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刃物さんと嫌いな執事さん

著編者 : 窮爽

9=声

著 : 窮爽

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                   「あれは確かに声だった」

「散歩に行こうよ」

そう言葉にしたのはニャースだった。
昼食後、自分の部屋で椅子に腰かけていたキリキザンは知らぬうちに入って来たニャースを見てこう言った。

「…勝手に人の部屋に入ってきて、一言目がそれか」
「うん。だから行こう。ケラノも仕事だし暇なんだ」
「…なら、ちょっと手伝え」

そう言ってキリキザンは立ち上がり、部屋を出ていく。ニャースはその後をついて行った。向かったのは書庫。
中に入ると、キリキザンはニャースにこう告げた。

「今日は空間移動の可能なポケモンについて調べる予定だったんだ。だから、それが終わったら散歩につきあってやる。だから早く終われるよう、お前も手伝え」
「あー、そういう事ならいいよ。んじゃ、ポケモンについての本が並んである本棚に案内するよ」

そう言ってニャースは書庫の奥へと歩いていく。
キリキザンがその後を追う。奥の大きな本棚の上にプレートが置かれており、そこには『ポケモン』と書かれていた。ポケモンというプレートが置かれた本棚が3つほど横に並んでいる。
ニャースは伸びをしながら言った。

「まー、ここらの本棚がポケモンについての本だよ。…全部調べるのは一日でも無理だから、パソコンで検索しようか」
「そんなものがあるのか?」
「あるある」

ニャースは再び歩き出し、机のある空間へと向かった。
机の上には何代かパソコンが置かれており、ニャースは机に上に乗って丸い手でキーボードをゆっくり押していく。
検索ボードに打たれたのは『空間移動 ポケモン』
決定キーを押すと、素早くページが開かれ、本の名前が載っている一覧が出てきた。
ニャースはキリキザンの方を振り返り、画面を指差して言った。

「まー、載ってある本の名前があの本棚のどこかにあるから、場所を確認するってところでどこにあるか分かるから」
「…分かった」

キリキザンはコクリと頷き、パソコンの前に立った。
ニャースはささっとその場をどく。キリキザンはマウスで画面を下へ下へとスクロールし、本の名前を目に通していく。
そしてそこから気になった本と場所を傍にあったメモ帳にペンでメモしていき、確認が終わるとその多数の本をニャースと共に取り出して行った。
夥しい本の数で場所が分かっていてもその本を見つけ出すのには少し時間がかかる事もあった。
小一時間ほどして、机には数十冊もの本が置かれていた。
次に2匹は本をパラパラと一冊ずつ確認する。ニャースは暇なのが嫌だったので、特に嫌という感情はなく、本を見ていく。
本には空間をつかさどる神、パルキアに、裏側の世界に住むというギラティナなどが出てきたがさすがに伝説のポケモンにすぐ会うなど出来やしないのでとりあえずそれは頭の隅に置いておいた。
調べて行くうちにキリキザンがふと気になったポケモンが載っていた。

『幻のポケモン、ミュウ』

そのポケモンは稀に様々な場所に現れ、他のポケモンに姿を変える事も出来る。
例で言うと、ある場所でルカリオの伝説のある土地でミュウが姿を変えて現れたという。
そして、空間も移動できるという。
そのミュウが空間移動したという話は耳にした事があった。
ミュウならあの笑い声の辻褄も合う。ミュウは悪戯好きと聞いた事もある。
その後も幾つか本に目を通し、終わった後に本を本棚に戻していった。
調べ終わった後、書庫を出て2匹は伸びをする。

「んじゃ、散歩行こーか」
「分かった分かった」

時計を見ると4時だった。
少しの間でもと、2匹は外に出て町へと歩き出す。
その日は天気も穏やかで風も気持ちよかった。太陽も優しく照らしている。
町は相変わらずの人混みで人酔いする人間が出そうだ。
キリキザンはそういう考えも含めてニャースにこう言った。

