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その色が奏でるストーリー.

著編者 : 

7 color. lapis lazuli

著 : 

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 天命を授かった神獣、それが聖獣です。

 温められ、愛情を受け、心の灯がともされた命、それが聖獣なのです。


 だけど、

 そんなことをしなくたって、それは孵るのです。


 すべてに置き去りにされた神獣、それが魔獣です。

 雨に、風に、絶望に晒され、ゆくあてのない路をさ迷う命、それが魔獣なのです。



 やがて聖獣は理性を学びます。

 やがて魔獣は本能に従います。





 それでも、やっぱり命は儚いのです。










「うわっとっとと!」
 魔獣は地面タイプ。”じしん”がルリ達の足元を揺らす。
「危険だから離れててください王子!」
 グランがルリの元へ駆け寄り、”ねんりき”でルリを持ち上げた。
「わ、わかったけど!その”王子”ってのやめてくんないかなー!」
 グランに運ばれながらそんなことを言うルリ。
「何言ってんですか!」
 アスカは魔獣の”きりさく”攻撃を蹴りで軌道を反らす。そのままもう片方の足で回し蹴りをするが、魔獣は後ろに跳んで避け、背中の棘から”スピードスター”を発射する。
「はっ!」
 アスカはそれらを縫って避ける。標的を外れてルリへ向かう星が、グランの”まもる”で弾けた。
 魔獣が作り出した”すなじごく”を、アスカはグランの手を借りて飛び上がり避ける。そのまま瓦割りの姿勢で魔獣の上に手刀を振り下ろした。
「はああああっ!!」
 が、突然誰かがその飴色の魔獣の前へ飛び出した。

「やめて!お願い!!」










「ねえ、ねー!起きてよ…大丈夫…?」
 一人の少女が、シオンの頬をぺちぺちと叩く。

 ―――フィア…?










 フィアは砂地獄も顧みず、その飴色の魔獣に近づき、トトを抱くようにしてかばった。
「ちょっと!何やってんの!?」
 アスカは咄嗟に手を引っ込め、穏やかになった地面に足をついた。
「え?消えてる…」
 フィアがトトを放した。
「トト、あたしがわかる…?」
 トトの構えていた手の力が抜けた。
「…キ…」
 悲しそうに目を伏せるトト。その目から凶暴な光は消えていた。
 フィアが笑う。
「よかった」
 フィアは立ち上がり、アスカに言った。
「トトはあたしの神獣なんです。ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
 ぺこりと頭を下げるフィア。
「いえ、私もそんなことも知らずに…」
 少し困惑の表情を浮かべるアスカ。
 すると、離れたところからルリの声が聞こえた。
「グラン、もういいよ。降ろしてくれ」
 ルリが二人の元へ駆けてくる。
「あの、すみませんでした」
「オレは別にだいじょーぶ。このサンドパン、お前の神獣だったのか」
 ルリがトトの頭をぽん と撫でる。トトが申し訳なさそうに小さく鳴いた。
「謝ることないって。お前魔獣だもんな、寂しかったよな」
 にこにこと笑うルリに、フィアは ほっとした。しかし、トトはちょっと小首をかしげ、もう一度鳴く。
「フィア?ああ、お前の主か」
 えっ と、フィアは驚いて顔を上げた。
「オレ、ルリ!よろしくっ」
 右手を差し出すルリに、今度はフィアが困惑の表情を浮かべる。
「あのね、ルリおぅ…」
 説明をしようとしたアスカの口を、ルリがふさぐ。
「…ふぁにするんでふか…」
「王子は秘密だ!めんどくさいことになるだろ」
「へ!?だめでふそんなっ…」
「アスカ、助けてもらっといて悪いけど、早く道場に戻らないとおじじにしごかれるぞ」
 アスカは はたと口を閉じた。顔が青ざめる。
「しっ……しまったああああっ!!失礼します!」
ぴゅん!
 アスカが路地を駆け抜けるその後ろを、グランが追いかけていった。
「えっと…」
 状況が読めず戸惑うフィアに、ルリはにこりと笑った。
「オレは”町の少年”、ルリだ」
「え」
 何か言い方に違和感を感じるフィア。すると、トトがルリに向かってまた鳴いた。
「おう、もうわかったろ」
 ルリがトトに向かって言い、フィアに向き直る。

「オレな、神獣と話せるんだ」










 シオンはまだ残っている痛みに顔をひきつらせている。少女は通り過ぎる人を気にしながらシオンを起こそうとするが、なかなか起きなくて困り果てていた。
「…うう、だめだ…。目立つから移動させないと…」
 ずるる… と、少女がシオンを背負おうとする。が、少し動いただけだった。
「あーっもう!ボクの力じゃ足りないよ!」

 ………ボク??

