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刃物さんと嫌いな執事さん

著編者 : 窮爽

10=沈黙

著 : 窮爽

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               「あれは確かに沈黙だった」

次の日、昼食を食べ終わった後にキリキザンは屋敷の廊下を歩いている咲哉に珍しく声をかけた。
声をかけたというより質問であった。

「相川」
「…如何されましたでしょうか」
「昨日のあの男とはどういう関係だ」
「……」

単刀直入な質問に咲哉は表情を変えずに答えを返さなかった。
キリキザンはため息をつき、別の質問をした。

「じゃあ…昨日の『死んだ』というのはどういう事だ」
「……」

その質問にも同じ反応で咲哉は答えなかった。
キリキザンがもう一度同じ質問をしようとすると咲哉は頭を下げてこう言う。

「申し訳ございませんが、主君のお部屋を清掃致しますのでこれで」
「あ…」

『おい』と声をかけようとしたが、咲哉はそそくさとケラノの部屋へと歩いて行ってしまった。
キリキザンは諦めた様子で自分の部屋に戻る。
パタンとドアを閉めて、凭れかかって考える。

「……ケラノに聞いてみるか…」

と、キリキザンは呟く。
昨日の出来事を話せば話してくれるかもしれない。知っているかは限らないが。
聞くならば咲哉が居ない時に聞くのがベストだろう。咲哉が居ては話してくれないかもしれない。
そんなことを頭の中で考え、ふとある事を考えつく。

                     ○●○
〜会社の楽屋にて〜

「で、わざわざ聞くためにここまで来てくれたんだ?」
「あぁ」

キリキザンは楽屋でケラノと二人(ニャースも居るのだが)話していた。
隼野と亜里抄、ポケモン達はコンビニに買い出しに行っていた。
それを命じたのはケラノで、キリキザンが2人だけで話したげだったためだった。
初めは2人とも嫌がっていたが隼野がケラノの意図を読み取り、亜里抄を連れて出かけて行った。
キリキザンは話の本題に乗り出す。

「…さっきの事情から疑問が出たわけだが…相川は昔何があったんだ」
「うーん…そうだねぇ…俺も詳しくは知らないけど…」

ケラノは突然キリキザンを指差した。そして苦笑いを見せて聞き返しす。

「キミは知ってどうするの?」
「……」
「キミが知る意味があるのなら俺の推測程度でもいいのなら話そう。だけど、知っても何も変化が起きないのなら話す気にはなれないなぁ」
「………そうか。邪魔したな」

