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そこには言海壮の住人が全員集合していた。
まぁもの凄い大きな音だった。無理もないだろう。
おかしいと思わない人間の方が希少であろう。
そしてそこにあった物とは。
「何コレ…？」
所謂未確認飛行物体、俗に言う“ユーフォー”というものがあった。
高いところから落ちてきたのであろう。
少し地面に埋まっていた。

カチャ

すると、いきなりユーフォーのドアが開いた。
「…随分普通に開いたなぁ…」
シャワが呟く。
よくあるイメージでは自動でドアが開いたりするものだがこれは一般な家庭のドアとまったく同じだった。
そこから出てきたのは。

普通の人間。
蛸型宇宙人のように足が何本もあるわけでもなく。
人型宇宙人のように目が黒く大きいわけでもなく。
そこから出てきたのは自分たちと同じ人間だった。
黄色い髪をして同じく黄色い耳の生えた、女だった。
だが顔だけを見ると女には見えないのだが。
その感情があるのかという目でジッと言海壮の住人達をを見据えている。
暫く沈黙が続いた。
その静けさは言海壮ではあり得ないものだった。
いつも五月蝿く、止むことなく喋っているブイでさえ、目を丸くして呆然と立っていた。
「ここは、地球か？」
沈黙が破られた。
破ったのは金髪の女。
いきなりのことに全員ついていけないでいる。
ただ一人を除いて。
「ああ、ここは地球だ」
淡々と答えを述べたのはブキ。
「そうか…地球も久々ナリな…」
女は透き通ったような青空を見上げて言う。
その言葉はこの場の緊張感という糸を切った。
「「「“ナリ”ぃ……？」」」
シャワ、ブイ、エフィがハモった。
その変な口癖（？）に疑問を抱く。
そんなことも気にせずブキは
「して、お前は誰だ？何の用で此処に来た」
相変わらず淡々と質問を投げかける。
「そうか…自己紹介がまだだったでシね。我はサン。ここから遠く離れたプイプイ星の王ナリよ」
「でシね…？」
「プイプイ星…？」
「王…？」
さっきの三人は更に聞き返す。

掴み所がなさ過ぎる。
まずその変な口癖のようなものはなんだ。
プイプイ星ってなんだ。
なんで王なんだ。

訊きたいのだが訊けない。
なんか訊いた時点で色々と駄目な気がする。
なんでと言われたら困るのだがなんとなくそんな気がする。
「で、今我の宿泊先を探しているのだが…。どこかいい場所知らないニョ？」
つっこみたい。
ニョってなんだよ。口癖をコロコロ変えるなよ。
つっこみたい。
でもつっこんだらいけない気がする。
すごい、もどかしい。

「ふむ…。ならここならどうだ？一応アパートのようなものだから別に構わんぞ。お前の話も聞いてみたいしな」

「構わんな？シャワ。」
ブキは勝手に話を進める。
シャワはこの意味はすぐに理解できたようだ。
反論しようと思ったがやめた。
ブキに逆らうと殺される。
以前反論したら一日中マシンガンを向けられて追いかけられたことがあった。
そんな思いをしてまで拒否することはできない。
大体こんな変な人、他のところでちゃんと対応してもらえるんだか…。
「仕様がないですね…。別にいいのですがお金はあるんですか？一応僕だってここの管理人ですからね。家賃を頂かないことにはここに住ませることはできませんよ」
「別に金なら大丈夫ナリ。余るほど持っているナリ」
「なら構いませんが…」
はぁ、とシャワはため息をついた。

これからまた、苦労が増えそうだ─────。

少し、憂鬱になった。