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dummy

その色が奏でるストーリー.

著編者 : 

17 color. jade

著 : 

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「…こいつは?」
 赤いジャージの少年が、琥珀色の髪の少女に尋ねる。古代獣に乗り、町の上空を飛んでゆく。
「ピカー!」
 少年の頭の上に、黄色くてほっぺたの赤い神獣。こいつ、とはこれのことだ。
「ぴっぴかちゅー」
 コハクが答える。答えになってない。
「なるほどー」
 少年が気怠そうにに言う。
 なぜこの二人がこのような会話をしているのかというと。まず、グレンピアを発つ少年を、コハクが送っているということ。その少年は、神獣を連れていないということ。あの白い建物から、ピカチュウがついてきてしまったということ。
「そのピカチュウどこで見つけたのー?」
「えー…忘れた」
 白い建物の一角に据えられたひとつの部屋に、何故かは知らないが大量のピカチュウがいた。王子を拐ったのはピカチュウマニアか? だからついでに全部逃がしてやった。それだけのことで、なつかれる筋合いはない。
「なんでこいつも乗せてんだよ」
「えっ、だって、印結んだんでしょ?」
 コハクは振り返り、その神獣の左耳に目を留める。
 そこに、モンスターボールと炎の紋章。
「してねえよ。それは最初っからついてた」
 欠伸をする。まったく興味はないようだ。コハクが首を傾げる。
「あ、ついたよー。ボクとめぐむはここまでねっ」
 かつてフィアを下ろしたのと同じ場所、山の麓に降り立たせようとコハクは竜に声を掛ける。しかし、 少年は不満そうな声を上げた。
「いや、無理だわ。」
 不満というより、拒否だった。
「え!? これでも数キロは飛んだんですけど!」
「だって山登んのとか疲れんじゃんー」
「ピッ」
 いくら抗議しても、どうやらここで降りる気は毛頭ないらしい。

 めんどくさいだけのくせに…
 ぶつくさと不平を呟きながら、しぶしぶコハクは竜に指示を出した。










「ごごごめんねごめんねケアルー!」
 来た道を一旦戻り、あの別れ道を右に進む三人と三匹。フィアは取り乱して顔を真っ赤にしながら、半泣き状態でケアルに何度も頭を下げている。
「ねえねえ、どーしたの?」
カイは状況が読めず、フィアとケアルを交互に見る。ロークも同じ動作をする。
「フィア、謝ることないのよ?」
「そんなことないのっ…!」
 わたわたわた。
「だってあたしっケアルのこと…ばかって…あたしのばかばかばかあたしがばか!」
 わっ と両手で顔を覆い、う〜〜… と唸る。
「…かわいい…」
 ケアルは笑顔で呟いた。










 山を越えた。その上ルルティコも通り過ぎた。陽はだいぶ傾いてきて、さすがの竜もへとへとだ。コハクが こっくり こっくりと舟を漕ぎはじめた時、少年が大きく伸びをした。
「んーじゃっ、俺はここで降りるかなっ」
 立ち上がった途端に竜のバランスが少し崩れ、コハクは目を覚ました。
「へぅわっ!?」
「ん、じゃな!」
 ちゃっ と少年は敬礼する。つられてコハクも敬礼するが、次の瞬間には少年は竜から飛び降りていた。
「……あっ、ちょっおまえーっ! あ、あぶなっ…!」
 なんで男の子は飛び降りるのが好きなんだろう。かなり高度を下げて飛んではいたが、着地の仕方を少し間違えれば大怪我に繋がる。
 まあ、あいつに限ってそれはないか。
 コハクは一度下を確認すると、少し手を振り、グレンピアへと航路を直した。今度ボクも飛び降りてみようかなあ とか考えながら。





「…ちょっとこの高さは危ないかなー…」
 少年はそんなことを呟きながらも、苦もなく地面に着地した。
「あ、やべ、足…キーンとするわ…」
 そんなことを言いつつ少年は立ち上がり、ジャージについた土を払う。
と、視線を感じて顔を上げると、
「…人が落ちてきた…」
 驚愕する少年。
「えっ怪我とかしてない大丈夫!?」
 何故か慌てる少女。
「フィア、近づいちゃだめっ! きっと危ない人なのよ!」
 いきなり危ない人呼ばわりする女。
 そして、
「ピー!」
 何故かまだくっついてくるピカチュウ。
 少年はうんざりと目元をひきつらせた。










