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キミの名を嘆く〜失った”モノ”は〜
データ8 揺れぬ心
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「そうよ?当たり前じゃない♪ったく、ルイって一匹狼タイプよね〜。昔誘っても暫くして来てくれなかったんだもの。」
「誰がお前みたいなやつがまとめてる組織に行く。」
俺はギロリと藾を睨みつけながら言った。
藾は「お〜、怖怖。」と言って笑っている。
「結果は見えてるんだもの?だから貴方も皆も私の味方すればいいの♪」
「まだ結果は見えてない。」
お前だけには…絶対…
「…言っちゃうけどさ、それ強がりって言うのよ?…本当は…自分の信じた事が失敗する事が怖『お前に言われる筋合いは無いね。』」
藾が言い切る前に俺は言葉を遮った。
…無い。そんな事…絶対あり得ない。
「言っとくけど…私、まだ心読めるからね?分かるのよ?…どんなにその思いが奥に隠されていてもね?」
藾は右手を腰に当てて自信ありげにそう言った。
…そんなの知った事じゃない。
「私が憎くて憎くて…でも恐ろしくて。…そーでしょ?」
「……っ」
藾の言葉に俺は言葉を詰まらせた。
…認めない。恐ろしいなんて…認めない…
…落ち着け…これは単に相手の追い込み…
「もしかして、昔のことまだ怒ってんの?」
「…そうだとしたら?」
俺はそう訊き返す。
…あの場面が脳裏によぎった―
○●○
俺がまだ幼かったころ。まだ、ジラーチにであっていない頃…
突然、藾が家から居なくなった。
藾の事は初めからあまり好まなかった。相手からよく話しかけてくるのだが、俺は「ふぅん。」などの返事し返さなかった。
…それから10年後。
『ドール』という組織を作り上げ始めた頃―
藾が尋ねてきた。
藾はニコニコと昔と変わらない笑顔で居た。
…だけど、どこか違った。
…昔もそうだが…何処か恐ろしかった。
藾は『人間とポケモンは別々にさせるべき』と、自分と同じ考えを示した。
…だけど。
「ねぇ、ちょっと話聞いてくれる?」
「え?あ、はい。」
廊下を歩いている時、とある部屋から藾の声と男の声が聞こえてきた。
男恐らく団員だろう。
俺はそっと耳をすませた。
「貴方ってルイのことどう思う?」
「え?ボスの事ですか?…僕から見れば凄い人だなぁって…」
?僕の話だろうか?
その時、俺はそう疑問に感じる。
「あの、藾様はどう思っているんですか?」
「私?すっごく頼りになる子って思ってるわ?」
『今までで一番頼りになるお人形よ?』
…は?
その言葉の意味が理解できず、考え込む。
…あぁ、そういう事か。
人間は騙し合ういきものだ。…だまして、利用し合っている。
「に…人形…ですか…?でも…何故ですか?藾様と一緒に行動されているんですよね?」
「えぇ。目的は一致してるわ。あの子は私と同じで力を持っている。…でもね?」
『私以外の生き物はみーんな劇の中のお人形なの。…例え、血が繋がっていてもね?』
「え…?」
「私はね、お人形達の劇を見るのが楽しいの。絶望したり…悲しんだり…怒ったり…喜び…ま、特に楽しみにしているのはお人形が絶望になっているシーンかな?」
…そうか。…僕等はもてあそばれているのか。
…彼女が作り出した組織というステージで…
「あの子がね、一番というのはあくまでも劇の中の設定上。…本当のね一番は私なの。お人形を壊すか捨てるか使うかも…私次第。これ、成功した時…私が頂点。…今回のね、劇の名前はね…『一番だと信じていたお人形』…って言うの♪あの子には絶対手伝ってほしい。…劇もある。…他の人よりもすぐれているし…ね。ま、姉の私に逆らえるはずがないと思うけど♪…弟は姉に従えばいいの。」
藾はそう愉快に話した。
…はは。そうか。これは彼女の作りだした劇でしかない。…で、その悲劇の主人公が…自分という訳か。
…ははっ。ハハハハハハハハハ………
『フザケルナ』
○●○
…それからだ。俺が彼女が憎くたまらなかったのが。
そして、彼女との共同は打ち切った。
誰がそんな劇の主人公になるか。ふざけるな。
「それにしても、何故すぐに自分は行動しなかった。」
「ん?だって、確実に成功させるためだもの。…慎重に・・・ね?」
彼女は目を細めてそう言った。
「…20年前の失敗…一緒に取り返しましょ?…でないと、『成功のお人形』から…『実らないお人形』…になっちゃうわよ。…貴方の仲間だってそう。…みーんな、私の味方になっちゃえばいいの。」
藾はニヤリと口の端を上にあげて言った。
…なら。
「なら、お前は『悲劇の人形』にしてやる。」
「頑固ねぇ……ま、いいわ。…1つ教えてあげる。これを聞けば理解できるはずよ?…人間はね、単純なの。…感情さえ…記憶さえ無くなれば…簡単に何本もの糸に繋がれたお人形に完成するの。…なら、その感情と記憶を…操ってしまえばいい。その2つを操っている神を操ってしまえばいい…」
藾はそういってボールからサーナイトを出し、テレポートで去って行った。
…記憶と…感情…?
「………神……」
…記憶と感情の…神…
!…そうか。
「…シンオウ…地方…」
俺はそう呟く。
…とりあえず、戻ろう。
そうして、ゾロアークを出し、フーディンに化け、テレポートを繰り出してもらった。
そして、アリエス地方に戻る。
…あいつだけには…何があってもついて行かない…
…皆だって…ついて行くはずがない…
…俺よりも強い、揺れない心を持っているのだから…
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2011.6.24 00:17:15 公開
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