬?・・・猫か?
《いーかげんに起きろ!いつまで寝てるつもりだ!?》
・・・うるさいっつーの。
オレはその黒いのを黙らせるためにそいつのウサギみたいに長い耳を
おもいっきりつねる。
《痛てぇ!!離せ!!おい!聞こえてるだろうが!!いつまで、寝ぼけてやがる!!》
ぐー。
《おい!俺をつかんだまま寝るなっ!!・・・・チッ》
バコッ!
ゴツッ!
何か黒いものがオレの顔面に突っ込んで来た。
オレは後ろに吹っ飛ばされ、壁にぶつかったような音がする。
「痛てぇっ!!」
オレはあまりの痛さに目が覚めた。
頭に巨大なたんこぶが出来ているのがわかる。
その原因は何か、と後ろを振り返ると案の定、壁だった。
オレが寝ていたのは簡易ベット。その片方が壁に沿っていた。
《やっと起きたか》
そう言ってため息をつきながら赤い目でこちらを見てくるポケモン。
・・・・・・・・ポケモン?
「あぁ、そうか・・・。夢じゃねぇんだな・・・」
オレはしみじみ言う。
夢ではなく現実だ、と。
確かめるように。
《まだ寝ぼけてやがるのか?ご希望ならもう一発蹴りを入れてやるが?》
・・・ご、ご遠慮願いマス・・・。
「やぁと起きた?あんた、寝すぎよ」
そう言いながら部屋に入ってくるのはムウマを従えたブルーグレーの目の女の子。
想定『アヤ』。
「・・・そんなに寝てたのか?つーか、ここどこだよ?
あ、ついでにお前の名前って『アヤ』?」
「・・・それが、人にモノを尋ねる態度?しかもあんたに『お前』って呼ばれる筋合いはないわよ」
そういいながら『アヤ』はポーンと何か服を投げてくる。
オレはそれを受け取った。
「これ、何だよ?」
「あんたが着ていた服でしょ。博士に洗ってもらったから。
ちなみにその寝巻きも博士のだから。・・・博士にちゃんとお礼言いなさいよ」
博士?
「ナナカマド博士よ。ここは博士の研究所兼自宅。あんたは丸一日寝てたの」
丸一日?そんなに?
「起きたようだな」
男の声がする。
声の方に目をやると初老に近い年代であろう白髪の男。
だが、その白髪とつり合わない健康そのものな雰囲気が出ていた。
「博士!」
『アヤ』の声。
・・・えぇっと、この人が“博士”?
「私はナナカマドだ。気分はどうかな?シンジ湖で倒れたそうだが」
「あ・・・。はい、大丈夫です。えぇっと、泊めていただいたようで、ありがとうございます」
陸上部で鍛えられた完璧な上下関係はここでも適応されたようだ。
『アヤ』の視線が痛いが。
「とりあえず、着替えてから研究所の方に来てくれ。どういう経緯で君があそこにいたのか聞きたい」
「・・・わかりました」
オレがそう言ったのを聞いてから2人は部屋を出て行く。
・・・・だが、『聞きたい』と言われてもどう説明すればいいんだ?
「夜月」
《何だ?》
オレは着替えながら夜月(よづき)と名前をつけたブラッキーに話しかける。
「なぁ、オレ、どうなったんだ?あのオオスバメがグラエナのトレーナーを気絶させたのは覚えてる。だが、その後から記憶が無い」
《知るか。俺が聞きたいくらいだ。『契約者』なんて昔話でしか聞いた事が無い》
「・・・いや、それもオレが聞きたいんだって。『契約者』ってなんだよ?」
《何も知らないだと?・・・あいつらに聞いた方がわかりやすいだろう》
あっそ。ならそうする事にする。
《さっさとしろ、ユウト。人を待たせるな》
へいへい。わかりましたよ。
「んじゃ、行くか」
《あぁ》
オレはドアを開ける。
side???
やっと序章(プロローグ)が終わったようだね。
でも、まだ全ては始まったばかり。
もしくは、今全てが始まったんだ。
賽(さい)はどこに止まるだろうか?
2009.3.21 22:02:05 公開
■ コメント (2)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
12.7.15 00:08 - 森羅 (tokeisou) |
次から次へと非日常の出来事が起きていくんですね 他愛もない日常と若干の非日常を 延々と繰り返す私の物語とは大違いです ポケモンアニメに似たような形ですからね 正確には物語はゲームの流れに沿っています とりあえず 私は自分の作品に 非日常を多く取り入れたいと思っております でも具体的に非日常とはどんなものでしょうかね 経験が少ない私にとっては難しい問題です さてと 寝ながら考えましょうかね 12.7.13 22:31 - 不明(削除済) (wert) |
まあ、異世界ものですからね。彼にとっては非日常的な感覚かもしれませんが、ナナカマドや彼女にとってはそこまでのに非日常感はないかもしれません。
他愛もない日常とは非日常とは、skyさんの小説の登場人物たちにとっての日常とに非日常でしょう?誰かにとってはそれはすべて非日常的な日々なのかもしれませんよ。
アニメのサトシ達にしろゲームの主人公たちにしろ、僕から見れば決して彼らの生活は「日常」には見えませんしね。
非日常を取り入れるですか、小説執筆頑張ってくださいねっ。
それでは、失礼を。