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dummy

その色が奏でるストーリー.

著編者 : 

13 color. white -last melody-

著 : 

イラスト : 

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*破壊の力に鮮血が飛ぶ








 何かが変わった。

 何が変わったんだ?


 何かを知った。

 何を知ったんだ?


 行かなきゃいけない。
 どこへ?

 探さなきゃいけない。
 何を?



 ここにいてはいけない―――




 ―――どうして。








 旅の話を聞かせてもらおうと、カイはシオンをシャルイ村に案内した。
 村ではちょうどモチつき大会が行われており、シオンも飛び入り参加させて村中が盛り上がった。毎年恒例の行事だけど、今日は特に楽しかった。シオンはモチをついた時に杵にくっついてくるモチにびっくりして、
「なんだこれ!!」
と言ったら、村の人達全員に笑われていた。
 シオンは明るくて、カイよりも年上だけどどことなく子供のような雰囲気を漂わせている。ただ、旅をしているというだけあって、そんな雰囲気の中にも何か重みを感じる。もし自分にお兄さんがいたら、シオンみたいな人がいいなあ とカイは思った。
「お魚、村長さんのところに届けてくるね!」
 カイはすっかり元気になったロークと一緒に家を出た。
 早く帰ってシオンと話したいな。まだ村長さん家に着いてもないけど。そういえば、旅のことを聞こうとするたびにタイミング悪くて聞けてないな。まあいいや。帰ったら時間なんてたくさんあるし。
 カイは走って村長の家へ向かった。



 村長と今日のモチつき大会のことを話していたら、シオンに来年も来てほしいって言っていた。シオンにこのことも言ってみよう。そしたらまた来てくれるかもしれない。あとちょっとで家に着く。そしたら、シオンにいっぱいいっぱい話してもらおう。あれ? なんだか家が静かだな。
 カイは家のドアを元気よく開けた。

「ただい―――」




 シオンが立っていた。




 足元に、知らない男の人が三人倒れていた。




 奥に




 お父さんとお母さんがいた。




 怪我をしている。
 血が流れている。

 ―――動かない。




「カイ―――」
 シオンが口を開く。その紫苑の瞳は冷たくなっていた。でも、その声は、顔は、何かに怯えるように震えている。
 カイは声を出せなかった。目の前の光景が何なのか、まったく理解できなかった。
 白い髪を揺らした。シオンがゆっくりと近づく。カイは動けなかった。
「―――俺が……やった」
 戸口に向かいながら、シオンはかすれた声を出した。顔は伏せ、影を帯びている。何も言わずカイの横を通り過ぎる。すれ違い、お互いに背中を向けるかたちになった。

「ごめん…本当に…ごめん―――」



 しゃくりあげるような、うわずった声だった。
 カイは最初に会った時のことを思い出した。シオンはロークを助けるために、向こう岸から飛んできた。…そうだ。人じゃない。半獣…? それとも、………バケモノ?

