刃物さんと嫌いな執事さん
4=アイツ
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「あれは確かにアイツだった」
シュンッ!!
大きな屋敷の入り口付近で大きな刃物が宙を斬った。
宙を斬った場所には先程まで一人の執事が立っていた。
刃物の正体はキリキザン。キリキザンは衝動に駆られて刃物を振るっていた。
青い瞳のメガネをした黒髪の執事は屋敷の主、ケラノにため息交じりで尋ねた。
「……このキリキザンは如何されたのですか?」
「いやー、実はさっき会ってさ。人を探してるみたいだし、協力してあげてもいいかなーって思っただけー」
「おい…どういう事だ…」
「ん?」
キリキザンの震えた声にケラノは首をかしげた。
キリキザンは刃物の腕で執事を示してケラノをギロリと横目で睨む。
「俺が探している奴がここに居るというのは…」
「あぁー、違う違う!臥竜岡さんって人に似てるのか知らないけど、この人は違うよ?ねぇ?」
「…主君に言われると余計私の信頼が失いそうに思うのですが」
「あー、酷い酷いっ」
そんな気の抜ける2人のやり取りを目にしてキリキザンはすっと腕を下した。
…また似てる奴か…
キリキザンはチッと舌打ちを打つ。ケラノはニコニコしながら執事の紹介をする。
「この人は俺の執事の相川 咲哉(サクヤ)。まー、仲良くしてあげてよ♪」
「……」
ケラノの紹介を耳にしながらキリキザンは咲哉の方を見た。
咲哉はそんなキリキザンの視線に気づいたのかチラリとこちらを見た。
ハッとキリキザンは視線をそらす。咲哉は暫くキリキザンを見ていたが、やがてケラノの方へと視線を戻した。
「…主君、キリキザンのお部屋は如何されますか」
「んー、2階のあいてる部屋どこでもいいよ?あー、そうだ。明日さ、屋敷を案内してあげてね〜」
「…御意」
「ま、俺は部屋に戻ってるからー」
そう言ってケラノはニコニコとした表情を崩さぬまま赤い絨毯の引かれた階段を上って行った。すると、後からニャースがタタタッとケラノの方へと走って行き、肩へと飛び乗った。
残されたメイド達や執事たちはそそくさと自分の持ち場へと戻って行く。
咲哉は『お部屋にご案内いたします』と一言告げ、階段を上って行った。キリキザンはその後を渋々ついていく。
…何だか、犬猿仲の2人と同じ顔の奴が主と執事って関係なのは…凄い違和感を感じる…
キリキザンは歩いている最中、そんな事を考えていた。
2階の一番奥の部屋の前で咲哉は立ち止まり、扉を開けた。
「…こちらのお部屋でございます。お好きにお使っていただいて構いません。御用のある時は近くの執事やメイドにお声をおかけください。お食事の時などはこちらからお呼びいたします」
「……」
「…では、失礼致します」
そう言って咲哉は歩いてきた廊下をまた戻って行った。
キリキザンは部屋の中に入る。その部屋は白いベット、木製の机と椅子、白い柵で囲まれたベランダ、洗面所、風呂場、テレビ、パソコン、電話、タンス、トイレなど必要なものはほとんどあり、少し広い部屋だった。小さな部屋も一つだけある。
壁は白く塗られ、天井の白く淡い光を放つシャンデリア、基本この部屋は白色を中心に作られているようだとキリキザンは考える。そんな中でキリキザンは別の事も考えていた。
……やはり、ここは何かおかしい。…ここは俺の知ってる世界じゃない…?
あり得ない考えを起こしてしまったとキリキザンは首を横に振った。すると、コンコンとドアをノックする音が聞こえる。キリキザンはドアを開ける。そこには一人のメイドが笑顔で立っていた。
「お食事の用意が出来ました。お広間へ御案内いたします」
「……」
コクリとキリキザンは頷き、メイドの後をついていく。
メイドはクスクスと笑いながら雑談とばかりに語り始めた。
「そうそう。相川さんとケラノ様の奇妙なやり取りがありますでしょうが、お気になさらずに」
「奇妙?」
「えぇ…あのお二人の関係がよくここまで続いたなって思うほどに奇妙なんです」
「…相川はいつからケラノの元に来た?」
「そうですね…私が来た時にはもう相川さんはいらっしゃっていましたから…お話によると10年程ここに身を置いているとか」
「…結構いい年なんだな」
「あ、いえ。相川さんはお若い方ですよ。今は24歳なんだそうです」
その時、キリキザンはふと立ち止まる。
24と言う歳を聞き、驚いたのだ。10年執事としているという事は14歳のころから執事として働いていた事になる。
その反応にメイドは苦笑いを見せて言った。
「私も初めて耳にした時は驚きました。理由を聞いたのですが、『色々あった』としか答えてくれず、詳しくは知らなくて…」
「…なるほどな」
全く何も理解できていなかったのだが、キリキザンはそう答えた。
メイドは『参りましょうか』と言い、再び歩き出す。
1階の大きな扉を開けるとそこは広い広い部屋だった。白いテーブルクロスがかけられた長い長いテーブルに幾つもの椅子が並べられ、その周りをメイドたちや執事たち、料理人までもがずらりと並び立っていた。
こういう者たちはいつ食事をしているのだろう…
そう疑問に感じながらもポケモンフーズや木の実の加工した料理の置かれた椅子に腰かけた。
テーブルの下ではニャースがミルクや色々な物を食事している。キリキザンはふとポケモンフーズを手にとって口にした。
テーブルの一番奥に座っているケラノはキリキザンに微笑む。
「まー、遠慮しなくていいよ〜。嫌いなものがあったら残していいしねー」
「…いつ、誰が何処で主君に向けてそのような事を言いましたでしょうか」
そんな冷淡な言葉をかけるのは隣で右腕に白い布をかけて立っている咲哉だった。
ケラノはケラケラと笑いながら言った。
「えー、だって人によって食べれる物と食べれない拒絶するべき食べ物が―」
シュッ!
