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dummy

その色が奏でるストーリー.

著編者 : 

12 color. white -first melody-

著 : 

イラスト : 

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 貴方の言ったことを
 信じて
 疑わないから

 そう願うから


 あたしの
 願いだから



 ずっと信じてるよ
 いつまでも

 すきだから








 フィアは何度やっても野宿には慣れなかった。火はおこせないし、釣りも苦手だし、木登りもできない。それに、どう寝ればいいのかわからず座ったまま寝てしまうため、朝になるといつもお尻が痛い。
 ただ、今回に限っては食べ物には困らなさそうだ。山を越えると言ったら、スカイブルーが食料を食べきれないほどたくさんくれた。町には二三日で着くと言っていたけど、軽く一週間は持ちそうだ。
 心配性なのかな。あたし、方向音痴ではないと思うけど…。
「トト、お腹すかない?」
「キッ」
 ちょうどお昼時だった。昨日までずっと重い雲に隠されていた空は、今や爽やかに晴れ渡っている。ゆっくりと流れる真っ白な雲が、飾りのように散りばめられている。雨と太陽に栄養をたっぷりもらった木の葉が奏でる音は、山が唄っているかのようで気持ちがいい。
 地面や木の幹はまだ湿っている。フィアはどこか休めそうな所はないかと探した。しばらくして、重なりあう木々が一部だけ吹き抜け、地面が乾いている場所を見つけた。
「あそこで食べよっか!」
 フィアは横たわった木を見つけ、それに腰掛ける。すると、中は空洞だったらしく数匹のパチリスが慌てて飛び出してきた。
「あっごめんね! パチリスのおうちだったんだ!」
 威嚇して電気をパチパチと鳴らすパチリスの前に、フィアはヒメリの実をいくつか置いた。
「すぐ行くから、ちょっとだけ居させてね」
 フィアがにこっ と笑う。敵意はないとわかったパチリスは、少し考えると頷いた。しかし、フィアの後ろにいるトトを訝しげに見つめる。
「悪いことなんてしないから大丈夫だよ?」
「キッ」
 聖獣が魔獣を警戒するのは無理もないことだった。理性に富んだ彼らにとっては、同じ神獣であっても魔獣は生活を脅かす存在に過ぎない。…人間とよく似ている。
 どうやらフィアを信じてくれたようで、パチリス達は木に登って遊びにいってしまった。
「空がきれいだね」
「キッ」
「風が気持ちいいね」
「キーッ」
「…眠くなってきちゃうなあ」
「キキッ」
 顔を上げて空を仰ぐと、思わず 平和だなあ と零した。自分でも驚いた。平和…か…。
 しばらく流れる雲を見つめ、パンの最後の一口を口に入れる。
 もう少し休んでいようと思い、フィアは木の幹に両手をついて体重をのせる。
 足を浮かせて遊んでいると、鳥や風の音の他に何やら騒がしい音が聞こえてきた。
「……? なんだろう…」
 座ったまま辺りを見回してみる。と、あるところに視線が止まった。
 カメールを抱いた男の子がこっちに走ってくる。何か酷く慌てた様子だ。
「助けてっ―――――!」
 男の子はフィアの所まで来ると、急いでフィアの座っている木の中に身を隠す。フィアが驚き困惑していると、男の子の走ってきた方向からふたつの人影がこちらに向かってきた。
「ガキが一人走って来なかったか?」
 フィアの手前で二人の男が立ち止まった。
「こら、聞き方が失礼ですよ」
 図体の大きい男を傍らの青年が少し睨む。青年はフィアに向き直るとにこりと笑った。
「僕の弟なんですよ。ベルトの巻き付いている変わった帽子をかぶっている男の子なんですけど、見ませんでした?」
 トトが二人を威嚇している。フィアはきっぱりと言った。
「いえ、見てません。ごめんなさい」
「ああ、そうですか。ならいいんです」
 フィアは、青年の爪が僅かに青白い光を放ったのを見た。わざと見せるようにやったようだったが、フィアは見なかったふりをした。
「では行きますよ」
 男達は森をまた探しに行った。