「めぐむ!めぐむー!!ちょっと来て手伝ってよーっ!」
 シオンはゆっくりと目を開けた。その先には、琥珀色の髪の少女。と、上空から何かが降りてくる。少女がその神獣の背中に乗った。
「よし、よろしくっ!」
「ギウッ!」
 その”めぐむ”と呼ばれた神獣、プテラがシオンの背中を足で掴む。
「は?」
 そのまま浮き上がる。少女はシオンが起きたことに気づいたようだ。
「あ、おはよう!…で、いいのかな?」
 シオンは、少女とプテラに連れられてゆく。
「ちょ、おまえ、誰だ―――!!」
「はゎっ、元気そうでよかったぁ!」










 今、フィアとルリはハンターギルドにいた。あのハブネークの討伐報酬を受け取るため、ルリに案内してもらったのだ。
 ルリはギルドの中へは入らなかった。ギルドの外でフィアを待ちながら、ルリは呟く。
「…こんなとこ、大嫌いだ」





 フィアはハブネークの懸賞金、五十万を受け取った。そわそわとギルドを出ようとするが、カウンターの隣にある依頼板に目が止まり、フィアは立ち止まった。
 きのみ収穫の依頼、物の配達の依頼、神獣の撃退、捕獲、そして討伐の依頼。懸賞額は、低いものは数千、高いものは数百万もある。
「おっ、これいただき!」
 ぼーっと依頼板を見上げていたフィアは、突然隣で大きな声がしたのでびっくりした。見ると、黒い顎髭のがたいのよい男が、依頼書をボードから剥がし取っていた。男がそれをカウンターに持っていくと、案内の女性が説明をはじめた。
「西のメリアー通り三番地、”落陽の酒場”店主のブーピッグ捕獲依頼ですね。詳細は…」
 フィアはしばらく聞いていたが、ルリを待たせていることを思い出し、大金の入った袋を抱えてそそくさとギルドを出た。



「ありがとう。待たせてごめんね」
「ああ、別にいいよ」
 すると、ギルドの中からさっきの黒髭の男が出てきた。
「…へへ、ブーピッグっていやあ、黒真珠が高く売れる…」
 ルリがピクリと反応した。そして、顔を上げて男に話しかける。
「…おっちゃん、オレらも連れてってくんない?」
「はあ?」
 男は振り返り、ルリとフィアを ぎろりと睨む。フィアは慌ててルリを見た。
「な、だめかな」
 ルリは帽子を脱ぐ。その頭は寝ぐせでぴょんぴょんとはねていた。
 しかし、男の目に入ったのは、その内側に金碧で刺繍された紋様のほうだった。
 それは、露草と三日月。ラピス王の紋章。
「なっ…はいっ…いいですともっ!」
 驚いた男は、礼儀正しくざっ と頭を下げた。そして、聞こえないよう軽く舌打ちをする。
「ありがとな!」
 ルリは立ち上がり、帽子をかぶり直した。
 本当はこんな手、使いたくないんだけどな…。
「えっ…ねえ、ルリくん。”オレら”って、…あたし達も?」
「当たり前だろっ?」
 ルリはフィアとトトの手を引っ張り、歩き出した。
「んじゃ、行こーぜおっちゃん!あのさ、その紙見せてくんないかな」
「…どうぞ」
 男は浮かない顔で依頼書をルリに手渡した。





「…捕獲、場合によっては討伐…か…」
 ルリは呟いた。








 手をあてなくたって
 意識しなくたって
 全部聞こえるんだよ


 痛いって

 苦しいって



 人は少しでも傷つくことを恐れてるのに





 獣ならいいのかよ?










     7 color. lapis lazuli

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2008.12.20  16:23:45    公開
2008.12.20  16:53:34    修正


■  コメント (6)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

おはようござ・・もといこんばんは!ドルフィノさん!!

