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残り24時間。

著編者 : ダンゴムシ

贅沢なひととき 前編

著 : ダンゴムシ

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今日も今日とて、俺の主であるアツシと、朝早くからお茶漬けをかきこみながら天気予報を確認してる時だった。いきなり画面が変わって、緊急ニュースを始めた。キャスターの言葉が俺にはうまく聞き取れなかったから、最初はどんなニュースなんかわかんなかったけど、
「おい、嘘だろ、、、」
って言ってからご飯をすするアツシの手が止まっているのと、なんかでっかい隕石みたいなのが青い星に近づいている映像が流れて、やっとただ事ではないことを理解した。

「ルシア!おい、大変なことなってるぞ!あと俺らには24時間しか残されてないってよ!」
ほう、とりあえず時間がねえんだな。しかも24時間しか。あんま実感がないけど、なんとなくやばいんじゃねえのか。

「あのさ、ルシアさ、なんかさ、やりたいことあるかい?」
やりたいことだとぅ?そんなものいくらでもあるわい。そう思って一声泣いた。
「そうだよな。そりゃあるよな。じゃあさ今日はお互い別行動しないか?そのほうがたくさん思い出残せるだろう?」
なるほど、、、じゃねえよ!俺はどんな時もアツシのそばにいた。たとえ今日が最後の日になるんだったら、俺はアツシについていく。だから俺はアツシにガルルルと威嚇した。

「えっ?、、、俺についていきたいのかい?」
首を大きく縦に振った。
「そうか。お前は最後まで俺についていきたがるなぁ。そうだな。じゃこうしよう。日中の半分は、俺が行きたいところでやりたいことをする。もう半分はお前が行きたいところに俺を連れてってくれ。うん、それがいい。」
え、、、?いやいやいや、俺はおまえについていくんd
「いや。お前にはいつもこんな貧乏暮らしでさ、いろいろしたいこともさせてやれなかったしなぁ。今日くらい好きにやってもいいんだぞ。」

就職活動2年目のアツシ。いつも朝早くから夜遅くまでバイトをして、ようやく家賃がギリギリ払えるくらいの収入で生活してるから、確かにその負担は俺にもかかっていた。水は公園から搾取し、米はもちろん玄米。月末が近づくと、昼飯がなくなることもあった。そんな節約王が、なんでもしていいと言った。大事件じゃないか。
そんなアツシの大決断を流しきれず、俺はアツシに飛びついた。
「お、そんなにうれしいのか。よかったよ。じゃ俺が先ね。一時まで俺で、そっから日が沈むまでお前な。」
わかった。と返そうと思った時には、アツシは靴を取り出して外へ駆け出そうとしていた。

アツシが最初に行ったところはバイト先のタマムシデパートだった、ここで日中雑用をやらされているのだが、いつも「労働と手当が割に合わないわこのボケがあああぁあ!!!!」とアツシは言っている。何でも、サイテイコヨウチンギンとやらに届いていないらしい。だから、アツシは心底このデパートを恨んでいた。アツシは今日もシフトが入っており、最後の日にもバイトを守りに来たのか、と思っていた。
いつもの従業員室に入ると、店長だけが居た。どうやら、最終日でさえも、営業しようとしているらしい。

「アツシ君、よく来てくれた!君以外誰も来ないから、店を開けないかと思ったよ。さ、今日は一階のエントランスについてほs」
「ざけんなあぁぁあ!!!!」
次の瞬間アツシは店長に殴りかかっていた。
「てめぇのケチ過ぎるその腐った心のせいで、こちとら苦労したんだよ!労働基準法もくそもねえって?くそもあるんだよこのボケナスがああああ!!!!」
約1年半の恨みを拳に集約させて、カイリキーもびっくりするほどのインファイトを店長に食らわせていた。俺は、その一部始終をちょっと離れたところで見ていたが、アツシの手が止まり、ぼこぼこにされた店長の顔があまりにも面白くて、笑い転げてしまった。
「あ〜、すっきりした。やっぱ人生一回は、やな上司をフルボッコにするべきだなぁ。」
と、アツシが言った。俺はこういう人にピッタリの言葉を知ってる。
おぬしも悪よのぉ〜。

