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生あるものの生きる世界

著編者 : 森羅

100.sideアヤ 防御と言う攻撃[バリア]

著 : 森羅

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「君が持つのは無限の力。誰にも犯されることの無い力だよ」

優しく笑う『彼』にあたしは首をかしげた。

「君は僕に力をくれた。・・ありがとう。それだけで僕は立っていられる。胸を張れる。
覚えておいて、君は選ぶ事ができるんだよ。何でも選べるんだよ。
だけど、お願いだから・・・」

『僕のようにならないで』

それは『あの人』の呪文だった。
いつもいつも、何を話してもどこか入るその言葉。

それがあたしには悲しかった。
どうして自分の強さを否定するのって。
どうして自分の優しさを認めないのって。

『僕のようにならないで』

頭の中で静かに穏やかに響く、声。
あたしはそれを聞き入れながらも受け入れない。

だけど、貴方は強かったじゃない。
だから、あたしは選んだの。

何度でも何度でも、

貴方の優しさが作った道を、あたしは走って行きたいって。



《むー、やっぱり言葉おかしいかい?あーちゃん》

あたしはアルフェッカに呼ばれて我に帰った。

「・・・おかしいかも」
《ほんとにあの若年寄のじじいルカリオのせいで、言葉がおかしくなったからねぇ》

古い言葉が混ざったようなアルフェッカの言葉の責任は全てゲンのルカリオにあるらしい。
もともとはこんな話し方じゃなかったんだって。

《まぁ、いいかね。あーちゃん、指示くださいな。さっさと、蹴散らしてしまおうて》
「うん」

アルフェッカの言葉にあたしは頷く。

「なんだぁ?炎タイプで一発だろぉ?」
「アヤ、さん!」

誰かの声(多分マグマ団)の声とスモモちゃんの声が混ざった。
それと同時にいくつもの炎が吐き出される。
でも、あたしは気にしない。

「アル!いけるわよね?」
《はいな》

アルフェッカは自分の大顎で床を殴った。

「“げんしのちから”」

あたしの声とほぼ同時に床のタイルがせり上がって炎からあたしたちを守る。
本来の攻撃技ではなく、防壁を貼るためだけの“げんしのちから”。
もっとも、それは確かに攻撃も含まれてるんだけど。

防御は最大の攻撃、それがアルフェッカの戦闘スタイルだったりする。
クチートというポケモンは実はあまり防御力が高くない。
じゃあ、特防が高いのかと言われるとそれも高くない。
攻撃、特攻、スピード、どれも中途半端。
さらに加えてアルは目が見えない。
だから、アルフェッカは

『周りを利用する』ことにあたしのメンバーの中で一番長けている。
アルフェッカが生きるための、それは必要最低限の知恵だった。

「アヤさん・・・」
「スモモちゃん、あたしの後ろにいて。ごめん。だけど手を出さないでくれる?」
「・・・あ、わかったです」

アルフェッカの防御(攻撃)範囲は広い。
スモモちゃんには巻き込まないよう後ろに下がってもらう。

「アル!休ませないで!“げんしのちから”!」
《強気だねぇ!!やっぱり出入りはこう派手じゃないと!》

あたしに応えたアルフェッカは先程と同じように今度は3回床を叩く。
波紋のように振動は床を伝わり伝わった振動は床をせり上げさせる。せり上がった床は防御壁が展開し、3重のそれはそこにいたポケモンとトレーナーを吹き飛ばした。
だけど、それでも防壁をすり抜けて跳びかかってくるポケモンはいる。

