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刃物さんと嫌いな執事さん

著編者 : 窮爽

6=世界

著 : 窮爽

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                          「あれは確かに世界だった」

朝食を終えた後、キリキザンは咲哉に屋敷を案内してもらっていた。
咲哉は他の使い達とは違って何も話そうとはせず、キリキザンも話しかける気にもなれずに静かな時間が流れていた。たまに周りに咲哉のポケモンは居るのかと見渡すがそれらしきポケモンは見当たらない。
屋敷を30分ほどで簡単に廻り、残っているのは書庫とその隣にあるケラノの部屋のみだった。

「…そして、ここが書庫で様々な世界や歴史の本が多く揃っております」

そう言って咲哉は3階の奥の書庫の扉を開ける。
部屋に広がっていたのは大きな本棚の連なった空間だった。
そこは部屋と言うより図書館そのものだった。…いや、図書館よりも広いかもしれない。
部屋とは思えない広さにキリキザンは心底驚いていた。
暫く見て、咲哉は扉を静かに閉める。そして、暫く廊下を歩いて見える扉の前に立ってキリキザンに言う。

「…最後に、ここが主君のお部屋でございます。…これで屋敷の御案内は終了になります。それでは、私はこれにて」
「…あぁ、お前はこの部屋に入るんだろう?俺もケラノに用があるから入る」
「…了解いたしました」

咲哉はそう答えると扉をノックし、『…咲哉で御座います。キリキザンもご一緒に入室させていただきたいのですが』と声をかける。
すると部屋の中から『良いよ良いよ〜』と明るく返事をする声が聞こえてきた。
『失礼致します』と咲哉は一言つぶやき、扉を開けてキリキザンを部屋の中へと招き入れた。
中へ踏み入れるとその部屋はキリキザンの部屋の数倍広い空間が広がっていた。
部屋の中心にある机の椅子に座って、パソコンをいじっているケラノはニコニコとキリキザンに微笑んだ。
咲哉はケラノの隣に行き、キリキザンは机を挟んでケラノの目の前に立つ。
そしてキリキザンは質問をする前に軽い話題を出した。

「今日は仕事じゃないのか」
「あー、うん。でも、今日は夜からだから問題ないよ〜」
「夜から?」
「そうそう。今日は夜にハクタイの森にあるハクタイの屋敷に恐怖の心霊スポット〜って感じで行くからさー」
「ハクタイの屋敷?ここから近いのか?」
「え?すぐ近くじゃない。ほら、屋敷から見えてる森。というか、この街自体ハクタイシティって名前だからあからさまに近いよねぇ」

…ハクタイシティ?
キリキザンは一瞬ケラノの発言に疑いを持った。キリキザンの知っているハクタイシティはビルやマンションはあるが、落ち着いた雰囲気がある。だが、この街は違う。多くのビルや建物が立ち並び、多くの人々が行きかっている。しかも、とてつもなく町が広い。
すると、ケラノはふっと呟いた。

「…もしかしてさ、君ここ知らない?」
「…ハクタイシティってもう少し小さくないか?」
「うーん…いや、確かにここはハクタイシティだよ?」
「ったく…本当何なんだここは…自分の知っている人間に似た奴らばかり居るし…」

そのキリキザンの言葉にケラノがピクリと反応する。
そして、しばらく考え込みこう告げた。

「…あり得ない考えかもしれないけどさ、もしかしたらここは君にとってはパラレルワールドかもねー」
「…パラレルワールドだと?」
「うん。本にも載っていたんだけどね、世界には幾つもの世界があって、その世界の中で幾つか鏡のような同じで…でも、違う世界があるらしいよ?もしかしたら、何かしらの出来事で来てしまったのかもしれない」

長々と語るケラノの話に耳を傾けながらキリキザンは考えていた。
パラレルワールド……耳にした事はあるが………あ。
キリキザンはふと一つ、心当たりのある出来事を思い出した。それをケラノに告げる。

「…そういえば、ハクタイの森を歩いている時笑い声が聞こえてきて、それで周りが光って…ここに来たんだ」
「んー、なるほどー…多分空間を移動できるポケモンの鳴き声か何かじゃないかな?俺はそう考えるけど。相川はどう思うー?」
「…えぇ、確かにその推測であれば様々な辻褄が合いますのでそうだと思いますが」
「だねー」

そう短く同意したのは机の下で毛づくろいをしているニャースだった。
そしてケラノは苦笑いを見せてこう告げた。

「そうなってくると、君が探している臥竜岡さんと言う人はここにはいないという事になるねぇ。…確証は出来ないけど、君の反応とかを見ているとマジみたいだしー…とりあえず、それを前提に空間を移動できるポケモンについてでも調べてみようか〜」

