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思い出リターンズ!

著編者 : 窮爽

第2話  人形

著 : 窮爽

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それから数日後、すみれは暇な日ができた。その日は綾太はいない。その日はリキアスタウンに来ていた。そこの1件の大きな屋敷にいた。その屋敷ではいつもすみれは立ち寄る。
「いつもありがとうございます。」
「いえ。お客様はご歓迎しなければ。」
すみれと話しているのはスーツを着た男性。その周りには同じような人たちがいる。彼の名はサイト。リキアスタウンのジムリーダーだ。この屋敷がジムでもある。屋敷にはバトル場もある。
「すみれ様を見ていると不思議とこの屋敷の主のように思えますよ。」
「…そうですか。」
微笑みながら言うサイトにすみれは一瞬懐かしげな表情を見せた。サイトはその一瞬の表情に気付いていたが、何も言わなかった。話を終えると、すみれは屋敷を出た。
「すみれさん!」
そういいながらありかが走ってきた。すみれは微笑み返す。
「あの、今日おやすみなんですよね?」
「そうですけど。」
ありかの問いかけにすみれは答える。すると、手に持っている袋を顔の横にし、
「一緒に和菓子を食べませんか?人気のお店で手に入れてきたんです。」
「……」
ありかの誘いにすみれはうなずく。和菓子はスミレの好物。断る理由がなかった。そして、2人で基地へと向かった。基地の中では大都や玲、リンという女性や直人という男性など個性豊かなメンバーたちが出迎えた。…しかし、すみれは違和感を覚えた。それは大都。何かは分からないが、何かが違っていた。違和感を感じながらも和菓子を食べる。
「この前テレビで大会見ました!すごかったです!」
「…そうですか。」
すみれは無表情で答える。すると、ありかは“ふふ”と笑った。
「すみれさん、和菓子好きなんですか?」
「…どうしてですか?」
「だって、なんだか嬉しそうな表情をしてましたから。」
「……」
ありかの答えにすみれはまたやられたといわんばかりにため息をつく。
(・・・前にもこんなことよく言われた…)
ありかにはかなわないとすみれは思った。そして、雑談をしながら和菓子を食べ終え、話していると―プルルル!すみれの携帯が鳴った。すみれはため息をつくと、携帯に出る。
「すみれさん、明日から仕事ですからね?分かってますよね?」
「はいはい。分かってますって。安藤さん、しつこいって絶対言われてますよね?」
「とにかく、明日ですからね!」
そうして、会話は途切れる。すみれは携帯を閉じ、ポケットに入れた。
「…安藤さんからだった。」
「安藤さんは何て?」
「”明日仕事ですからね?分かってますよね?とにかく明日ですからね!”…って。」
すみれはため息交じりに言う。それにメンバーは苦笑していた。すみれは大都に目が行く。
(…いつも通りだけど…やっぱり違う…)
すみれはやはり大都に違和感があった。そして、大都を後ろから叩く。
「いてっ!?」
「……」
そんな大都にすみれはにやりとする。しかし、やはりどこかが違う。
(…なんか、叩いても快感がない…)
「何すんだよ!?」
そう考えていると大都が尋ねる。
「…なんとなく。」
すみれは鼻で笑いながら答える。その様子を見てメンバーたちは意外だと思った。しかし、すぐに慣れて笑う。そんな風にその日は終わった。別れを告げて、すみれは基地を出る。そして、すみれはしばらく歩くと綾太に電話をかける。
「・・・もしもし。安藤です。どうしたんですか?」
「…安藤さん、今晩はリキアスタウンにとどまろうと思うので。」
「ちょっ!何でですか!?」
「…ちょっと…いや、かなり気になることがあるので。」
「…そのトーンは冗談を言っているようには思えませんね。…分かりました。何かありましたら連絡を。」
「はい。終わり次第戻るので。」
そうして、会話は途切れる。すみれは携帯を閉じ、ポケットに入れる。あの時、叩いたのにはもう一つ理由があった。それは…時空の叫びだ。ただ触るだけでは違和感を感じられる。だから叩いたのだ。・・・改めて時空の叫びの説明をしよう。時空の叫びとは、氷のフルートを持つものが使える力。信頼できるパートナーが近くにいれば、物に触れることでその物と関係ある過去や未来が見えるのだ。時には音や声だけの時もある。すみれは氷のフルートを持っている。それで、今回は声だった。

