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私のトレーナー

著編者 : 窮爽

19ターン目 街中の笑顔

著 : 窮爽

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「なー、朝からなーに苛々してんだー?」
「黙れ!川イルカが!」
「……大丈夫なのかな…」
「大丈夫でしょ」

朝の道からそんな2つの声が飛び交う。
私達はコトブキシティを目指していた。道中、ルイは紅茶味のクッキーを頬張りながら、想現真は苛々しながら、私と瀘慧は会話しながら歩いていた。
ルイが『あ』と何かを思い出したようで、想現真に尋ねた。

「なー、お前と瀘慧ってどんな関係なんだ?」
「お前が知ったって何もなんねぇだろ」
「なー、瀘慧ー」
「…えっと…」

想現真はさんざら答える気はないようで、瀘慧に尋ねる。瀘慧はどう答えればいいのか分からずに黙りこんでしまう。すると、ルイの目線が私に向けられた。

「なー、何で?」
「お前、ポケモンに聞くなよ!」

未だにいらいらした様子で突っ込む想現真をも無視し、私をニコニコしながら見ている。
その笑顔に『早く答えろ』という意味が込められているのだろうか…何だか黒い。
私は苦笑しながらカクカクしかじかと答えた。それを聞いてルイは想現真を横眼で見ながら言った。

「どーりで子供らしくねぇ訳だ。へー…大人の時って想像つかねぇんだけど」
「余計な世話だ!」
「……確かに…つかない…」

瀘慧も顎に手を当てて考え込む仕草をして呟いた。『え…』と想現真は呆然とした声を出し、瀘慧を見た。…確かに・・・ルイに同調するとは思わなかった……慣れて来たって事かしら?
そんなこんな話しているといつの間にかコトブキシティが目の前にあった。
まぁ、いつものようにポケセンに向かった。すると、道のど真ん中に人だかりがあった。
ルイは後頭部に両手をあてながら呟いた。

「んあ?なんだだ?なーんか、面倒な感じだなー」
「まぁ…確かにな」
「……うん…」

ルイの呟きに想現真と瀘慧は頷いた。まぁ…厄介事って感じよね。
でも、それでも気になるのが生きものだと思う。私達は人混みをかき分けて見えやすい場所に立った。真ん中には不良っぽい人とその人と向き合っている紺色の浴衣を着た黒髪の男性が居た。
不良の男が脅す様に言った。

「おい、兄ちゃんよぉ。俺様にぶつかってタダですむと思うなよ?」
「ハー?ぶつかって来たのは君じゃないのかな?というか、君だよね?」

着物を着た男性は両手を片方の袖の中に入れて腕を組みながら笑顔で言った。
それに我慢が出来なくなったのか男は怒鳴りながらハブネークを繰り出した。

「テメぇなめんじゃねぇぞ!!殺す!!」
「ハー、これだから君みたいな短気サンは嫌いなんだよね」

男性は苦笑しながら持っていた大きめの巾着袋からモンスターボールを取り出し、リングマを繰り出した。

「ハブネーク、ポイズンテール!」
「リングマ、尻尾掴んで投げちゃえ」

ハブネークはポイズンテールで勢いよくリングマに振り下ろすが、リングマは尻尾を右手で掴み、男に投げつけた。ハブネークは男にぶつかり、男は後ろ向きに倒れてしまった。すると、男性は如何にも上から目線の笑顔で言った。

「ボクは喧嘩が嫌いなんだよね。だからコレぐらいにしてあげるよ……ま、君がまだやるつもりなんなら相手になってあげるよ?」
「ひッ…!」

最後の一言のだけ黒笑みで強調して言った。男はそれに怯えたのか、ハブネークをボールに戻して逃げて行った。『おぉー!』と人々が歓声を上げる。
私達はただ静かにその光景を眺めていた。

「おー、恐ろしいこった♪」
「お前全然怖がってねぇだろ」
「……」

ルイは爽やかな笑顔で言った。それに想現真は横目でルイを見て呆れながら言った。瀘慧は静かに男性を見ていた。…私的にはあの人、ルイ並に怖いと思う。

「まー、とっととポケセンに行って部屋取ろうぜ」

ルイはそう言いながらポケセンの方へと歩いて行った。私達は頷いてポケセンに向かった。

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2011.8.25  19:39:14    公開


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