生あるものの生きる世界
9.side ケイヤ 病院[デアイ2]
著 : 森羅
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一睡も出来なかった。
眠いのには違いないんだけど、眠れない。
お母さんはずっとゆーとのお母さんをなだめていた。
ゆーとのお父さんは姿が見えない。
一晩中手術室のランプが赤く光っていて、
『手術中』の文字が白く浮かび上がる。
すすり泣きはずっと、悲鳴はときどき。さして広くも無い廊下にこだまする。
幻のように実感が無い世界。
ランプが消えたのは朝方だった。
眠気で目が充血しているのがわかる。
かすんで、乾ききっている。
手術服に身を包んだ医者が最初に出てくる。
ドウナッタノ?
ぼぅ、とした頭と焦点の定まらない目でその人の言葉を待つ。
永遠ともおぼえる間の後、
「手術は成功です」
助かった・・・?
たすかったの?ゆーと。
・・・・そういえばぼく、制服のままだぁ。
ふとそう思い出して笑いが出てくる。
「・・私達は一度帰りますね。慧哉、一旦家に戻ろ。今日も学校あるでしょ?」
そのお母さんの言葉でぼくは現実に戻る。
いやね、ずっと現実だったのには違いが無いんだけど、
お母さんの言葉はあまりにもいつもの日と変わりの無い言葉だったから
今日学校に行ったらゆーとがいつもみたいにいるみたいな、
これが夢だとでも言うように感じてしまう。
「学校が終わったらまた来ます」
そうとだけ挨拶してぼくは家に戻る。
ニチジョウに戻るために。
学校の後、ぼくは信じられない出来事に出くわす羽目になる。
「君は・・・まさか・・」
ゆーとは集中治療室だったので入る事を許されなかった。
けど、その扉の前に、
黄金(きん)にきらめく9本の尾と炎を連想させる赤い目の狐が座っている。
「まさか・・キュウコン?」
ポケットモンスター。
縮めてポケモン。
ぼくと『彼女』の出会いはぼくにとって間違いなく『非』ニチジョウに違いなかった。
2009.3.20 23:14:23 公開
■ コメント (2)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
12.7.14 23:58 - 森羅 (tokeisou) |
凄く眠たいのに全く眠らないときは私にもよくありますね 色々寝るときに考えるので・・・・・・ (物語のネタは主に寝るときに考えます) だから 覚醒夢をたびたび見るのだと思いますが・・・ それとこの話しとは全く関係ありませんが 友人が交通事故で手術など実際にはありえない(たびたび起こっていますが 全国各地で)ですね 目の前で交通事故が起こった時はありましたが・・・・・・ そして 最後に登場したキュウコン― キュウコンは私の好きなポケモンです なんか姿形がなんとなく好きなんですよね 後はエスパータイプのポケモンなどですかね 12.7.13 22:25 - 不明(削除済) (wert) |
眠たいのに寝れないってときありますか?それはそれは……。寝てる時に考えるって感覚はぼくにはよくわかりませんが、夜暗くなると筆を執りたくなるという意味では寝るときに考えてる、に似ているのかもしれません。
友人が交通事故で手術ってないんですか?skyさんの経験上ないって意味でしょうか?申し訳ありません、少し、わかりかねます……。
はい、キュウコンです。可愛いですよね。
好きなポケモンなのですか、それはなによりです。僕も好きですよ。フォルムも素敵ですし、設定も素敵ですしお美しいですし。
それでは、失礼を。