「なあ、ありか。」
「なんですか?」
「ちょっと、夜の4時頃に森の一番奥に来てくれないか?」
「?どうしてですか?」
「…大事な話があるから。」
「…?はい。わかりました。」

と、こんなものだった。すみれは4時まで屋敷にいることにした。サイトが出迎える。すみれは屋敷でいさせてほしいと頼む。サイトは当たり前だと言わんばかりに“はい。”という。そして、すみれは屋敷にとどまっていた。…そして、1時間前の午前3時。すみれは森へと向かった。そして、一番奥。すみれは近くに木々に身をひそめる。しばらくして、午前3時40分。何も異変はない。普通の人間ならそう感じるだろう。…しかし、人の何倍も警戒心が強く、敏感なすみれには異変を感じた。
(・・・誰かが向こうに隠れてる…)
すみれは歩いてきたほうの木々の間を見る。そこから気配を感じるのだ。うまい具合に隠れているのか、暗いからか姿が見えない。
(…ありかは疑わないからなぁ・・・)
すみれはありかの信じ深さにため息をつく。そこが玉にきずだとすみれは感じている。そして、午前3時55分。ありかはやってきた。ありかは一番奥の岩壁のほうまで歩き、あたりをきょろきょろする。しかし、だれもいないと感じたらしい。しかし、その後ろでは―
(…っ!)
すみれはその者を見た瞬間、銀の針を投げる。そのものはうまい具合にかわす。目のいいすみれにはわかっていた。それは…
(・・・偽物…!)
それはありかの姿をした何者かだった。すみれは木々から飛び出す。その騒ぎに気付いてありかは振り向く。
「すみれさん?」
「ありか、飛行タイプは?」
「?はい。持ってますけど…」
「その―!」
すみれが言いかけた瞬間、偽物は襲いかかる。偽物は殴りかかってきていた。すみれは何とかそれを受け止める。それにありかは驚く。
「そのポケモンに乗って、知らせる!それが仕事!」
「すみれさんは…」
「だから早く!」
そんなありかにすみれはせっかちさが出たのか、それとも助かってほしいというのが出たのかわからないが、そう叫ぶ。ありかはうなずき、チルタリスを繰り出す。そして、チルタリスで町のほうへと飛んで行った。それにかまわず、偽物は反撃の手を緩めない。すみれはそれを交わしながら反撃するが、それもかわされる。すみれはキリがないと判断し、後ろにジャンプし、ゲンガーを繰り出す。すると、偽物はミロカロスを繰り出してきた。
「ゲンガー、催眠術!」
すみれはゲンガーに催眠術を指示するなか、偽物は指をさすだけ。するとミロカロスは冷凍ビームを繰り出してきた。ゲンガーはそれをふわりとかわす。それでも催眠術を続ける。しかし、本来なら眠るはずがミロカロスは眠らない。偽物にも効いてはいなかった。
(効かない…!?…動作といい…まるで人形みたい…)
すみれは驚いていた。しかし、すぐにそれを振り払う。
「ゲンガー、悪の波動!」
ゲンガーは悪の波動を繰り出す。偽物はまた指差すだけ。するとミロカロスはアクアテールを繰り出してきた。初めはアクアテールで受け止めていたが、ゲンガーもすみれのポケモン。威力を増し、ミロカロスにダメージを与える。美しい体には傷を負っている。しかし、ミロカロスは表情を変えない。その表情はまるで感情がないようだった。偽物もそう。まるで感情のない、操り人形のようだった。すると―
「すみれさん!リンさんが来てくれました!」
「リン〜、お仕事モードに入っちゃいます♪」
空からチルタリスに乗ったありかとリンが来る。2人はチルタリスから降りる。
「実は、大都さんは偽物で、今玲さんが戦っているんです!」
(やっぱり…)
すみれは内心そう思う。すると―ドカン!町のほうから爆発の音が聞こえる。さらに―
「…っ!ゲンガー、かわして!」
話しているうちにミロカロスはハイドロポンプを繰り出していた。ゲンガーはゴーストタイプの特徴である体重の無さを利用しふわふわとかわす。