 その墜落してきた少年を、三人は目を丸くして注目する。
「あ、別に怪しーもんじゃないからさ。ほら俺、もう行くし」
 両手を顔の横辺りでちょっと ひらひらさせ、笑う。そして、言った通り背を向けて歩き出す。フィア達は顔を見合わせる。すると、少年は足を ぴたりと止めた。何事かと思うと、少年は後ろからついてきていたピカチュウを両手で持ち上げ、フィア達へ突き出した。
「やる。」
「え?」
「勝手についてくんだよ」
 フィアは勢いで受け取ってしまい、少年はまた くるりと背を向けた。フィアの手の中のピカチュウは、すぐさまフィアの手を抜け出して少年の後ろにつく。
「…なんなんだよっ!」
「ピカッ!」
 ピカチュウの首根っこを掴みあげ、そのおでこをピン と人差し指で突く。
 印を結んだ神獣を捨てようとしてる…?
 フィアの目にはそう映った。
「あ、あのっ…」
 びくびくしながらフィアは少年に声を掛ける。
「ほ、ほら! 今日はもう陽が暮れますし、一緒に休みません…?」
 カイとケアルが驚いてフィアを振り向く。
「あ、でも、嫌なら、その…」
 二人の視線に縮こまるフィア。
「…俺はどーでもいいけど、そっちのお二方は賛成?」
 ピカチュウをぷらぷらさせながら少年がカイとケアルに視線を向ける。
「私はっ…だって、すっごく怪しいものっ。ね、カイ、やめたほうがいいよねっ?」
「うーん、僕は…」
 少年が欠伸をする。と、同時にピカチュウがぽとりと落ちる。なんだか気が抜けてる人だなあ。聞いてるのかなあ…。
「…いいんじゃないかな」
 それを聞き、フィアは ぱっと笑顔になった。
「あたしはフィアっていうの」
「あー、俺は…」
 また欠伸をする。眠いのだろうか。
「俺は、ヒスイ。」








 主人と無理矢理引き離され、あの白い建物へ。主人は僕を捜してくれてるのだろうか。また、会えるのだろうか。

「ヒスイくんはどうして旅してるの?」
「忘れた」
「どこから来たのー?」
「忘れた。」
「なんで空から落ちてきたの?」
「忘れたー」
 起こした火の中で、薪が ぱちぱちという音をはじき奏でる。ヒスイは頭の後ろに手を組み、足も組んで寝転がっている。フィアとカイの質問に、ヒスイは“忘れた”としか返さない。さすがに本当に覚えていないのか疑わしくなってくる。
「…あの、話したくないことなら…」
 申し訳なさそうにフィアが言うと、
「いや、めんどいから」
 認めた。本当は忘れたわけじゃないんだ。
「…ねえ、ピカチュウかわいいよね!」
 フィアは強行突破に出た。
「別に興味ないけど」
 さくっ と答えるヒスイ。
「…すっごく役に立つコだよね!」
「知らね」
「じゃあ…っ」
 問答を続ける。しかし、すべて さらりと流されてしまうだけだった。フィアはピカチュウのほっぺを むにむにしながら、うーと、えーと と言葉を探す。
「…ね!捨てたりしないよねっ?」
 最終的に涙目になりながら、フィアは結局のところを尋ねた。
「捨てる?」
 ヒスイがきょとんとフィアを見る。フィアにとって、その反応は予想外だった。そして、ヒスイが ぷっと吹いた。
「へっ?」
 笑いを堪えるヒスイに、フィアの顔が赤くなってゆく。あたし、なんか変なこと言った?
「あー、おまえも勘違いしてるってことな」
「勘違い…?」
「ヒスイーー! 来てーーー!」
 向こうからカイの声。あー? とヒスイが立ち上がる。
「あ、フィアはそこにいてっっ!」
 ヒスイに続こうとしたフィアをカイが手を振って制す。
「どうして?」
「どうしても!」
 そう言われ、フィアはまたすとん と腰を下ろした。
 向こうでは、ケアルがスープと格闘していた。



