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　牢獄の鉄格子から想像した通りここは山の上であることがわかる。ぼくたちがいないことに気がついた奴らの仲間が追ってきても困るので、二人はとりあえず闇に包まれた山をおりる。

　少し進むと、体が痺れるような感覚がする。まさに、ルラと工場に突入するために山を登っていた途中で味わった感覚である。それが消えたかと思うと、今度は異臭がする。これもまさにあの時嗅いだものとほぼ同じである。

　しばらく歩くとその異臭も消える。そして、轟音と揺れもだんだん小さくなっていて、すでに無くなっていた。二人はそのまま山をおりきる。しかしそこには、建物らしきものが並んでいるが、そこに明かりがついている建物はない。それにも関わらず、戸惑う者たちの声で、賑やかであった。ぼくたちはとりあえず山のふもとで眠りについた。

　朝がきた。ぼくが目を開けると、そこは、ぼくの住んでいる街、ルラと出会った場所だ。しかも、おりてきた山を背に向けると目の前にはあの工場のある山がある。ここで、サイドが目を覚ます。

サイ「おはよう。驚いた顔してどうしたの?」

ぼく「ここ、ぼくの街なんだ。」

サイ「え?　そうなの?」

　ぼくはまだ信じられない気持ちで街を眺めていると、サイドがさらに話しかけてきた。

サイ「あれがぼくたちがいた場所か。」

　サイドが見つめる先には高い塔が立っている。しかしそれは、いままでなかったものである。

ぼく「え?　いままでなかったよ、あんな塔。」

サイ「え?　ということは、あの揺れは塔が隆起したときの揺れかな。」

ぼく「え、でもそれはおかしいんじゃない?　だって、ぼくたちのいた場所は上がっていた感覚はなかったよ。」

サイ「いや、ぼくたちのいた場所は塔の中じゃなくて、塔の近くだったのかもしれない。」

ぼく「あ、なるほど。」

サイ「あと、塔を隆起させるのにエスパーパワーとやらを使ったかもしれないな。」

ぼく「え?　ルラたちが使われたなんて……。」

　すると、そこに放送が流れた。

放送「あと十二時間後に世界を滅ぼします。皆さんさようなら……。」

***作者から***

　ウィズたち、脱獄して少しほっとしたのもつかの間でしたね……。チェリーたちはどうなってしまうのか?!

　次回更新予定 : 9/25(日)　午前中