空の見えない街中で!
一冊目 たくさんの本と僕
著 : 李亜
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「っくしゅん」
少し寒い風に思わずくしゃみが出る。今日の気温は少し低めかな。
「・・・早く戻ろう」
重たい我が家の家の扉を押し、早々に引っ込む。冷たいネオンに見つめられている気がした。
こういう日は柔らかいソファーに腰掛けて読書に限るね。
ソファーにごろんと転がり、適当に本を手に取る。と同時に今まで積んできたのが裏目に出たのかドサドサと本の山が雪崩れる。
「うっわああ!?」
急いで上体を持ち上げる。足の踏み場もないほどの広がりように唖然する。こんなに積んでたんだな、僕。
とりあえず拾えるところから拾っていって、空きの多い本棚に詰めていく。
数十分掛けてようやく片付いた。
「ふう・・・。あぁ疲れたぁ・・・・・・ってあっ!!なんか飛んでる!!?」
やっと終わったのに、今度はマメパトやらムックルやらが開けていた窓から侵入してきた。なんでだ、何で入ってくるんだ。よくよく見ると、朝食べたサラダに入っている豆に群がっているようだ。よく見えるもんだなぁ、・・・っと感心してる場合じゃあない。ふわふわと羽毛の舞う中、僕は鳥ポケモンたちに戦いを挑むのだった。
「これで最後!はいじゃあね!!」
最後のマメパトを外へ出し、勢い良く窓を閉める。やっと静かになるんだ・・・。
なんとなく窓越しに上を見上げる。
『空』だ。
でもこれは違う。
ここには『空』がないんだ。
いや、正確には、そうだな。分かりやすく言うなら、イッシュ地方にあるアベニューの、まるまる街バージョンみたいな感じかな。とは言っても広くて本当に街だけなのかわからないけれど。
そうだなあ。
分厚い本を抱える。
一度くらい、ネオンじゃない『空』を見てみたいな。
2014.7.12 07:10:54 公開
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