「ゲンガー、シャドーボール!」
ゲンガーはシャドーボールを繰り出す。シャドーボールはミロカロスにヒットする。かなりの威力だ。しかし、ミロカロスは姿がボロボロな裏腹に表情は一向に変わっていない。しかし―ドサ!ミロカロスはその場に倒れた。表情を変えずに、捨てられた人形のように。偽物はミロカロスを戻す。
「なんなの〜!この人〜!」
「わかりません…でも…私の偽物…そして、大都さんの偽物と仲間なのは確かなはず…」
「…経験上…ありかのミロカロス…見させてもらったことあるわよね…?」
「はい…」
「…それと偽物のミロカロス…桁違いにこっちがレベルが高い…」
「でも、すみれさんのポケモンにはかなわなかったですよね?」
「…確かにそうだけど…催眠術で眠らないし…表情を変えないからどれだけの体力かわからない…苦戦したの…久しぶりかもしれない…」
すみれはそう説明する。眠らなければ、相手の体力もわからない。…これは情報が少なくなるため、判断が難しくなるのだ。先ほどのバトルでもすみれは少し苦戦した。それが物語っている。そういっていると、偽物はチルタリスを繰り出してきた。
「ちっ・・・まだやるつもりのようね…ありか、私の携帯に安藤さんの電話番号登録してあるから、このことを知らせて。」
「あ!はい!」
すみれはそういい、ポケットから携帯を出しありかに投げる。ありかはそれをキャッチする。
「リン、このパソコンで相手を調べて。」
「ラジャ〜!」
すみれはそういい、リンにノートパソコンを渡す。リンはこれでもコンピューターのエリートなのだ。すみれは最近、ノートパソコンにナビゲーターシステムを入れ込んだ。
「タダイマヨリ  アリカサン ノ 偽物 ト ポケモン ノ  分析 ヲ 開始シマス。」
「お願いね〜。」
そうして、ぞーとパソコンで分析を始める。
「エンペルト!」
すみれはエンペルトを繰り出す。しかし―チルタリスは偽物のほうにより、偽物はチルタリスに乗る。そしてそのまま飛び立つ。
「エンペルト、冷凍ビーム!」
エンペルトは冷凍ビームを繰り出すが、チルタリスはそれを交わし、飛び去ってしまった。
「あ〜!まだ分析できてないのに〜!」
「大丈夫デス  相手 ノ  写真  を  トッテアリマス。  タダイマヨリ  自動分析  ヲ  開始シマス。」
「さっすが〜。」
コンピューターの性能の高さにリンは驚く。
「すみれさん、安藤さんに伝えました。」
「…ありがとう。」
すみれはそういって、携帯を受け取る。そして、ノートパソコンを受け取る。
「…あれは…ピジョット…と偽物…」
すみれの声に2人は空を見上げる。そこにはピジョットに乗っている大都の偽物がいた。ピジョットはチルタリスと同じ方向に飛んでいく。
「…とりあえず、基地に戻りましょう。…私はポケモンリーグ本部に戻るから。分かり次第、連絡する。」
「はい。よろしくお願いします。」
「じゃあね。」
2人とそう話すとエンペルトを戻し、フーディンを繰り出した。そしてテレポートでポケモンリーグ本部へと戻るのだった。2人は基地へと戻るのだった―

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2011.3.27  23:01:44    公開


■  コメント (1)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

今回、早速事件が起こりました。で、次回は玲編となると思います。町ではどんなことが?という感じです。まあ、いわば偽物とのバトルですね。それでは!

11.3.27  23:02  -  窮爽  (monoraru)

 

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