先程聞いた刃物が宙を斬った音と似たような音がケラノの前を過ぎて行った。
パシッと近くに居た料理人がその音の源をつかみ取る。見ればそれは食事用のナイフだった。
ケラノはそれを見てまたもや笑いだす。
「主人に向けてナイフやらフォークやら投げつける人なんて初めて見たよ♪いや君はいつも投げるけど」
「…言葉が矛盾しております」
そう静かな声で咲哉は指摘した。
奇妙なやり取りとはこれかとキリキザンは理解して食事を進める。
早くこの場から出たいというのもあり、キリキザンは食事を早く済ませ、その部屋を出た。
そして自分の部屋に戻って電気を消し、ベットに入る。時計を見れば9時。いつもなら10時に寝ているのだが、今日はドッと疲れて早めに寝たかった。
今日の事を色々振り返った最後に出てきたのは咲哉だった。
自分の憎い相手に似ている人間を見ると自然に苛々してくる。そんな苛々を自分で鎮めながら眠りについた。
2012.3.29 19:30:22 公開
■ コメント (4)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
12.3.30 12:46 - 窮爽 (monoraru) |
こんにちは〜!最近アニメが色々と終わって悲しんでる私です・・・もうなんか絶望の淵に立たされたというか・・・((おまw 美夜に似てる人ktkr!!(゜▽゜) スバル「それで咲哉さんが、美夜さんに恨みを持ってる人に勘違いされて被害受けたら可哀想だよね・・・」 郷美「というか、もう被害を受けてるじゃろうに」 岬「うん、咲哉さんとなら仲良くなれそうな気がする!」 うん、そうか。ってかお前、そうか・・・そういうね、斎藤みたいな道を行くのk((フォークで刺され(自重 14歳って執事って・・・え!?たぶん私の場合だと、その頃はアニメみまくってキャッホー状態になってr((オタク乙 スバル「俺はー・・・その頃は遊んでたかな」 真人「視界に入った奴等を殴り飛ばしてたな、そういや」 郷美「いんちき占いで金を儲けておったのぉ・・・その頃は^^」 お前等どういう青春おくってるんだ(汗) 食事豪華・・・そういえば最近、朝食と昼食がカップラーメンになってきてるようなww((( それでは、続き頑張ってください!!! 12.3.30 10:57 - papiko (papiko) |
commanderさんへ もう何で執事なんかやってんだって話ですねw いやぁ、このまさかの犬猿の仲が主従関係っていうの、前々から考えてた私でs(^q^ よしよし、ならば私が隙を見て写真を撮り、セルアと美夜の家に送っておきましょう(辞めろ マシンガンwwwwセリフあったら、セルアは「ウザおかを執事にした覚えねぇよ…」美夜は「何で?何でこんな奴の下にいなきゃいけないの?(イライラ」って感じですねw コメ&応援ありがとうございます!それでは!ノシ 12.3.30 01:12 - 窮爽 (monoraru) |
主人にいつも凶器を投げる執事ってww それにしても犬猿の仲(みたいなの)が主従関係だって!? これはケラノ君と咲哉君の関係をカメラに収めてセルア君と美夜君に見せないといけませんねー^^ へたすりゃセルア君の武器が拳銃からマシンガンにアップグレードするかもですね。 続き楽しみにしてます♪ 12.3.30 00:21 - 不明(削除済) (gunship) |
あぁーwwそろそろ終わるピークですもんねぇ…分かります!!新しく始まったアニメ見て『…あれの方が神ってたし…』って感じる時がありまs(ry
美夜は結構色んな人から恨み買ってますw
キリキザン「…あいつ、まず存在自体がいけ好かないからな。被害が広まらないように早く始末しないと」
咲哉「…私に襲いかかって来た貴方様が言うお言葉でしょうか」
ケラノ「あ、ミサミサが友達になってくれるってさ〜。キミ、友達いないもんねww」
お前、あんまそういう事言うなし……斎藤…www
私はPCやって興奮して、アニメイト行ってくじ引きまくって、それからそれかr(黙れ
キリキザン「葵が14の時は…呪いかけまくってたな。いけ好かない野郎に」
咲哉「…私に似ている方もで御座いましょうか」
キリキザン「あぁ、死ね死ね死ね死ね…って具合に」
こっちはこっちで酷い青春だな(;一_一)
私は冷凍食品ばっかですねw←
コメ&応援ありがとうございます!それでは!ノシ