空の見えない街中で!
Une page du roman d'un premier livre*J'adore
著 : 李亜
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さわさわ。風が揺れる。長い彼女の髪の毛もふわふわ揺れて、甘い香りが漂う。はっと、息を飲んだ。見とれてしまう。
じぃっ。彼女は『空』が大好きだ。そんな彼女が、僕は大好きだ。そうだ、僕は彼女、ブルーさんに惚れているんだ。長い茶髪も、甘いシャンプーの香りも、はにかんだその表情も、全部。
ブルーさんと同じく幼なじみのグリーンは、見とれる僕を見てからかうが応援とも受け取れる。いいやつだ。
いつも通り少し前にいるブルーさんを見つめていると、視線に気づいたのかブルーさんがくるり、振り向く。
バレた?
焦りで心が痛む。ばくばく。心臓が煩くてこめかみにまで響いてきてしまう。ブルーさんに聞こえるんじゃないかと心配になる。でもブルーさんはにこり。いつも通り、柔らかいはにかみ顔。ほわりと暖かい気持ちに包まれる。鼓動は静かになっていく。
「あのね、レッドくん。私ね、『空』が大好きでしょ?
色々な顔を見せるのも、すみわたる透明さも、合成みたいに見えるのも、とどかないのも。
全部、全部。きれいで美しいと思うの」
そう語る彼女も美しい。そっか、そう捉えるんだ。何かブルーさんにとって有益になるような答えを返したい。思考を廻らせる。
「・・・・・・・・・人は、死ぬと星になるんだ。・・・だって」
誰かが言ってたような気がした。でも、有益なのか。
「そっかあ、・・・そっかあ」
また『空』を見つめる。
僕は馬鹿だったのだ。
数日後、ブルーさんは『星』になった。
ああ、あのときあんなこと言わなければ。
ああ、ブルーさんの最期は美しかった。
ひらり、舞ってふわり、堕ちた。
こんなことを考えてしまった自分が嫌になる。
僕は、本物の大馬鹿者だったんだ。
ブルーさんの眠る岩に触れる。冷たい。あのとき咄嗟に握った彼女の手も冷たかった。じんわり伝わる感覚に怖れる。
ブルーさんは、『星』になりたかったんだ。
『空』に一番近い『星』に!
気づかなかった。僕は確かに有益な情報を伝えてしまった! 彼女は行動が早いって知っていたのに!! その気になると恐怖すら感じないほど夢中になってしまうのに!!!
ごめん、ごめんごめんごめん!!
全部全部全部ッ!!僕のせいなんだ!!!
嘆く僕を慰めるかのように、淡い『星』が輝いた。
2014.8.15 19:48:47 公開
2015.2.18 17:47:43 修正
■ コメント (2)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
14.8.16 11:52 - 李亜 (1783) |
この星の輝きは何かの比喩と捉えてよろしいのでしょうか? …ブルーさんの死…レッドも悲しみますよね…そりゃそうですわん。 大切な人を失う悲しみはもっと増えますからね… では! 14.8.15 22:02 - 不明(削除済) (sksc) |
星の輝き・・・そのままの意味でもありますし、レッドにこの先起こる事に逆らいたいというブルーさんの想いもこもっています。
謝りたい事があるまま、伝えたい事があるまま、相手がいなくなってしまうのは哀しいです。