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オリポケ短編ノベル集
とある元雪山遭難者(兼旅人)の話。
著 : 不明(削除済)
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そうだ、一つ昔話をしてやろう。
まぁ、昔話といっても桃太郎とかそんなんじゃない。
俺の体験した事だ。
++ ++ ++
今から、10年ほど昔の話。
当時俺は遺跡発掘者の仕事をしていた。
人気の無い荒地や、暗く湿った洞窟とかを探検して、遺跡を掘り当てるっていう仕事だ。
その時の俺は遺跡発掘班の班長を任されるほどの実力だった。
ある日、俺の元に一通の依頼が来た。
とある極寒地域の雪山に、珍しい作りをした遺跡があるらしい。それを探してくれ。
という内容だった。
しかし、その時は運悪く1月の上旬。
俺が居る場所でさえ寒いのに、もっと寒い所の遺跡を発掘しろというのは流石に難題だ。
隊の者は春に行きましょう。と言っていた。
だが、俺は好奇心が抑えきれなくなり、今すぐ行くと決断してしまった。
そしてとうとう、その遺跡がある山に来た。
やはり、その時に行くんじゃなかった。寒いのなんの。
手足が凍ってしまいそうな寒さだった。
隊の者は全員ふもとの村に着いた瞬間凍えてしまい、一歩も動けない状態になってしまった。
仕方なく、俺一人で行くことにした。
山の中腹まで来た時には、流石に俺も凍え死にしそうだった。
吹雪が視界を遮り、足元に積もった雪は俺の歩みを遅らせる。
ふと気づくと、いつの間にか遭難してしまっていた。
通信網となる無線は電波状況が悪く、救助を要請できなかった。
仕方なく、エアームドをモンスターボールから出して救助要請の手紙を送った。
隊の者は居ないし、道は分からないし・・・。
途方に暮れていた俺は、仕方なく辺りを見回して、非難できそうな所を探した。
運よく、洞窟を見つけた。
その中で俺は焚き火をしようとした。
しかし、その中にはリングマとヒメグマの親子が冬眠していたんだ。
アイツらの冬眠を邪魔をしたら、命がなくなると思い、俺はデイパックの中に入っていたモンスターボールを取り出した。
その中からアチャモを出して、それを抱いて俺は寒さを凌ぎながら救助を待った。
何時間待っただろう。
時間は過ぎていくばかりで、救助は一向に来ない。
しかも、眠気が襲ってきて視界が歪んできた。
『くそ・・・・。此処で終わりか・・・・』
諦めかけたその時だった。
吹雪の奥から、灰色の影が見えた。しかも、その影は此方に向かってくる。
『救助・・・か・・・?』
朦朧とした意識の中で、俺はつぶやいた。
しかし、俺の意識はそこで途絶えてしまった・・・。
顔が異様に冷たく、目が覚めてしまった。
そういえば、俺は・・・・。
と振り返っていると、目の前に見慣れぬものが居た。
雪のように白い体に、ヒイラギのようにとがった緑色の耳。
同色の尻尾。
そして、目が赤く、額には同色の水晶がついていた。
何だ、こいつは・・・。
その姿に見とれていると、そいつは踵を返し洞窟の外へと向かっていった。
入り口付近まで来ると、そいつは俺のほうを振り返ってじっと見つめていた。
付いてこいという意味なのか・・・?
俺は眠っているアチャモをモンスターボールの中に戻し、そいつに付いて行く事にした。
吹雪の中、俺はそいつに付いて行った。
時々そいつは、俺のほうを振り返って付いてきているかを確認している。
こいつは俺を迷わせようとしているのか、それとも・・・。
気がつくと、山の入り口だった。
隊の者が俺を出迎えてくれた。
隊の者の話では、救助要請の手紙は届いていた。
しかし、この吹雪では自分達が迷ってしまう可能性があると思い、もう少し待ってから行くことにしたらしい。
すると、近くの枯れ木から、俺のエアームドが飛んできた。
俺の頭の上を旋回したあと、俺の腕に止まった。
そういえば、俺を助けてくれたあいつが居なかった。
隊の者にその事を話してみても、情報は無かった。
その夜、ふもとの旅館で体を休めていた。
しかし、あいつの事が忘れられない。
旅館の従業員に話を聞いてみても何も情報を得られなかった。
しかし、女将に話を伺った所それと関係のありそうな情報が得られた。
なんでも、俺の登った山には神様のようなポケモンがいるらしい。
雪のように白い体。
緑色の耳と尻尾。
赤い目に同色の水晶。
俺の見たのと全く同じだった。
イコール、俺は神様のポケモンに助けられた。
ということになる。
++ ++ ++
いやぁ〜、その時は感動したな・・・。
まぁ、結局吹雪はやむことが無かったので遺跡は発掘できなかったがな・・・。
ん?その山?
今ではスキー場になっちまったよ。
多分、その神様も相当怒っているだろうな・・・・。
もしかしたら、他の雪山に移っているかもしれないな・・・。
まぁ、どうあれ。
俺の話は終わりだ。
此処まで聞いてくれてありがとうよ。
・・・・ん?
俺の事か・・・?
まぁ、『通りすがりの旅人さん』って呼んでくれればいいから。
じゃな。
2009.7.22 12:21:31 公開
2009.7.22 12:24:22 修正
■ コメント (2)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
09.7.25 21:27 - 初代@にぱー>< (45LDK) |
さーてさてさて。参加してよかったのか。 冷夢です。 今回は季節はずれの話を書いてみました。 えっと、そんで物語中のオリポケを紹介します。 名前・スノーウ 性別・ありません。 タイプ・氷、草 詳細 雪山でひっそりと暮らしているポケモン。 その山で遭難した人やポケモンをふもとまで案内する習性がある。 しかし、心の清き者の前にしか現れないので、地元では神様と呼ばれていることもある。 あれ?何処かで見た事あるぞ? と思った方、それはその作者さんと私が同一人物だからでしょうか?(何故疑問形) では!! 09.7.22 12:30 - 不明(削除済) (neuro) |
かの語り手スタイルですね。
ここは私自身が一番勉強になってたりします。
オリポケの詳細までありがとうございます。