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トレーナーとして…2

著編者 : まさる

3. 孤独好き

著 : まさる

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医師は、言った。

「死因は、心筋梗塞です。
ランジィさんは、小さい頃から心臓が悪かったようで…
何故、部屋の外で倒れていたかは、我々には…」

「専門外ですよね。」

ゴウは、医師に言った。

「今、警察の人達が来て、色々調べていますけど、
話を聞かせてもらえるんでしょうか?」

「ええ。
多分、事情聴取されるでしょうから、
その時に聞かせてくれるかと…」

ジュンサーが入ってくる。

「失礼します。
ゴウ君、話聞かせてもらっても良いかな?」

「はい。」

ゴウとジュンサーは、部屋を出る。

「署まで行くと時間かかるし、
病院のほとんどの人に話を聞く予定だから、
事情聴取は、ここの部屋借りてしてるの…」

部屋に入ると、一人の刑事が座って待っていた。

「遅いよ、ジュンサー巡査。」

「警部補です!」

「初めまして、僕は、オーナミ警部。
で、君を連れてきた彼女が、ジュンサー………」

「警部補です!
さあ、ゴウ君。座って。」

ゴウは、席につく。
ジュンサーも座る。

「それじゃあ、ジュンサー君。
質問は、任せたよ。」

「警部は、何のために来たんですか?」

「実は、僕呼ばれてないんだよねぇ〜。」

「またか…」

「この部屋は、絶好の隠れ場所だよ。
ここには、君と参考人しか来ないから、
見つかって追い出されることはない。」

「だから、あのとき……
…あ、ごめんゴウ君。
この人のことは、気にしないで。
じゃあ、早速。
えっと…ゴウ君は、ランジィさんがジムで………」





昨日。
トキワジムに二人組の強盗が現れた。
ランジィは、病により動けず、抵抗出来なかった。
強盗は、ジムにあった大量のバッジを奪う。
しかし、少女が強盗の気を引き、逃げている間に、
ゴウとマンキーでランジィをポケモンセンターまで運んだ。
その後、ランジィは救急車で病院に搬送され、
一命はとりとめた。
しかし、少女は、強盗に襲われ、全治1ヶ月の重傷を負った。
そして、翌日。
ランジィは、病室の前の廊下で心筋梗塞で死亡。
その夜は、何者かが病院内の一部の電源を落としていた。
病院内の電源を管理するコンピューターは、プログラムを書き換えられていて、
職員も電源が落ちていることに気づけなかった。





三日後、トキワシティでランジィさんの葬儀が執り行われた。
誘ったけど、彼女は来ないと言った。
まあ確かに、あの怪我じゃトキワシティまで来るのは大変だろうな。





二週間後、少女は退院した。
しかし、骨折もしており、完治していないので、通院が続く。
少女は、左腕を吊っている。
ゴウと少女は、病院を出た。

「あ、そうだ。これあげるわ。」

少女は、ゴウにモンスターボールを投げた。

「え?モンスターボール?」

ゴウは、モンスターボールからポケモンを出す。

『イッブイ!』

「イーブイ!」

「そ、ランジィさんのイーブイ。」

「お前が持ってたのかよ!
見つかんなくて大騒ぎしてたんだぞ!」

「マンキーが持ってきたのよ…」

「いつ?」

「事件の夜、何があったか知りたい?」

「!」





事件当日の夜。

ゴウは、椅子に座り、壁に寄りかかって寝ている。
ブォォォ
外からエンジン音がする。
少女が窓の外を見る。
男が車に乗り込み、車は発進する。
車の中には、男が二人。
暗くてよく見えず、確信はなかったが、
ジムを襲った強盗の男たちのような気がした。
その車は、柵の外された隙間から病院の敷地を出ていく。
車が止まり、男が一人降りて、柵を直す。
怪しい。

「マンキー、追いかけて。」

マンキーは、窓から飛び出し、
なんとか発進する前に車の上に飛び乗った。
車は、去っていく。





トキワジムの中、少女が強盗から逃走中。

「一体どういうつもりか、説明してもらおうか?」

「そ、それは、こっちの台詞よ!」

「は?!」





「(あの言葉は、あなたたちに言った訳じゃないのよ。
自分がどういうつもりなのか、一番問いたかったのは私だから。
自分の身を脅かして、他人を守るなんて…
まだ、何故か分からないけど…)」