「よく、散歩の場所に選んだな」
「んー、まーお気に入りの場所だし」

そう言ってニャースは欠伸をしながら歩く。
人にぶつかりそうになりながらも上手くかわしていく。市場へ出ると少し人がすいていた。
ようやく落ち着いたとキリキザンはため息をつくその時だった。

「お、おままま、お前はあ!!?」

そんな中年男性の驚くような声が聞こえてきた。
人々はざわざわと騒ぎだす。キリキザンとニャースは何事だと人混みをかき分けてその声のした場所へと向かった。

「……」
「お前…な、何でこ、こここ此処にぃ…?」

人が輪を作って見ていたのは一人の中年男性と食材などが入った袋を持っている咲哉であった。
キリキザンが目を見開いている中、ニャースは目を細めて呟いた。

「んんー?相川さんってあんな知り合い居たのかなー?」
「…さあな」

キリキザンは少しトーンの低い声を出して答えた。
男は懐からナイフを取り出して咲哉に向かって駆け出した。

「死んだじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!???」
「!?」

男の叫び声にキリキザンは目を丸く大きく見開き、驚いた。
…どういう事だ?本人はちゃんとここにいるぞ…!?
咲哉はすっとかわして、男の手に持っていたナイフを奪い、男の首元へと近づけた。

「あ…ぁ…あ…」
「……」

咲哉は冷徹な瞳で男を見ていた。
すると、騒ぎを聞きつけた警察が人混みをかき分けて男を捕まえる。
咲哉は事情聴取をされる前にナイフを地面に捨て、その場を何気ない顔で立ち去って行った。

「おい!相川!!」

キリキザンは叫んで呼びとめようとしたが、咲哉は気付いているのか気付いていないのかわからぬまま去って行った。
キリキザンが呆然としている中、ニャースは横目でキリキザンを見ながら言った。

「まぁ、とりあえず屋敷にもどろーか」
「……あぁ」

キリキザンは了承し、2匹は屋敷へと帰って行った。
屋敷での咲哉は普段を変わらぬ様子で仕事をしており、ケラノが戻った後でもいつもの様な変わらぬ会話を交わしていた。
キリキザンは部屋に戻って眠りにつく前に、一言呟やいた。

「…ったく、本当にこの世界は訳が分からない…」

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2012.4.3  18:07:36    公開


■  コメント (2)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

commanderさんへ
あぁ〜、そういえば春休みもうすぐで終わりますねぇ…ヤダなぁ…(オイ
咲哉の謎はどうやって明かそうかなって考えてて、その結果がまたもや謎が深まったという。過去が分かるまで推測するのも楽しいかもですw
ニャースは無理やりな理論がお得意なご様子でs(ry
ナイフ奪ってるキャラクターって素敵だなぁ…とかアニメ見ながら思ってたりする私です^q^
あぁ〜、銃とか使ってみたいな〜って友達とよく話すんです^^スナイパーとかいいなぁとか…(ry

おぉ!!ではコメした後すぐ読みに行きますね!!
呼んでいる方も是非読んでみてはどうでしょうか!(お前が宣伝するな
コメ&応援ありがとうございます!!それでは!ノシ

12.4.3  19:28  -  窮爽  (monoraru)

春休み最終日で やなかんじー なcommanderです。
また相川さんの謎が深まりましたねー。特殊すぎる主従関係、そしてあの男のせりふ。本当に過去が気になります。
ニャースよ、あの6行目のせりふだが一体全体どういう思考をしたら「だから」につながるんだww
ナイフを奪う相川さん、脳内再生するとかっこいいです。
実は銃火器とか興味あるんですが体術とか全然なんでうらやましいです。空手はぶっちゃけ役に立ちませんし・・・

ところで、未熟ながら小説を書かせていただきました。
『とあるプラズマ団員の物語』というタイトルです。このコメを読んでくださった方、暇なときにでも、呼んでくださったらうれしいです。

広告まで入れてしまい本当に申し訳ありませんでした。(だったらするな)次回更新まってますね。

12.4.3  19:08  -  不明(削除済)  (gunship)

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