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刃物さんと嫌いな執事さん

著編者 : 窮爽

12=心

著 : 窮爽

イラスト : 窮爽

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(後半の話は理解しずらいようにしてありますので、ご了承ください)    

        「あれは確かに心だった」

「相川さんなら先程お出かけになりましたよ」
「そうか…場所は分かるか?」

通りかかったメイドにキリキザンは咲哉の居場所を尋ねていた。メイドは考え込み、困った表情で返した。

「申し訳ありませんが…」
「…分かった」

そう言ってキリキザンは屋敷から出る。キリキザンには何となく居場所は分かっていた。
今のあいつが行くとするとしたら…

                    ○●○
〜ハクタイの屋敷にて〜

「……」
「…お前は一体誰なんだ。本人か、それとも偽物か」

屋敷の裏側、そこでキリキザンと咲哉は対面していた。
キリキザンが来た時には咲哉はそこにいており、ただ地面をじっと見つめていた。そこは丁度骨が入っている場所。
キリキザンは自分が聞いた話をすべて話し、咲哉に問いかけた。暫く黙りこんでいたが、咲哉はやがて口を開く。


「…お察しの通り、私は相川 咲哉では御座いません」
「…じゃあ、お前は一体何者で何が目的なんだ」
「……人間観察でございます」
「人間観察?」

キリキザンは目を細めて言葉にした。男は淡々と言葉を紡ぎだしていく。

「私には別の主君がおり、主君からの命で御座います」
「…何故だ?」
「…主君はこの世界…というよりは、貴方が居た世界の人間を滅ぼす…との事で」
「……」

『どういう事だ』と口にして訪ねたかったが、驚きで声が出なかった。
訳が分からない
その驚き。男は言葉を並べ続ける。

「…主君は昔、どんな事でも叶える事が出来る力を手に入れ、人々の望みを叶えて行きました。…その内に主君は悪人が溢れかえっていて、成敗してもしきれないと、考えに考え、その考えへとたどりついたそうです」
「…叶える事が出来る力?なら、それで滅ぼせばいい話じゃないのか」
「主君にも限界と言うモノがあり、それは大きすぎて無理なのでございます」

キリキザンの指摘に男は即座に否定した。キリキザンはため息交じりでこういう。

「…人間を滅ぼそうだなんて、人生の内でやり遂げるなんて出来やしな―」

…待てよ
ある事がキリキザンの頭によぎった。キリキザンはそれを鮮明にしようと集中する。

                   ○●○

「…何で…思い通りにいかないんでしょう…」
「…葵…」
「……私のお父様に対する愛は…誰よりも大きいのに……何で、何であの男に負けてしまうのでしょう…」
「…あお『困っている様子だな』」
「…貴方は?」
「…俺は星。どんな願いでも叶える星」
「…星…?」
「…お前のその望み、俺が叶えてやろうか?…ただ、協力してほしい事があるが」

                   ○●○
「…星…お前の主君の名前は…星…か?」
「……」

キリキザンの呟きに男は頷いた。
…そうだ…あの男だ…あの男が葵に協力を求めたんだ…
葵と言うのは白夜 葵というキリキザンのトレーナーだった少女。
星は自分の力で体を不死身にしたという。
星と名乗る男は願いを叶える条件として協力を求めた。それは、誘拐団への協力だった。
星は誘拐団を作り上げ、人を浚っては人質にしてポケモンを奪い取ったり、浚った人間を仲間にしているそうだ。その理由は最後の最後には自分を信頼している人類のほぼ全体が誘拐団もろとも強力なポケモンを従え、人間を滅ぼす。
その理由を聞いても葵は了承した。それでも、自分の憎い男を苦しめる事が出来るのなら。
それで葵は一つ、仕事をした。それはあるサイトで掲示板に誘拐団が出る場所を書き込むこと。
そのサイトは星が作り上げたサイトであり、ゲームサイトだ。そのゲームサイトで一番優秀な人間にリーダー勧誘メールを送り、見事了承を得た。チームの人数は増えていく一方であった。
そして、その誘拐団が出た場所でチームは集まった。それは大勢の、数え切れぬほどの人数であった。星は実験をしていた。『誘拐団の人間をどうするのか』
人間らは誘拐団の人間(一部の人間)を殺してしまった。星は醜いとその場にいたチーム全員、リーダーを亡き者にしたのだ。
その同時ぐらいに葵に美夜にかわされたキリキザンの刃が貫いた。
キリキザンは結局、自分のせいなのか美夜のせいなのか今さら訳が分からなくなってしまった。
すると、男は不意に口を開く。