があああ!という声を上げてあたしに向かってくるポケモンは3匹。
その全てがあたしまで届くことなく切り捨てられる。

《足元がお留守だねぇ。妾(わたし)の事をお忘れかい。
妾(わたし)がただであーちゃんに手出させるとでもお思いかい?
この顎(あぎと)は飾りじゃあないんだよ》

鋭く光る顎は“てっぺき”によって強化されていた。

「アル。大丈夫?」
《舐めるんじゃないよ。恐怖なんかあるものかね。
盲(めしい)の妾に恐怖なんぞありはせんよ》

目が見えない恐怖。
それ以上怖かったものなど何もないとアルはそう続けた。
今ももちろんアルは目が見えない。
反応できたのはある種の勘だと、アルは前に言っていた。

空気を読むんだよ。神経を鋭くさせて。
目をつぶってみたらいい、いつもならわからない事がわかるから。

アルはそこまでたどり着くのに必死になって生きてきたはず。
足りない所を補うための努力を必死で行ってきたんだろう。
あたしはそんなアルにアルが見えない光を見る。

「さ、さっさと残りやっちゃいましょ!」
《はいな!任された!》

アルの鈍い赤色の目が蛍光灯の光を反射させた。



























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2010.2.28  02:04:28    公開
2010.3.25  14:46:16    修正


■  コメント (6)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

コメントありがとうございます!!KaZuKiさん!!
いいえ、コメントしてくださるだけで十分ですので!!謝られることなどありませんよ。

おろ・・・?そういえば確かに。アルフェッカもといクチート種は洞窟生息だから実質的には目を使わないですね・・・・(汗)いえ、裏話になりますが、実は普通のポケモンの予定でした。ただ、盲目のネタだけはユウトのトロピウスに使おうかと置いてあって・・・・結果的にトロピウスには使わなかったので、そのままたらい回しようにアルに回ってきたのです(アル《なんと?》)
“げんしのちから”・・・アヤはもったいないことしますね(誰のせいだ)彼女はユウトも言ってましたが、脊髄反射で生きてますので、すでに4回も使ってたり・・・(苦笑)

あぁ!アルはゲンからもらったポケモンですよ。アヤサイドの『盾[マモルタメニ]』の最後でちゃんと出てます。

次のアヤサイド・・間違って分離しちゃったやつなんですよね・・・。
本来101はユウトサイドだったはずなのに何を間違えたのか100を完結させて投稿してしまったんです・・。
いえいえ、とにもかくにも頑張ります。ありがとうございます!!
それでは、失礼を。

10.3.4  15:28  -  森羅  (tokeisou)

いつのまにか新話出てたぁぁぁ!?
うわぁぁ! すいません気づきませんでした!
もう次の話入っているし! 本当にすいません!


さて、これ以上暴れると迷惑だ……本当に。
さて、今回は前回に引き続きサイドアヤでしたね。
盲目のアルフェッカですか、元々クチートは真っ暗闇の洞窟に生息するくらいだし、それほど目には頼らないのではないでしょうか?
その過程で成長したのが、擬態化した触覚のようですし、クチートの出現場所から考えても本来の目はあくまで色を認識する、補助機能のようなものではないかと、想像します。そういった意味では案外盲目のクチートはマッチする気がしますね。
しかし、『げんしのちから』を防御に使いますか、まぁ考えようによっては防御にも使えますよね、しかしPP5の技を乱発するのは勿体無い……ここぞで使えなくなることがゲーム中でもよくあるだけに乱発は危険ですね。

しかし、ゲンのルカリオの話題が出てましたけどどこでゲットしたんですかね?
まぁ、アヤとアルのコンビにも、らしいバトルを期待しています!
さて、次のサイドアヤのようですけど、頑張ってくださいね!

10.3.3  16:09  -  不明(削除済)  (KaZuKiNa)

コメントありがとうございます!!45さん!