ケラノはそういうと伸びをする。
キリキザンはそれに同意して頷いた。

「俺も出来る限りは調べてみる」
「そっかー。あー、調べ物大変そうだねぇー。仕事と両立してさー」
「たまには良いのでは?たまにはぐったり疲れて下さいませ」
「いや、かけるべき言葉が全く逆だよ?」

恒例と言わんばかりに2人は主従関係とは思えないやり取りを始めた。
…何だか、漫才を見ている気分だな…
キリキザンはため息をつき、その他にも気になっている事を尋ねてみようと考えた。

「おい、お前達はよくそんな主従関係で居られるな。そんなに言い合うならそのような関係にならなければよかったのに」
「あー、うん。まー、色々あってさー」

メイドの言っていた通り、ケラノは苦笑いを見せて一言言うだけで詳しくは教えてくれなかった。
キリキザンはチラリと咲哉を見る。咲哉は表情を変えずに気にせず立っていた。
キリキザンはじゃあせめて些細なことでも聞こうかと質問を続けた。

「じゃあ、お前は一体いくつなんだ。相川よりも年上なのか?」
「ん?年下の17だよー。いやー、一番輝く年齢だよねぇ」
「どす黒く輝かれるのですか?」
「白く輝くんだよ〜♪」

ニヤニヤと笑いながらケラノはイラッと来るような言い方をしてくる。
キリキザンは最後にと相川に質問をした。

「相川は相棒のポケモンは居ないのか?」
「…いえ。私には居ません」
「他の奴らは皆一緒に居ると聞いたが」
「…私は私でございます」

そう言って咲哉は軽く頭を下げた。
キリキザンは暫く黙りこみ、『じゃあ用は済んだ』と言って部屋を出て行き、自分の部屋に戻った。
そして真っ先にベランダへと向かい、景色を眺めた。
自分の知らない、自分の住んでいる世界と同じようで違う世界がここに広がっているというのだろうか。
キリキザンの頭にはただそればかりが浮かび上がっていた。

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2012.3.31  13:09:07    公開


■  コメント (4)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

グロテスクさんへ
いや、私もごっろごろしてますよ―wwお昼まで寝ていたりとかw(エ
じ、実家ですと?!Σ(゜Д゜;)あー…また言っておきますww
『お前ら人の実家に勝手に入ってんじゃねぇよ。なめんなy(フルボッコ』
私は妖怪ですぜ…(何だよ
コメありがとうございました!!それでは!!ノシ

12.3.31  22:04  -  窮爽  (monoraru)

 今日誕生日で浮かれてるグロです。
 
 確かニー、言われてみれば更新が早い。私はテレビ見たりおせんべい食べたりごろごろしたりごろごろごろごろごろ(氏ね
 ナンヤカンヤ二時間です!
 おっ、おぉ、ハクタイの屋敷・・・。出てしまいましたか。実は、あそこ私の実家なんですよねー。だからちょっと勝手に入られちゃ困るんですけど、止められないですかね?(まぁ、私幽霊なんですわ)お願いしマース。
 
 では。

12.3.31  21:58  -  不明(削除済)  (1232)

commanderさんへ
いえいえ。それほどでも^^;
うーん、そうですねぇ…身の回りの物からネタを浮かべるというのはどうでしょうか?私はそういう感じでネタを考えてます^^
分けれるほどの思考回路が全然ないです^q^←
パラレルワールドで主人が居たらキリキザンはどうするんでしょうねぇ……あー、分かります!特にイーブイとかをモフモフしたいでs(ry
私もそうですよww多分漫画置き場にしてるかとww
コメ&応援ありがとうございます!それでは!ノシ

12.3.31  20:49  -  窮爽  (monoraru)

更新超早いですね。家に帰ってPC立ち上げたらびっくりしました。
小説書いてみようかと思うのですが僕はまったくネタが思いつきません。
あなたの頭がうらやましいです。思考回路分けてください/コラ
パラレルワールドですか。頑張ればキリキザンは『主人』見つけられるかもしれませんね。現実にパラレルワールドがあるのなら僕は一度本物のポケモンに会ってみたいです。
でた『プライベート巨大図書館』前のコメであんなこと書きましたがたぶん僕がそれを手に入れたとしてもほとんどの本がほこりをかぶることになってしまいそうですね。
続きお待ちしてます^^

12.3.31  19:28  -  不明(削除済)  (gunship)

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