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キミの名を嘆く〜失った”モノ”は〜

著編者 : 窮爽

おんぷ24 己と不安

著 : 窮爽

イラスト : 窮爽

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「…母さん……父さんも同じだ…僕の事を気味悪がってる…」
「…――…」
「ちょっと!辞めて!」
「…良いんだ。僕は出ていく。」
「待て!」
「…大丈夫。…いつか楽にしてあげるから…」


「!?」

な、何?!
…あぁ…夢…か…
僕はベットからガバッと起き上った。全身は汗でびっしょりだった。
…また…

「はぁ…はぁ……最近…変な夢ばかり…」

僕はそう呟いた。最近、おかしな夢ばかり見るのだ。
一つ一つ、内容は違うのだが…共通点がある。
それは…人間が出てくるのだ。人間が多く出て、ポケモン達は少々出るほどだ。
人間達やポケモン達が必ず何かをしているのだ。それを自分が見ている。
…それと…必ず、小さな男の子が出てくる。名前が出ているだろうという所はいつも聞き取れない。
…が、自分の姿は見えない。それらが共通点。

「…今回は…ちょっと悲しかったな…」

僕はボソリと夢の感想を呟いた。
夢では、少し男の子が嬉しそうな場面や悲しそうな場面がある。…今回は悲しそう…
…でもあって…何処か…孤独で…

「…最近…悲しい夢ばかりだなぁ…」

そう。最近は悲しげな夢ばかりだ。
…何故だろう。自分の胸にグサリとナイフが刺さるような感情が芽生えてくる。
…自分と…関係あるのかなぁ…

「…いや…考え過ぎだよね…僕はポケモンだし、この世界に居たんだから…人間が出てる時点で関係ないよね…」

僕はそう考えを振り払った―

             ○●○

「よし、行くかぁ!ケケッ!」

朝食を終えて、僕等は外に出た。ゲンガーはフワフワと外に出る。
…さすがゴーストポケモン…フワフワ浮くんだね。…あれ?

「ピカチュウ、どうしたの?浮かない顔してるけど…」
「え?あ、あぁ…大丈夫です。」

ピカチュウが何か悩んでいるような表情をしていたので僕が尋ねるとピカチュウは微笑んで答え、歩きだした。
うーん…緊張してるの…かな?

「おい、置いていくぞ。」
「え?」

ジュカインに声を掛けられ、僕はふと見る。
皆は向こうの方に居て、僕だけが居る状況だった。
僕は急いでみんなのもとへと向かった。

「はい出ましたねぇ〜☆いやぁ、せっかちさんは困りますねぇ?ケケッ!」
「…お前な、せっかちは辞めろ。最近2代目短気って呼ばれかけてるんだぞ。あと、真似はするんじゃない…」

ゲンガーはそうからかう様にそう言った。
ジュカインは呆れ顔で言った後、吹き出しそうになっていた。
…だ、誰の真似?しかも、2代目短気??

「そんな事は良いから早く行くぞ。」
「そうですね。さ、行きましょう!」

エルレイドが声を掛け、ムクホークもそれに同意する。
そして、僕等は光星の洞窟目指して歩きだした―


「…まだかなぁ…結構遠いんだね…」
「飛んでいくわけにもいかないしなぁ。」
「俺等重いしな。」

夕方頃。
全然洞窟が見当たらない!
僕が呟くとゴローニャがそう言った。エンペルトはため息交じりで呟いた。

「…とにかく、今日はここまでにして此処で野宿にしないか?」

ジュカインの提案に僕等は頷いた。
そして、夕食を取り、眠りに就いた―

              ○●○

「…まぁ、別に構いませんけど。」
「あ!ホント?やったー♪」
「…棒読みですからね。」
「いやいや♪気のせい気のせい!」
「…邪魔だけはしないでください。」
「ふふん♪邪魔だなんてやっぱり――って素直じゃないわよね〜☆」
「…余計です。」


「!?」

…また…
時間帯は明け方。僕はまたもや夢で目が覚めた。
また全身汗でびっしょりだ。…あれ…
今度は…男の子じゃない…男の…人?

「…もしかして…あの男の子の…記憶…?」

僕はそう呟く。…だって、日に日に…男の子が成長しているような気がする。
…昨日見た夢から…一気に飛んだよね…

「…はぁ…何で肝心な名前の所で聞き取れないかなぁ…」

僕はそう悔む。
…名前だけでも知っておきたかったのに…

「?早いな。」
「え?」

僕はそう声を掛けられ、振り返った。
そこにはジュカインが起きていた。

「あれ?ピカチュウも起きてたの?」

そこに奏音さんも木の陰からやってきた。

「…まぁ、俺はいつも早いからな。…何だか考え込んで居たみたいだが。」
「え…?」
「…朝も様子がおかしかったけど…」

ジュカインさんと奏音さんに尋ねられ、僕は考え込んだ。
…どうしよう…

「言ってみてよ。相談なら乗るし。」
「……」

奏音さんの言葉に僕は小さく頷き、2匹に事情を話した。

「夢…かぁ…」
「…お前はその夢と自分は関係あると思ってるのか?」
「…分かりません…でも…僕はポケモンで、この世界に居たわけですし…人間が出てる時点で関係ないんじゃないかとは考えては居るんですけど…」

ジュカインさんの質問に僕はそう答えた。
…本当にそう思うし…

「…まぁ…また何かあったら言ってよ。僕、相談に乗るし。」
「あ、ありがとうございます。」
「……もうすぐ朝だ。」

僕と奏音さんがそう話す中、ジュカインさんは空を見上げながら呟いた。
僕等も空を見上げる。…あ…ホントだ…空が若干青い…
…ちょっと相談できてスッキリしたなぁ…
…うん。今は今やることに集中しよう…
僕はそう心を落ち着かせるのだった―

おんぷ24 己と不安

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2011.6.29  23:14:28    公開
2011.6.29  23:33:42    修正


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