クチート、アルを気に入っていただけましたか!ありがとうございます!!生まれついて眼が見えない人はその分感覚が鋭敏だったりするという話を聞いたことがあったり無かったり(どっちだ)多分、その感覚が当たり前になってくるのではないかと・・。まぁ、目が見える自分が何を言ってるのかという話ですが。

カウンターというより盾ですよ盾。マジックコートやミラーコートみたいな雰囲気で一応作ってます(だからカウンターじゃん)

てっぺきも、実は本編には書いてませんが、てっぺきで強化した後いあいぎりだったりします。はがねのつばさ的な。

鋭いですね45さん。
彼、の話はもう少し後です。強い人だったことは確かでしょうね。本人は・・・いえ、それは本人に語ってもらいましょう。

それでは、失礼を。

10.3.2  18:55  -  森羅  (tokeisou)

うわわわーーコメントが2つも!!

コメントありがとうございます!!ハミングさん!
ニートですか、いいですね。僕なんかテスト前だと言うのに卒業式用にアルバム作る羽目になって一日がかりでした。あぁ、終わった頃には空が真っ黒に。僕の血の気は引きましたね(笑)

スモモは・・・多分サシの勝負ならマグマ団に勝てるでしょうね。ただ、『人間も狙える』という変則的なルールに対応できなかったから、こうなったという感じです。ゆーとは・・ゆーとは大丈夫だと思いますよ、主人公だし(ひでぇ
アヤの『彼』も確かに自虐的ですねぇ。ケイヤサイドの・・・あぁ、彼ですね。ネタバレはもう少し後ですので!!!
アヤの手持ち・・・アルですね。嫁、ですか??
ゲームでは確かに扱いにくいポケモンでしたorzでもルビーやってた頃に頑張って手持ちに入れたり。技のレパートリーが多いんだもん(言い訳)本当はもっと、“盾”って感じの鋼ポケモンを入れたかったのですが、防御力高い奴はまぁ、可愛くない事。ゆーとだったら文句なしでハガネール直行でしたが、アヤは女の子だったのでかなり悩んだ末の苦肉の策です。
“げんしのちから”は、その場での思い付きだったりします^^;面白いといっていただければ何よりでございます!

それでは、失礼を。

10.3.2  18:46  -  森羅  (tokeisou)

感想を書いたつもりでいた45です(ぇ

テストに入る前に感想は書いておこう→森羅さんの作品イイナ!→感想を書いた気に……。

『目に光を映すことのない、盲目のポケモン』っていう台詞がもう、何だか一発でクチート「アル」の魅力を引き出している様で凄く良かったです(いや、アルは盲目で色々と不便でしょうが……

新しい仲間のクチート:アルさんですか!
いやー、戦い方も真新しく新鮮です^^

防御は最大の攻撃ですか……カウンター型傾向ですかね?
と言うか、滅茶苦茶強いじゃないですかー!?周りを利用する……フムフム。

鉄壁も防御ですけど、攻撃に転用ですか……本当に凄い^^;

そして、少し話題が戻り、来ました『彼』。
なんだか、全てアヤの原点であり、強い方だったんでしょうね。
しかし、彼自身はそれを嫌っているのか、それとも、アヤには『強く優しく』見えても『普通なら駄目なこと』なのか……。
相変わらず、自分の思考能力に負荷が掛けますね(−−;)

では、次回も期待して待っています!
失礼しますm(_ _)m

10.3.1  20:31  -  不明(削除済)  (45syost)

こんばんはです、森羅様。土日は見事にニート状態でしたorz
スモモ再登場!と思いきや既に蠱毒の餌食でしたか(;ω;) ジムリーダーでこれなら急がないとゆーとも危険ですね。
そして“彼”の新しい伏線が出ましたか。自虐的になってる辺り、ケイヤサイドの彼みたいな感じもしますが…ぬむ、真相解明を期待してますb
アヤの新しい手持ちの登場ですね!みんなの嫁ktkr(
ゲームではバトルに向いてませんが、ここではかなり面白い戦い方をしてくれてますね。原始の力をそうやって使うとは意外でしたΣ(°o°)
ここから銀河サイドの人海戦術をどう切り抜けるか楽しみです!
ではでは乱文失礼しましたっ!

10.2.28  22:05  -  不明(削除済)  (lvskira)

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