空の見えない街中で!
八冊目 決意と僕
著 : 李亜
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「それってクリス先輩?それともハルカ先輩?」
「今そこ気にする場合じゃあないよ、セレナちゃん!あいつらの事だよ考えるのは」
「あっ、はい」
「大きな疑問は、なんでそんなやつらがセレナちゃんを知っているのか。あいつらにとってセレナちゃんはどういう存在なのか、だね」
こぽこぽ。音を立ててオレンジの液体がポットから流れ出る。ふんわりと甘い香りが鼻腔を擽る(くすぐる)。
「・・・・・・・・・本当に、なんだったのあの人たち」
「セイレーン」
「えっ?」
「あいつら、こう言って去って行ったんだ。どういう意味があったのかはわからないけど・・・」
ミルクを少し入れてかき混ぜる。スプーンを引き抜いてソーラーに乗せたカップをこちらへ送ってくれた。
「セイレーンって、鳥の羽を持つ半身が鳥、後に魚になっている神話の中の存在でしょう?美しい歌声で船乗りを惑わせて、船を岩にぶつけさせたり、飛び込ませたりするっていう」
ごくん、と喉を鳴らす。ふわりと広がる香りで脳が痺れる、とまで言うとオーバーかな。でもセレナちゃんの入れる紅茶は市販なんか目じゃないくらいに美味しい。
ほうっと一息。
「うん。本来の意味のとおりならそうなるね。でもなにかの隠語かもしれない」
「ややこしいねぇ・・・」
ここでまた目を伏せる。
あいつらはセレナちゃんを「狙って」いた。乱暴に言うとこうなる。
訪ねたようには見えない。本当に狙っていたとしたら?
もう場所が割れてしまっているのは今回の出来事で分かった。また来るかも知れない。
僕が追い払うにも限界があるし、なによりご近所さんに迷惑はかけられない。
だとすると、これしかないかな。
ふっと目線を上げて思考の結論を口に出す。
「セレナちゃん、旅に出よう」
「・・・・・・・・・え?」
「セレナちゃん、旅に出よう。このままあいつらが、もしセレナちゃんを狙っていたとしたら場所の割れてしまっているここは危ないから。それに・・・・・・・・・」
僕のせいでやめてしまったジムバッジ集めも、再開させてあげたいから。
この言葉は出なかったけど、勘の良いセレナちゃんはなにかを悟ってくれると思っていた。
「・・・分かった!まずは準備だね。明日の朝九時に、カルムっくん家の前で待ってるね」
「うん」
「『空』が見たい、かあ。叶えるに値するかはこの欠片で判断できるよねー」
これが夢を叶える最善の道への選択だったのは、その時の僕には分かるはずもなかった。
2014.8.9 18:14:34 公開
2014.8.9 18:22:46 修正
■ コメント (3)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
14.8.10 08:16 - 李亜 (1783) |
空を見させてあげたい! セイレーン…なんかセレナと似てる気がするのはきっと私だけ。 セイレーンセイレーンセイレーンセイレーン…セレナセレナ 的な では! 14.8.9 18:34 - 不明(削除済) (sksc) |
なんだか脱線してる気がして。いやもうしまくってて。 それにやっと気づきました。大丈夫です!!このあと語らいますし最終的に空にも近づきますから!!多分!! 14.8.9 18:22 - 李亜 (1783) |
セイレーン・・・実はその場で考えたんですよねw
なんかいい綺麗な言葉ないかなーって。ついでにセレナに似てる響きないかなーって。
はい。似せました!