タマムシデパートを後にした俺らは、そのままヤマブキシティに向かった。ヤマブキはカントー1の都会だといわれている。その分売ってるモノの値段が他より高く、金持ちの人が多いイメージに合ったから、俺らはタマムシのぼろアパートから高嶺の花のようにこの街を眺めていた。でも今、俺らはその街にいる。俺もアツシも浮足立っていた。
時間は午前9時を回ったころだった。

「さーて、何しよっかな。」
とりあえず俺らは、この街を探索してみた。しばらくすると、華やかな商店街みたいなところに出た。閉まっている店もたくさんあったが、何店舗かは営業しており、1時間ほど食べ歩きを楽しんだ。
商店街の出口付近に一つの書店があった。店主は居ないようだったが扉に一言、
「今日は自由に立ち読みしてもらっても、持ち帰ってもらっても構いません。 店主」
との張り紙があったので、アツシは中に入っていった。そこには誰もいなかったが、構わずある本棚から一冊のマンガを手に取り、読み始めた。俺は文字なんて読めないから、何をしていいかわからず店内をうろうろしたのち、不意に眠気が襲ってきたので、いい感じのテーブルの上で丸くなって早めの昼寝を始めた。

z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z・z

「ルシア、起きろよ。次行くぞ。」
いつの間にかマンガを読み終えていたアツシが俺の横で言った。
あら、少し寝すぎたかも。店内にある時計は11時40分を差していた。
「まぁ、とりあえず死ぬ前にネオピースの結末を知れてよかったぁ。特に最後の一戦が、、、」
何の話をしてるのか全く分からないけど、ま、アツシが楽しそうで何よりだ。

商店街を抜け、アツシはレストランを探した。でも、ほとんどの店は閉まっており、やっと営業してる店を見つけた時には、12時を回っていた。そこはほんとに閑散とした店で、店主もなかなかの年よりの爺さんだった。俺らしか客はいないってのに、注文を聞いてから出てくるまで20分くらいかかった。
でも、出てきたラーメンは非常においしかった。俺は初めてカップラーメン以外のラーメンを食べた。それはそれは、感動する味だった。アツシもほんとに久しぶりのラーメンだったのだろう。涙を流しながら食っていた。でも、それを気味の悪い爺さんに見られたのは、ちょっと恥ずかしかったりもした。

さて、ここから俺のターンだ。

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2020.4.28  23:02:16    公開
2020.5.19  18:54:39    修正


■  コメント (4)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

KOHAKUさん
コメントありがとうございます!
やっぱり、上司にインファイトは最k(殴
存在しないものだとしても、ほどほどにリアルな世界観を出したかったので、細かい描写も気にして書いていたので、気づけてもらい光栄です。
ネ、ネオピースの続きは、オタ先生に直接言っていただければ、、、(笑)
次回からも頑張ります!

20.4.29  21:42  -  ダンゴムシ  (tailback)

世界が終わるなか、アツシに着いて行くというルシアとアツシの友情の深さに感動しました。
バイトの話や最低雇用賃金とかリアルで良いですね!
アツシのインファイトはすっきりです!
ネオピースの結末、気になります!笑

20.4.29  20:59  -  KOHAKU  (sian331x)

LOVE★FAILYさん
コメントありがとうございます!
完全にこれは僕の私怨ですね(笑)
僕もああいう上司に一発入れてみたいものです(笑)
後編もどうぞお楽しみに!

20.4.29  12:52  -  ダンゴムシ  (tailback)

隕石が迫り来る中、デパートでアルバイトしているアツシが色々な不満を抱え続けた腹いせにまさかの店長をインファイトで攻撃する行為、まさにカイリキーもビックリですね……
後編も楽しみにしています!

20.4.29  12:00  -  LOVE★FAIRY  (FAIRY)

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