「………っふああ〜〜〜っ!」
「………っほわあ〜〜〜っ!」
 フィアと男の子の気が同時に抜けた。
「恐かった…」
 フィアはこしこしと潤んだ目を擦る。木の中から男の子とカメールが這い出してきた。見ると、確かに男の子はヘルメットにベルトを巻きつけたようなヘンな帽子を被っていた。
「よかったあ〜…」
 ほっと胸をなで下ろすと、男の子はフィアに笑顔を向けた。
「僕はカイ。こっちはカメールのロークっていうんだ。助けてくれてありがとうっ」
 そう言った途端、カイの腹の虫が ぐるると唸った。
「…あはは…」
 フィアはにこりと笑うと、袋の中からパンを取り出してカイとロークに渡した。


「あたし、フィア。この子はサンドパンのトト。カイくんはここに住んでるの?」
「ううん。家はこの山の隣にあるシャルイっていう村にあるんだ」
 パンをかじりつつカイが言う。
「ほんとはこんな山で食べ物なんかに困ったりはしないんだけど…あいつらのせいで食べ物を探す暇もなかったんだ」
「さっきの人達のこと? 弟って本当…?」
「うそだよ! 僕はひとりっこだもん! 兄弟がいるとしたらロークだけだよっ」
フィアは青年の爪の光を思い出した。
「…あの人、電気を帯びてた…」
「半獣なんだ。なんで僕を追ってるのかはさっぱりだけど…。僕、昨日旅に出たばっかなんだよ?」
「えっ旅っ?」
 フィアは驚いてカイを見た。どう見てもカイはフィアよりも年下だ。
「うん。あっ、あのさ、シオンって奴知らない?」
「シオン…」
 それは、前にレイのところで聞いた名前だった。










 今日は珍しく早起きできたと思ったら、お母さんに朝から手伝いを頼まれた。
「カイ、ちょっとロークと一緒に川に魚をとってきてくれない?」
 肌寒い朝であまり気が乗らなかったが、カイは頷いて川へと向かった。

 ロークが捕まえた魚をカイがキャッチする、というかたちで遊び半分に魚をとっていると、向こう岸に誰かがいることに気づいた。
 よく見るとそれは少年で、髪を洗っていたのかその真っ白で長い髪は濡れていた。肌は褐色だ。傍らには大きなケープが無造作に置かれている。
「あのーっ、旅の人とかですかぁーっ?」
 好奇心でカイはその少年に喋り掛けた。少年は顔を上げてカイを見ると あちゃ、見られた とこぼした。
「ギイイッ!」
 魚を投げてもカイが取ってくれないので、ロークが抗議の声を上げた。
「ほわっごめんごめんっ!」
 またロークに視線を移し、魚を捕まえる体勢に入る。すると、川の向こうに何か違和感を感じた。
「…ローク! 戻ってきて! テッポウオの大群が来るよ!」
 ロークが岸まで戻る時間は十分にあった。しかしその時、進化を目前としてはねるテッポウオの水鉄砲がロークに直撃した。凄い勢いで迫って来るテッポウオの群れに、ロークが呑み込まれる。
「ローク!!」
 カイは必死に叫ぶが、ロークの姿が見えない。どうすることもできない―――。

「よっと」
 少年が浮いた。


 紫苑の光の尾を引く。
 少年はテッポウオの中からロークを助け出すと、カイの隣にふわりと降り立った。
「ロークっ…! よかったぁ…」
 カイはロークを抱きしめると、急いでリュックの中の大量の薬草からひとつを取り出し、ロークに食べさせた。
「ありがとう!!」
「どーいたしまして」
 少年はにこりと笑うと、赤いリボンで白い髪を結んだ。その髪は染めたものだとすぐに分かった。自分でやったのか、ところどころ染めむらがある。
「僕はカイ! 旅人さんの名前はっ?」
「ああ…オレは、シオン」
 少年は名前を名乗った時、明るかったその顔が僅かに歪んだ。カイは気づかなかった。