今回が瑠璃色です!!
でも調べたらazureも瑠璃色でした・・ごめんなさいっっ!!ものすごくまぎらわしくてごめんなさい!!orzzzzzzz
lapis lazuliは普通の”瑠璃”ですしっ><)))))
反省してます・・いにはばかなので・・・(すべてにおいて

まんまですね!!ルリとか!!変えるつもりもありませんでした(
ふぉぉあドルフィノさんーーー!!Σ((((゜Д゜;
まっ・・・まさか少女まで気付いてくださるとはっ・・・!!あまり言うとねたばれですが!
その要素に”口調”が入っていることに感激しておりますいにです(((><;;)))

BBS・・・Σはっ!!
投稿にはBBSが必要なんですか!?((おい
そっかなるほど・・・(;
でも仁はそんなこと思いつきもしなかったので、BBSなしでも大丈夫ですよ!
いにはばかですが妄想力は豊かなので!!

更新するたび来ていただきいには頭が上がりませんっ・・・!!><**
ではでは、次回をお楽しみに!!(しててくださいおねがいします((

08.12.21  04:34  -    (1z0i3n1)

ほぁ、西条流月さん!おはようございます!(というかこんばんはですね←いにはさっきまで寝てましたが((
昨日は失礼しました><)))

ほわわっ!!
むっ胸に残る・・・っなんてはじめて言われました!!
うおおぁ嬉しいですっ!!いににもそんな言葉が書けたんですね!!(

ふぉぉ西条流月さんあなたは神ですか((何をいきなり
少女の性格を一瞬で見抜くとは・・・しかも仁の乏しい表現力で・・・!!いつの間に私の思考を読んだのですか!?><((

キャラ募集については昨日殴り書きましたが・・一度やった方も大歓迎です!!
てかエイルに続き西条流月さまの素敵キャラクターを投稿していただけるんですか!!自重もしなくて構いませんからねっっ!!><**
ただ説明はよく読んでっ・・おねがいします!どうなるかはわからないのでっ><))

うほぁっ・・><更新するたびに来ていただいていには・・・いには!!!←
では!8話目に少女の名前は出ますのでっ
(ちなみに”めぐむ”は漢字なのでまだ本名は出てないかんじです・ω・b((ねたばれだぜ!

08.12.21  04:16  -    (1z0i3n1)

色を間違えてしまうとは…美術部(元)として情けない!!(反省
今回こそ瑠璃色ですね!?

し、しかも!!
琥珀色の髪、一人称がボク、少女、口調…ま、またしても!!
ルリが神獣(ポケモン)と喋れる点も…おおっ!!

キャラ募集ですか…出来れば僕も参加したいところですが、色んな事情でBBSが使えない…。

ではまた!!

08.12.20  18:25  -  不明(削除済)  (Mariner)

おーけーですよ!
自重もしなくてかまいません!!

ちょっと時間がまずいのでコメ返しは今度でよろしいでしょか><
すみません!

っでは!

08.12.20  17:37  -    (1z0i3n1)

最後の言葉は胸に残ります
現実にも当てはまりますね
シオンを拾った(?)少女(というより僕っ娘)、これはフィアと違った意味で天然というかマイペースですね
神獣の方が先に名前が出てきましたね

それで再度キャラ募集をするということですが
一度やった人でも可能ですか?
OKなら作らせていただきます(自嘲せずに2〜3体ほど)

08.12.20  17:32  -  不明(削除済)  (rutuki)

こんにちは!
3話目にフィアがもらったハブネークのしっぽのことを若干忘れていた仁です((

はじめまったく考えていなかった、聖獣と魔獣の区別をやっとやっとつけましたぜ!!やっと!←
ごめんなさい><

前回『碧色』で、今回『瑠璃色』なのですが、どっちも『azure』じゃんっっ!!*><ノもーまったく!!
いにはご乱心!!(

ところでアスカは性格が書かれていなかったのでまた私の直感で書かせていただきました
いちごみるくさま、想像と違っていたらごめんなさいっ><

いには昨日活くるまえびと格闘しておりました(知るかい
活ですよ!?
海を越えて送られてきたのに・・ダンボールから出そうとしたらはねるんですよ!?まじで活きてるん((ry(黙れあほめ
”はねる”ってかなり威力あると思います(宣言

では、ちょっとキャラを募集しようかなー、と思うので、興味のある方は00 color. characterまで・・・お願いします・ω・*

08.12.20  16:52  -    (1z0i3n1)

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