 シオンは村から消えた。










「………っ」
 フィアは両手で口を覆った。前にレイに聞いた限りでは、そんなに恐い人だとは思わなかった。
「…ごめんね…辛いこと話させちゃった…」
「え?」
 カイはきょとんとフィアを見た。フィアが今にも泣き出しそうなほどの涙を目に溜めているのを見て、 カイは慌てて付け足す。
「でっでもね! きっ…」
 しかし、その言葉は大きな音に呑み込まれた。電光が走ったと思うと、傍らの木がフィア達の上に倒れてきた。
「きゃあっ!」
「わああっ!」
 カイがフィアを引っ張り、なんとかそれを避ける。さっきまで座っていた木がバキバキと音をたてて折れた。
「パチリスさんのおうちがっ…」
 何が起こったのかわからず困惑するフィアの横で、カイは電撃の発せられた方の一点を見つめる。
「―――なんで僕を追いかけるの…!?」
 それは、さっきの青年と男だった。
「今後、差し障りが発生すると面倒ですから」
 青年は淡々と、カイを見下ろして言う。その身体中を青白い光が取り巻いている。フィアが見たときよりも大量の電気がその爪を通して貯まる。
「紹介だけしておきましょうか。…僕はレントラーの半獣、彼はニドキングの半獣です」
 地面の欠片が宙を舞った。男が大地の力でそれらをカイ目掛けて打ち出す。
「わあ! ローク、“みずてっぽう”!」
 水鉄砲は欠片に直撃し、勢いが衰えて べちゃりとカイの足元に落っこちた。しかし、立て続けに男は雄叫びをあげながらカイに向かって来た。
「がああああッ!!」
 そして太い腕をめちゃめちゃに振り回して暴れだした。カイの指示が追いつかない。
「カイくん逃げよう!」
 暴れ終わった男がその反動で混乱状態に陥った隙に、フィアがカイの手を引っ張り駆け出した。その時、ずっと充電をしていた青年の手が振り下ろされた。それに気づいたロークが、青年に飛び掛かりその腕に噛みつく。
「…自滅ですか。頭が悪いようですね…?」
 行き場を失った電流がロークに集中する。
「ローク!!」
 ロークは苦痛の叫び声をあげ、その場に倒れる。
「…ひどい…! どうしてこんなことするの…?」
 フィアは声を震わせて青年に尋ねた。青年は少し肩をすくめただけで、もう一度フィア達に手を翳す。
「ギイイイ!」
 またロークが噛みつき電流が流れる。青年の腕に血が滲み、少し顔を歪ませた。
「…うるさいですね。君から先に楽にしてあげましょうか」
 冷淡な表情の中で、青年の瞳が怒りを灯した。
「やめて!!」

 その声は遠く、青白く不気味な光が一瞬にして視力を奪った。カイが叫ぶ。フィアは恐くて何も言えず、ただ立ち尽くすことしかできなかった。ロークの声さえも聞こえないほどの音と電光。刺すような光の中で―――真っ白な優しい光が生まれた。


「ギャウウウウウッ!!」

 両肩の後ろの、その大きくてたくましい甲羅から、ガシャン という音とともに噴射口があらわれる。
全員が目を見張った。その青年と対峙するのは、新しい姿を手に入れたローク、カメックスだ。
 勝機が見えた。
「ロークっ…“ハイドロポンプ”!」
 カイがそう叫ぶのと同時に、噴射口から大量の水流が発射される。
「くっ…!」
 混乱していた男も青年もその激流に流された。
「やった! ロークありがとう!!」
 しかし、ロークがカイの方へ向かおうとした瞬間、青年が激流の中から飛び出した。
「僕の“噛みつく”はただ噛みつくだけではないんですよ!」
 甲羅のない部分、頭部を狙い、青年は電流を纏った牙をロークに突き立てようとする。素早さの低いロークは、反応が遅れ―――

「すっ“すなじごく”っ!」
 細い声が叫んだ。途端、男と青年の行く手を砂地獄が遮断した。
「ほわっ! フィアすごい!」
 ロークが噴射口を後ろにするように殻に籠る。その甲羅の上にカイとフィアとトトが乗り、ハイドロポンプと同じ要領で噴射口からジェットのように勢いよく水を噴射する。あっという間にフィア達は男達の前から消えた。










「……誰? …ああ、れんちゃんとぐっちゃんか。え? だから、レントラーだかられんちゃんで、ニドキングだからぐっちゃん。…別に呼び方なんてどうでもいいでしょ。
 で、なに? …失敗? なんのことだっけ。…ああ、あの男の子かあ。名前忘れちゃったな。興味ないし別にいいよ。
 もう追いかけなくてもいいからさ、もっかいグレンピアに行ってくれる? …そうそう。もともとの目的はそのチカラを手に入れることだったからね。やっぱりあった方が僕としては楽だな。
 じゃあ、よろしくね。頑張って急いでよね。早く僕のモノにしたいからさ。―――を」










「昨日のうちに村長から僕のフォンに連絡があったんだ」
 ロークに乗った二人とその神獣。港町を目指して、今は山を下っていた。
「お父さんとお母さんは生きてる。ちゃんと元気だよ」
 すぐに発見されて手当てを受けたため、二人とも命に別状はなかった。一緒に倒れていた男達も処置を受けたが、身元はまったくわかっていない。話によると、その男達はカイが出掛けている間に突然家に乱入し、シオンを攻撃したそうだ。
「お父さんとお母さんに早く会いたいけど……、僕はまだ帰らないよ」
 その表情に迷いはなかった。
「僕は本当のことをシオンに聞きに行くんだ」