そう一言返してキリキザンは楽屋を出て行った。丁度、ドアの前で鉢合わせになった亜里抄と隼野は暫くキリキザンの後姿を見て、ケラノに訪ねた。

「キリキザン、どーしたの?」
「いーや、なーんでもないよ☆」

ケラノは笑顔で答えて傍にあったコーヒーを口にした。

                     ○●○
〜屋敷にて〜

キィキィ

「……?」

深夜の2時ごろ、何かをひっかくような音でキリキザンは目が覚めた。
ドアを開けてみるとそこにはニャースが居た。ニャースは表情を変えずに夜のあいさつをする。

「やぁ」
「…こんな夜遅くになんのようだ」
「まー…ちょっとした昔話でもと思って」

そう言いながらニャースは部屋へと入り、机の上に座った。キリキザンは傍にあった椅子に腰かけ、ニャースに訪ねる。

「昔話?」
「そ。この屋敷の昔話。君にはためになると思うけど」

そう言いながらニャースは毛繕いをする。
キリキザンは暫く考え込み、『話せ』とニャースに言った。ニャースは欠伸をひとつして、語り始める。

                     ○●○
ある日、このお屋敷に泥棒が入りました。
その泥棒は強盗で使い達のポケモンにも自分達のポケモンで倒させて中の色々な骨董品や宝石などを奪っていきました。
そんな強盗は主の部屋に入りました。主は丁度出かけていて、いなかったのです。ですが、その部屋には一匹のポケモンが隠れていました。そのポケモンは窓の外へと逃げて、こっそり中をのぞいていました。
強盗たちはタンスや引き出しの中をあさってあさりました。すると、引き出しの中から綺麗な綺麗な宝石のペンダントを見つけました。これは高価だと強盗たちは喜んで手にしました。
部屋を出るとそこでは一人の執事とポケモンが待っていました。強盗たちはそんな2人を撥ね退けて逃げて行きました。執事とポケモンはその後を必死に追いかけて行きました。
窓からのぞいていたポケモンは追いかけようとせず、ただ主の部屋で佇んでいました。
ポケモンはこう考えました。
あの執事とポケモンはご主人様の大事なペンダントを取り返しに行ったんだな。
ポケモンはただただその部屋でチョコチョコと歩き回っていましたとさ。

                     ○●○

「終わり。これ、意味わかる?僕なりのヒントだったんだけど」
「……」

話を聞いた後、キリキザンは考え込んだ。
ニャースはその様子をジィっと見ている。そして、ハッとキリキザンは目を見開いた。

「…そのペンダントって言うのは昨日見た青い宝石のついたものか」
「……」
「…そのポケモンやら主やら執事やらは…お前たちか」
「……」

キリキザンの問いかけにニャースは静かに聞いているだけで答え返さなかった。
キリキザンはまた考え込みながら言葉を紡ぎ出す。

「…なら…森の洋館で聞いた話も…」
「…森の洋館の事については知らないけど、まー正解かな」

そう言ってニャースは窓辺に飛び乗った。そして月光を背に淡々と語り始める。

「半年前にこの屋敷に強盗が入ったんだ。奴らはね本当乱暴でね、乱暴過ぎて誰も止めれなかった。そんな奴らが最後に盗んだのはケラノのペンダント。そいつらが逃げるときに追いかけて行ったのが相川とポケモン」
「…待て。相川はポケモンなんて連れていないだろう」
「まぁ、よく聞きなよ」

尋ねてくるキリキザンを宥めるように言うニャース。ニャースは一言、たった一言、言葉にした。

「…ケラノはね、あの相川は相川じゃないって言ったんだよね」

そして月光が差し込む部屋で沈黙がその場に走った。

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2012.4.4  20:02:00    公開


■  コメント (2)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

ユランさんへ
もう前回からフラグがビンビン立っておりますw

諒輝ww
キリキザン「切り刻むのが俺の最終手段だな」
咲哉「…私は……ですね」
ケラノ「え、何その嫌な目はまだ分からないからゾワゾワしててねみたいなの」
お前らの会話は一切和む要素ねぇな(汗
そう!その影分身を使ったのでs(ry
ニャース「ま、皆頑張れ」
キリキザン「騒ぎを起こされたら困る(汗」
ケラノ「え?でも面白そうじゃない?w」
咲哉「…それと引き換えに屋敷が壊れても知りまs『駄目だね』ケラノ
今気付いたんかい(;一_一)
コメ&応援ありがとうございます!それでは!ノシ

12.4.5  09:04  -  窮爽  (monoraru)

こんばんは〜!前回の話で「まさか・・・(゜д゜;)」と思った私ですp^

謎ですね・・・
想竜「そういう時はあれや!最終手段や!な、諒輝♪」
諒輝「・・・え、僕!?うーん・・・こちょこちょとか?」
貝「ウワー( ̄Α ̄)」
諒輝「・・・嘘だよ」
お前じゃっかん涙ぐんでないk((殴られ
あの相川は相川じゃない・・・!?それってあの、影分身とかいうやつですk((蹴/乙
楓「強盗・・・たちの悪い嫌な奴等ね」
貝「ホントだよ!!私が居たらあくうせつだんでぶったぎってたよ!?(#゜д゜)」
践花「今から兵達n『止めろぉぉぉぉぉぉ!byユラン』
なんだか荒ぶっちゃってごめんなさいorz
それでは、続き頑張ってください!!!

12.4.4  23:20  -  papiko  (papiko)

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