     12 color. white -first melody-

12 color. white -first melody-

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2009.1.10  16:05:08    公開
2009.7.10  23:15:28    修正


■  コメント (5)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

ふあおはようございます西条流月さん!
ちょっと今回は短くてあまり話が進んでない気が・・(
次回の展開はびっくりだとか((すみませんてきとうにいいました

そろそろフィアの性格がわかってきた仁です!(うわあいまさら
鈍感がツボですか!じゃあもっとドンカンシーン増やそうw
でも増やすたびにスカイブルーが報われなくなってゆくという(
そんなときはこうやって声をかけてあげよう

Σd(・∀・舞丼!!いいことあるさ!!(だまればいい(どんまいをまいどんというあたりうぜえ

さてさて!もう気になるといっていただけて仁がそろそろ舞い上がる時間だと思います←
おおーっとじんが空高く舞い上がったああーーー!!(時間差(効果音つき(しるか

ぴーえすううう←
見ました!ポケメありがとうございます!!もう文句のつけようがありませんでした!><**
返信もしておきました♪

ではではっ本当にありがとうございましたっ!!><**

09.1.11  04:48  -    (1z0i3n1)

鈍感なフィアがツボでしたね
スカイブルー……ドンマイとしか言いようがない
このあとカイとロークがどうなるのか気になります


PS.とりあえず、ポケメ送ったので分かりづらい所があれば、聞いて下さい

それでは

09.1.10  23:55  -  不明(削除済)  (rutuki)

こんばんはドルフィノさん!
ふおおサブタイトルにカイの色入れようかと思ったんですが見たら色がなかった・・・orz
土下座なかんじで白にしたのですが嬉しさ倍増ですか!!?
ちょそんな喜んでもらえるとあじんがレベルアップして“へんしん”を覚えました←

あ!カメックスをカメールに変えたわけではありませんから!!
次回進化しますから!!(うわあねたばれ

Σちょ!実はって・・・!ちょ!気になるんですが!なんのことですか!?わわわ!!あれ!?

場違いとかないですよ!
というか仁がドルフィノさんの挿絵を描くとかそっちのほうが場違いですから!!
あ、挿絵描きあがりました!違うところがあったら言ってくださいっ><**

ぶろぐんのほうは・・・あれ?
私がけーたいでやったら認証コードとかありませんでした・・・あれ??
うわあああれえわかりませんっごめんなさい!!><)))

09.1.10  19:33  -    (1z0i3n1)

カイキターーーーーー!(テンション下げろ

ちょっ…超かわゆすなんですけどっ…!ばっちりイメージ通りですよ!さすが仁さん!
まさかロークがカメールの状態で出てくるとは…!旅先で進化するのかしら…。
サブタイトルからカイが来るとは思わなかったので嬉しさ倍増ですよ!ありがとうございます!興奮して体変形しそう(無理
そしてシオンは…。

このカイなんですが実は…ふふふふ…(何

ブログにコメしようとしてもう一度トライしましたが認証コード表示されず!やはり携帯からだと駄目なのか…?そのうちPCから書き込むかもです!

大人気小説のところに出てくる自分の小説、もの凄く場違い過ぎる…。
あ、更新しましたよ!(前日に
コメ待ってまs(強制終了


というわけでありがとうございました!

09.1.10  16:41  -  不明(削除済)  (Mariner)

ふぉっ・・・めずらしく短めっ!
最近更新が遅いですじんですごめんなさい><))

ドルフィノさんのカイ×ローク登場です!!
うわあかわいい!!かわゆすきゃらありがとうございます!!
あああ雰囲気間違ってたらごめんなさいっ!><)))

カイはシオンに会ってたよ設定w
なんだか追われてるしこれが伏線とかいうものですか?(きくな

09.1.10  16:16  -    (1z0i3n1)

 
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