 その後、今日のごはんはおいしかった。










 欠伸がひとつ。
 カイとケアルはもう寝た。フィアも眠ろうとしたが、ふと思い出し、身体を起こす。ヒスイは起きていた。
「あの、ねえヒスイくん。あたしの勘違いって…」
「あー、それ。こいつは俺の神獣じゃないってこと」
 欠伸をする。よく意味がわからず、フィアは疑問符を浮かべる。
「だから、この証は俺のじゃない、どっかの誰かさんの紋章だってこと。俺は更っ々、神獣になんか興味ありませんからね」
 ヒスイの傍らですやすやと眠っているピカチュウの耳が、虫でも寄ってきたのか、ぴくり と動いた。
「…そうだったんだ。あたしてっきり…」
 主人はもう亡くなっているのだろうか。捨てられたのだろうか。それとも、誰かに仲を引き裂かれたのだろうか。そう考えた時、フィアに何かが込み上げてきた。
「…そっか。ヒスイくんがそのピカチュウを保護してあげてるんだね…」
「へ…?」
 目を細め、口元をひきつらせる。そんなヒスイの様子にも気づくことなくフィアは顔を上げる。
「ね、そのコの主をきっと見つけてあげてっ…!」
 反論などできないような、その泣きそうな顔。
「………」
 フィアが眠りにつく。ピカチュウの耳が、また ぴくりと動く。
「…まじかよ」
 はあ、と息をつき、ヒスイは帽子を顔に被せ、手を頭の後ろに組んだ。
 ひとつ欠伸をすると、目を閉じる。

 この人は、主人と似ている気がする。容姿も性格も全然違うけど、目が似ている。目付きじゃなくて、そのもっと奥に宿る灯が。
 …よくわからなくなってきた。










     17 color. jade

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2009.1.31  20:51:28    公開
2013.1.3  16:27:48    修正


■  コメント (9)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

ふおおりかP−さんがっ!!おはようございますっっ!
わばばちょありがとうございます!><**
Σクラシック・・・!優雅ですね・・・!(?

いろんな小説まわっているとりかP−さんのこめがいろんなのころにあって・・・すごい読書家だ!と尊敬しておりました!><**
そんなベテランな方がこめしてくださったとかーーー!!仁が浮かれますよ!?←

はなっ・・・Σ脳出血はだめですーーーーー!!><)))
ちょ大丈夫ですかコハクとヒスイのせいですか嬉しいです!!Σd(((
わば仁は師匠じゃなくて支障ですよ!?師匠!!(かえしっ
わああすとかさんはだいすきですーーー!!><**←

ふわわ楽しみにしてくださってるとか仁はもうどうすれば涙が止まるのか忘れました!!><))
ありがとうございます嬉しいですーーー!!

ではではありがとうございましたー!><**

09.3.25  06:26  -    (1z0i3n1)

ふぇにっくすさんーーー!!おはようございますっ!><**
こめ返し遅くてごめんなさいっ・・・!><))
Σかっ仁は紙ということは周知の事実ですよはわあ><**

ふわわわちょ・・・っ!わあ嬉しいですっ!!一話一話が長いので続けて読むのは大変なのに・・・ふぇにさんが神!うん断定ですね!!^^←
おとめww仁は男の子に女の子の名前をつけるのが好きみたいですb((
感覚で決めてるのですがヘンな名前って言われたりしますw

そういう単語仁もだいすきです!Σd
なんだか素敵な響きですよね^^変じゃないですよー!!><))
きっとみんなもすきなはずですっ・・・たぶんw

わばばっまた読んでくださるんですかっ・・・!?
はいもうあああのぜひ読んでくださいそして楽しんでいただけると仁が空の果てまで喜びますはいいいっっ!!><**
応援ありがとうございます・・・!本当ですね更新がやばいくらい滞って・・・;;
目的はもう見えてるのに仁のいたらなさのたまものですorz
頑張らせていただきますっ・・・!

ではではっありがとうございましたーっ!><**

09.3.25  06:12  -    (1z0i3n1)

うわああぁっぁああ!仁様の小説にコメントを書いちゃってるよ!気持ちはふぇにっくすさんといっしょです!
しかもノリノリでクラシックを聴きながらー!(失礼じゃないか!

本当、コハク様とヒスイ様にーーー!バタッ!

脳出血ー!鼻血ー!

これからは本当に師匠と言わせてもらっていいですか!?
というかもう呼ばせてもらいます!
師匠ー!どこへいこうとついていきます!(ストーカー
続きも楽しみにしていますー!

09.3.22  13:29  -  不明(削除済)  (0498411)

仁さーん!!わぁあ///書いてるっ私コメント書いてる!(どうした
神ですねっええ!仁さんは神だ!(落ち着けー

どーしてポケノベにはこんな感動しちゃうようなノベルがあるんでしょうねぇ?
「次へ進む」を押さない訳にはいかなくなるじゃないですか///

名前が皆綺麗です♪おとめちっk(殴

「印」に「魔獣」、「聖獣」に「神獣」…///
こういう単語が好きなふぇには変ですか!?