「……私は人間では御座いません。私は主君が生み出した幻。そして、私は人を真似ることしかできない」
「…?」

急に一度に言葉を多く並べられ、キリキザンは首をかしげた。男はそんなキリキザンにも構わずに語り続ける。

「私は心がないから、別の人間の体と精神と心を真似る。前の…モランド国の女王の召使の姿だって、私が自分の手で殺して全てを借りただけ」
「…お前は何を言っているんだ…?」

キリキザンはやっとの事で口を開いた。男は無表情で語った。

「この世界に来た時、この屋敷で何やらポケモン達が話していて、それに耳を傾けば『骨が埋まっている』。その骨の人間を借りようと骨を掘り返したけど…」
「…すまん、先程から訳が分からない…」
「…掘り返したけど、その人間の心は慈愛や優しさで沢山で…その心は私には重くて…手紙を残して、この姿を借りた…でも…姿を、心を戻せば」
「……」

正直、キリキザンには全く理解できなかった。
相手が淡々と話し続けるのでそれに追いつけていなかったのだ。その時、強い風が吹いた。
キリキザンはとっさに目を閉じ、次に目を開いた時には…

「…一瞬で心は消える」

白いスーツに身を包み、美しい銀髪で顔の隠れた青年が…

                  一瞬だけ見えて、一瞬にして消えた

12=心

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2012.4.5  20:05:32    公開
2012.4.5  20:09:13    修正


■  コメント (4)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

ユランさんへ

人間観察人間観察言ってるやつ、いますもんねww
キリキザン「あー…だから、あれだ。あれ。とにかくゲームとかの魔王だとでも思っていればいだろ」
ゲームって…お前、分かりやすいなw
星はもう『出てくんなあああ!!』・・・って思ってしまいますよ←
咲哉が死んだ経緯は幻と言うか、ハクタイの屋敷事件を思い出していけば^^(わかりずれぇ
飲み会wwww
ケラノ「あ、俺は赤ワインでおねg『こらこら、入ろうとすんな』窮爽
コメ&応援ありがとうございます!それでは!ノシ

12.4.6  12:56  -  窮爽  (monoraru)

こんにちは〜!

やっぱり偽者だったんですね・・・tk人間観察って、あの人しか思い浮かべられないlllorz(((
スバル「え、世界の人間を滅ぼす?え??あの・・・え???」
郷美「何回『え?』って言っとるんじゃ馬鹿者」
そして星キタアアアアア!!恐ろしすぐる( ̄д ̄;)
しかも幻で、召使を殺してしまったのも咲哉で・・・・・・(´д`)オウノー
一瞬で心は消える・・・fmfm
貝「・・・・・・よし、皆で飲み会でもしy『諦めんなよwbyユラン』
それでは、続き頑張ってください!!!

12.4.6  12:42  -  papiko  (papiko)

commanderさんへ
いやいやwただ単に暇な人間なだけですぜw←
まぁ、結果=咲哉はツンツンツンツンツンデr(蹴られ
その何かは『え、何この人ツンデレ』って吃驚してでしょうねぇ←
等々正体が分かっちゃいました…あれ、なんかこんな悲劇考えた自分が憎く感じてきた(;一_一)
その何かの正体は後々…
コメ&応援ありがとうございます!!それでは!ノシ

12.4.5  21:33  -  窮爽  (monoraru)

なんか前にも言ったような気がしますが更新早っ!!
一日に二回も更新ですと?・・・すごい。
そうですか。あの悪戯を凶器で返す相川さんのこころの中はたくさんの慈愛や優しさであふれていて、『なにか』にとって重かったんですね。ニュアンスが若干異なるような気がしますけどツンデレだったみたいですね。
『人と小鳥の骨』・・・正体、分かっちゃいましたね。なんか悲しいです。
この『なにか』の正体が楽しみです。

12.4.5  21:19  -  不明(削除済)  (gunship)

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