 力強い眼差しで先を見つめるカイを見て、フィアは呟いた。



「あたしも…本当のことを、知りたいよ。………スウ」










     13 color. white -last melody-

13 color. white -last melody-

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2009.1.15  04:45:30    公開
2009.4.12  06:26:48    修正


■  コメント (5)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

うぎゃああああ!(冒頭叫びに仰天するじん
こんばんはヨゾラさん!返信遅くなってごめんなさい…orz(堕
ぶろぐんで言い訳しました…><))(もう、しねばいいんじゃないか?

うをわ!かっこいいと言っていただけるとは><**仁が感激っ小躍りっっ♪

なんだか伏線を張ってみた仁です(これはめずらし!
でも伏線とか物凄く苦手なのでいかされるかどうかは自分にも謎…!><))
たっ楽しみですかっ!わああヨゾラさんが楽しみにしててくれる!ばんざあいっ!!
師匠って…!仁は数ヵ月前からヨゾラさまに弟子入りしているんですが!?(即刻破門

スランプ期に無理矢理書いたやつを素晴らしいと言っていただけるとは…!もう土下座です…!orz嬉

では…仁はナイルを拉致りますね!(ちょ、しね
ではではっ!

P.S.…!
あの、もしお暇がありましたら掲示板とか来ていただけると仁が驚きます…!><**←
URL><))↓
http://6006.teacup.com/zinn/bbs

09.1.18  01:32  -    (1z0i3n1)

うおおお><))
こんばんはドルフィノさん!
うわあ返信かなり遅れてごめんなさい…!
言い訳はぶろぐんにしました…orz(蹴

ってあああ!!
でじもっ…てちょ!仁が化学反応起こしますよ!?(
感動…!><*
わああもったいない言葉が目に入るのは仁の幻ですか←
試行錯誤したかいがありました…!

ここにきてわるいやつらが現れるとか…!
なんだか路線ずれないか心配な仁です(えええ

仁は何か深みを求めようとすると切なくしてしまう習性があるのでしょうかw←

ふわあスウと叫んでくださってありがとうございます!
忘れられてるんじゃないかとかなり心配してました!><**

掲示板来てくださりありがとうございます!!
ではっっ♪

09.1.18  01:27  -    (1z0i3n1)

うぎゃああぁぁ更新キターーーー
あ、ごめんなさ!ヨゾラです!

 進化!進化ですね!ロークくんかっこいいです!
れんちゃんとぐッちゃん!
可愛いーコードネームですね!((違うだろ
 早く僕のものにしたいからって・・・誰のことなんだ??
楽しみにしてます!師匠おおおおおぉおぉ

いちおフィア様はさらって行きます。
やはり仁様は文章力が素晴らしいですね!
ヨゾラにその文章力を分けてください((ちょwおまww

では!またです!

09.1.15  18:51  -  不明(削除済)  (5656303)

ローク進化ぁぁーーーー!(デ○モン風
やっぱり進化の瞬間は感動します!

トトがついに活躍!やったぜトト!(
れんちゃんとぐっちゃんの正体も気になる…!

なんだかカイも切ない感じに…グスッ。

そしてスウーーーー!(うるさい

はっ!
掲示板見て来ました!
利用制限に引っ掛からなくて良かった…。
わざわざありがとうございます!ちょっ、仁さんだいs(危険発言なので伏せさせてください

では!

09.1.15  16:23  -  不明(削除済)  (Mariner)

若干流血表現が(
仁があらわれたorz
あああ!カイ×ロークvsれんちゃん×ぐっちゃんの戦いに五日間も悪戦苦闘してました・・・><))
だって・・・!フィアの存在が消えるんですもの!!(それは言わないお約束☆

でもモチつきは書いてて楽しかったじんです♪
なんだか正月要素遅いは禁句なので!←

ちなみに“フォン”はまあ・・・カンタンけーたいみたいなもんです
勝手に作りました←
だってポケギアとかいきなりゲーム要素が入ってきたら変だなあって・・・><))

ではー♪

09.1.15  04:56  -    (1z0i3n1)

 
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