「おい!どうしたんだよ!急に黙って!
奴等が去っていった後、どうなったんだよ!」

ゴウが怒鳴る。

「あぁ、ごめん。」

「(余計なことまで思い出しちゃった。)」

「それで?どうなったんだよ?」

「2、3日ぐらい後にマンキーが戻ってきたわよ。
そのモンスターボールとトキワジムのバッジを持って、
イーブイと一緒にね。」





事件当日の夜。

ゴウが壁に寄りかかって動かなくなってからしばらくたった。

「寝ちゃったかな?」

『イッブイ!』

「え?!」

少女は、ベッドの足下を見る。

「イーブイ!」

少女は、イーブイを抱き上げる。

「何で私のところに来るのよ?
ランジィさんのところに行ってあげないと…」

『イッブイ。』

イーブイは頷き、部屋を出ていく。





トキワジムの中、少女が強盗から逃走中。
少女は、強盗の気を引くために奪ったランジィのモンスターボールからイーブイを出す。

「ランジィさんの側に居てあげて…」

『イッブイ!』

イーブイは、去っていく。

「くそ!逃がしやがったな!」

「だが、お嬢ちゃん?
お前に逃げ場はねぇーぜ?」

「ヒッヒッヒッ!…」

少女は、苦笑いを浮かべる。





「それじゃあ、ランジィさんは…」

「ええ。あの男たちがランジィさんに接触した可能性が高いわ。
あの後、モンスターボールは奪われちゃったし、
ランジィさんが病室を出るなんて、
よっぽどの理由があったはずよ。
それがイーブイの誘拐だったとしたら…」

ゴウは、少しだけ沈黙する。

「な、何で言わなかったんだよ!?」

「言ってどうなるの?
ランジィさんが助かるの?
死んだ人間の為に何かするのって、性に合わないから…
っていうか、誰かの為にってのが、そもそもね。」

「お前は、あの時ランジィさんを助けようと犠牲になったじゃないか!」

「あの時は、どうかしてたのよ。」

「どうかしてるのは、今のお前だ!
あの時は、正しかった!
お前は…」

「貴方の言っていることは正しいのかしら?」

少女がゴウの言葉を遮る。

「貴方が正義だとしたら、私は悪よ...
でも、私が正義だとしたら、貴方は悪になる。
あまり正義を信じすぎない方が良いわよ。
正義なんてどうせ、分かりっこないんだから…
本当の正義なんて分かるはずないわ。
自分の正義を信じ込むと痛い目を見るわ。」

「…」

「後は、好きにしなさい。
奴等の場所ならイーブイが教えてくれるわ。
私はこれ以上、この事件に関わるつもりは無いから…」

ゴウは、何も言えないまま去っていった。
少女が正しいことを言っているのか、ゴウには分からなかったが、
少女が自分とは全く違う正義を持っていることは感じた。
ゴウは、そんな相手と話せる気がしなかった。
走り去るゴウを少女は、見つめる。

「(私はあの時、どうかしていたのよ。
自分も守ってもらいたかったの。きっと。
だから、守った。
どうかしていたわ。
私は、一人で生きる人間なんだから。
ポケモンとお互いに生きるために利用し合う。
ずっと、そうだった。
あの時以外…)」





俺は、奴等の隠れ家を見つけた。
奴等はもう居なかったけど、
証拠がたくさん残っており、
犯人が特定された。
直に捕まるだろう。





通院するはずだったあの日、
あいつは、来なかった。
何処か遠くに行ってしまったのだろうか?
ちゃんと、他の病院で見てもらっているのだろうか?
その日だった。
彼女が完全に居なくなったと決まったのは。
病院に来なかったのだから、もう会えないだろう。
ゴウは、旅に出たばかりで、彼女に言われた通り動いていた。
当然、居なくなれば、どうすれば良いか分からなくなった。

「(居なくなっちまったら、お前は邪魔者じゃないか。
余計なことしやがって…
どうすれば良いか分からなくなったじゃないか。
何で着いてきたんだよ?
まるで、お前も死んだみたいだ。)」

ゴウは、旅に出て初めの二週間で大冒険をした。
そう考えたとき、ゴウは何かがつっかかった。
果たして、自分は冒険などしただろうか?
危険をおかしただろうか?
違う。
ただ、大事件に巻き込まれただけだ。

「(そうだ!冒険しなきゃ行けないんだ!)」

ゴウは、少女を必要としなくなった。
これからは、一人で何でもやりだす。
ハチャメチャにやる。
ゴウは、一人の冒険者になった。
もちろん、ポケモンは付いて来る。

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2018.7.15  14:57:40    公開


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