ちょっ…続きも読みに来てもいいですかね いえ来ます自重のしない恥知らずですからっw
更新…頑張ってくださいね!
(…おいふぇにお前はどうなんだ更新できてないじゃないか)

09.3.21  12:44  -  不明(削除済)  (phoenix)

こんばんは煉杜さん!
こめ増えててびっくりしました><*

ふお!わわすきてだいすきて!ありがとうございます!!><**
ところでヒスイくんは・・・一年ほど前の性格とまったく違うことになってますw
初期設定のヒスイあれえええという感じですぶちこわしです!Σd
いつかぶろぐんにあっぷすると思うので興味があれば!(ぶちこわしですけどね!Σd

わあ!縦書き表示で読んでくださってたんですね・・・!><**縦読みも意識して書いててよかったです!でも前に♪入れちゃってごめんなさいorz
せっかく題名が全部色なので!毎回題名の色にしてました!
文字色変えられるって素敵だと思います!Σd

ではっ!応援ありがとうございますっふぉあ!!><**

09.2.7  03:41  -    (1z0i3n1)

ヒスイきたーーー!(便乗すみません

あくびww
ヒスイの余裕っぷりが好きです^^*

確かに彼がポケモンと戯れるのを見ていると和みますねwww
何か雰囲気とかマジで大好きなんですg(黙 れ !

狽「つも縦書きで読んでました!
わあぁああぁ文の色変えて書いてたんですねっ!(今更
縦書きだと分からなかったですorz(ばかたれー
・・・今度僕も色変えて書いてみようかな・・・

更新頑張って下さい^^楽しみにしてますww
それでは失礼しましたノシ

09.2.6  21:27  -  れんと  (nasumiso)

おはようございますー!ドルフィノさん!
を!なんだか期待に応えられたようで嬉しいです><**
先にヒスイ視点ではじめたら変な感じになるかなとわざとそうしたんですが前置き長ッ!!となってしまいました←
ほんとはもっと短いはずだtt
ヒスイクオリティてwwいいですねそれ・・><*←

なんだかヒスイとポケモンが一緒にいるだけで微笑ましいとかんじる仁ですw作者なのにww
にしてもポケ譚と似すぎとか禁句です(おま

あと余談ですが!
縦書き表示にすると最後のよくわからなくーがおもしろいことになります
はい、おもしろいと感じるのは私だけですね!(
もいっこ余談w
ごはん大乱闘とか番外編でやりたい(するー

ではではっ!失礼しました・・!><**

09.2.1  06:16  -    (1z0i3n1)

ドルフィノ乱入!(帰れ
ヒスイキター!密かに期待していたコハクとの絡みもあって嬉しいです!
一つ一つのヒスイの言動は流石ヒスイクオリティw
そしてけあるん料理がまた!カイは相変わらず忙しいですね!
ピカチュウはアオパタ同様のアレですな!(何が
元々ピカチュウは特別な存在というわけじゃないのでオリエディには出てきてもそんな重要なポジションじゃないかもしれないです(どうでもいい

あ、明日の朝オリエディ更新する予定です(宣言しつけぇ

では!

09.1.31  21:35  -  不明(削除済)  (Mariner)

ヒスイ登場っです!
やった更新できた・・・!><**
でも次の話は長くなるので、全部書いてから一気に更新するつもりなので・・次はまたちょっと更新遅くなります・・・!
その間にポケ譚でも更新しようかと・・・!><

ヒスイ書きやすいwです・・・!
ヒスイならなにをしても許される気がするのは私だけでしょか(
あ、ヒスイのあくびについては・・彼は別に眠いわけじゃなくて、あれです、ヒマなときに出るあくびです!余裕ぶっこいてますね彼はw
重要なようで重要でない、重要でなさそうで重要だったりするようなキャラです彼は!←ややこし
でも仁にとっては意外と暴走対象w

あと、ポケノベだしピカチュウ出したいなー!というよくわからないこだわりによりピカチュウの出場です。ちなみに裏設定あり←


翡翠色なんてないよは禁句ですので!←

ではでは駄文おいて逃走ですっ!><**

09.1.31  21:11  -    (1z0i3n1)

 
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