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哀れ人

著編者 : 窮爽

14人目 森は騒ぎ、静まる

著 : 窮爽

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〜ヒバ〜

「はぁ…」

あーぁ…言っちまった…
あの後、ギラに話してしまった。…奴のオーラというか…威圧に負けた。
もうちょっと強ければなぁ…
俺は後悔する。すると―

プルルル

「…ん?電話…?」

一応持っていた携帯が鳴る。俺は携帯を取り出し、電話に出る。
…これで合ってたよな?
そんな心配をしながらも携帯を耳に当てた。

『よ!』
「あ、セルアか!悪いな…実は…」
『知ってる知ってる!俺、特性の地味な嫌がらせの一つ「しゃべらせない」を発動してやったぜ!』

それはセルアからだった。俺が謝ろうとすると、それとは裏腹にセルアは相変わらずの明るい声で言った。
特性ってポケモンかよッ。
俺は苦笑しながらも話す。

「大丈夫だったか?」
『おう!あ、あと悪ぃ!俺、暫く帰れそうにないわ!んじゃ!』
「は?ちょ…」

セルアの言葉に俺は引きとめようとしたが電源が切れてしまった。
…はぁ……

「…まぁ…いいか」

また…その内、ヒョッコリ顔出すだろ!
俺はフッと笑った。


〜セルア〜

「…これでよしっと」

ヒバに連絡して、俺は一息つく。今、俺は森の中でギャロップに凭れ掛かってヒバに携帯で連絡をしていた。
何故、『帰れないかもー』…って言ったのかはあえて言わない事にしておく。…いつか分かるさ☆
…さあて…

「フラン探し再開!」

俺はそう言って伸びをする。『またよろしくな』とギャロップに声を掛け、背中に跨る。
そして、ギャロップを走らせてフラン探しを再開した。

         ○●○

「…居ねぇなぁ…」

あれから1時間ほど経った頃。俺はそんな事を呟く。
この森…広いからなぁ…というか、この森に居なかったらこれこそ骨折り損のくたびれ儲けじゃねぇか…
俺はそう感じてため息をつく。

ガサッ

「ん?」

突然茂みの方で何かが動く音がした。
俺はギャロップから降りて、その茂みのほうを見る。すると茂みの中からオタチやマリル、小さなポケモン達が逃げる様にして出てきて走って行った。
…何かあったのか?
俺は気になり、慎重に行くことにした。俺はギャロップをボールに戻し、ポケモン達が出てきた方向へと歩いて行く。すると、誰かが前方から勢いよく俺にぶつかってきた。

「うぉ!?」
「うわっ!?」

俺が声を出して驚くと相手も声を出して驚いた。
…ん?……

「あ!」
「…あ」

ぶつかって来たのはフランだった。俺もフランもまたもや驚く。何ともラッキーな事だ。
フランは『そうだ!』と言ってこんな事を言う。

「早く逃げないと!」
「え?何で?」

俺が首をかしげていると、フランはグイッと俺の手を引いて走る。
俺は戸惑っていて、ただ引っ張られるだけだった。すると、後ろから―

「ザングーッ!」
「うぉ!?ザングースか!?」

後ろからザングースが飛び出し、追いかけてきた。…あ!確か、ハブネークとザングースって仲悪いんだっけ…
俺は頭を巡らせて考える。
…とにかく逃げねぇと!
俺はボールからギャロップを繰り出す。

「フラン!乗るぞ!」
「う、うん!」

俺はフランを抱き上げてギャロップに乗せる。俺はフランの後ろに乗ってフランに覆いかぶさる様な体制になる。
ギャロップはそこから一気に走りだした。ザングースの声が遠ざかって行くのが分かる。
とにかく、森から出るか!
ギャロップはスピードを変えずにそのまま走って行く。
暫くして森から出る事が出来た。後ろを見ると、ザングースはもう追っては来ていなかった。
俺とフランは同時に『ふぅ…』と息をついた。
それっきり沈黙が続いた。

…フランに伝えねぇと…俺の気持ち。…もう一回明るい話がしてぇしな…

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2011.9.6  23:16:51    公開


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