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残り24時間。

著編者 : ダンゴムシ

ラストバトル ファイナル

著 : ダンゴムシ

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俺は本日2度目のバトルだったが、幸い、ナッシー戦をほぼ無傷かつ高速で終わらしたので、かなり体力は残っていた。これなら、2体目次第ではいけるかもしれない。
そして、もう一つ幸運だったのは、スターミーのハイドロポンプがクリーンヒットしたことだった。
明らかに、カイリキーは疲労していた。
スターミーは倒されたものの、この化け物の体力を根こそぎ持って行ってくれた。
まじサンキュー。あとは俺が何とかする。

カイリキーは、残りの体力が少ないので、もう戦闘態勢に入っていた。
できるならば、こいつからの被弾は0でいきたい。
ヒロトのサインは、大文字。火力最大でいけ、だった。
つまり、一発で仕留めろ、とのことだった。
任せろ。

俺は、カイリキーに向かって急接近した。
それを見たカイリキーも、メガトンパンチの準備に入っていた。
カイリキーの手前2メートルで、奴の殺気が最大になる。
そのタイミングで、左旋回。右のストレートをかわす。
そして急上昇。火炎放射で、疑似炎の渦を作り出し、カイリキーを逃がさない。
「いけ、カイリキー!最後にぶち当てろ!」
グリーンさんの指示を聞き、カイリキーは最後に特攻をかける。

が、それは読み通り。
待ってましたとばかりに、全集中で大文字を放つ。
カイリキーに直撃。そして、今度はそのまま地面に落ちていった。戦闘不能だった。
さぁ、グリーンさんの最後のポケモンが、やってくる。


「、、、ヒロト。お前はよく成長した。
ポケモンの個性を尊重し、俺のパーティをここまで追い詰めた。すげー奴だよ!

 ただ、俺はお前より圧倒的に勝っているものがある。
 それは、経験だ。」
そうグリーンさんは言って、最後のポケモンを繰り出した。

そのポケモンは、カメックスだった。

「お前は、どこかあいつに通ずるところがある。戦い方も、ポケモンの使い方も。
 だから、直感的にお前がリザードンを最後に持ってくるのは、戦う前から分かっていた!」

ヒロトは、うつむいてしまった。
半年では埋まらない、経験の差。しかも、大きな大きな溝のある差。
それが最後に来て、重く重く俺たちにのしかかっていた。

「そして、なんで俺がポケモンを交代させなかったのか。
 それは、お前に『完全勝利』するためさ!
 それぞれの弱点を補えば、終盤で逆転できることをお前に見せたかったからだ!」

そうか。
俺達は最初から、グリーンさんの手の上で踊らされていただけだったのか。

、、、面白ぇじゃねえか。
それが分かったんだったら、あとはその手をぶっ壊すだけだ。
ヒロトも、不敵な笑みを浮かべていた。
「、、、グリーンさん。まだ勝負は終わっていませんよ。」
「、、、あぁ、そうだな。かかってこい!吹き飛ばしてやるよ!」
さぁ、ファイナルラウンドが始まる。


相性不利の相手と戦う時の鉄則はただ一つ、焦らないこと。
持久戦に持ち込んで、気持ちで勝つ、、、のが普通だ。

だが、俺達にそれを教えてくれたのは、言わずもがなグリーンさんだ。
よって、持久戦を対策した攻め方で来る。
カメックスはカイリキーと同じく、微動だにせずこちらの様子をうかがっていた。
まるで固定砲台。これでは、どんな戦い方をしようが、俺の体力が尽きるほうが早いに決まっていた。
それでなくても、あのカメックスは遠距離狙撃に長けているだろう。
一回撃ち落されたら、ゲームセットだった。

なら、解は一つ。短期決戦で行くしかない。
それは、ヒロトも同じ考えだった。

ふぅ。俺、集中だ。
相手の厄介なところは、噴射口が2つあること。
そして、どちらに当たっても、致命傷になるということ。
、、、絶対にかわす。かわしきるんだ。
俺は吠えて、そして、カメックスに突撃していった。

カメックスは、待ってましたとばかりに、2つの砲台からハイドロポンプを放つ。
すんでのところで背面飛行に切り替え、かわす。
早めにかわしたつもりだったが、かなりギリギリだった。やはり危なぇ奴だ。
かわした勢いで、そのまま火炎放射で威嚇しつつ、尻尾で叩きつけた。
叩きつけた反動でもう一度飛び上がり、追撃の噴射をかわす。
一回攻撃するだけなのに、なんて大変なのだか。

ある程度距離を取ると、今度はグリーンさんがハイドロポンプの指示。
片方の砲台から、ジェット噴射が空中にいる俺を襲う。
ヒロトがサインを出す。やっぱりヒロトも分かっている。
俺は噴射を避けつつ急降下し、燕返しの準備に入る。
それを見たカメックスは、もう片方の砲台から溜めていたハイドロポンプを放った。

ですよね〜。

急降下しながらも、徐々にスピードを緩めていた俺は、すぐに小さく上昇。そして、今まで撃っていた方の噴射が来るから、左旋回してからの急加速。
カメックスの背後。
燕返しを炸裂させた。

また逃げようとしたが、今度は捕まった。
左手で掴まれ、そのまま空中で高速スピンをお見舞いさせられた。
とにもかくにも、ハイドロポンプが何とかなる位置まで逃げないと話にならないので、僅かなスピンの切れ目を狙って、大文字を放つ。
一瞬怯んだ隙に、何とか逃げ出す。
振り返ると、次の司令を待っているカメックスがいた。
あの野郎、まだまだピンピンしていやがる。やばすぎだろ。

こんな感じで攻撃していったら、いつかやられる。なにか無いのか。
救いを求めて、ヒロトの方を見ると、ヒロトの目は虚空を見つめていた。
頭をフル回転させているんだ。いつも、逆境の時はこんな感じになるのだった。
そして、いつも突破口を見つけ出してくる。
ヒロトが捻りだした指示に、俺達は一所懸命応える。
その絶大なる信頼関係が、俺達をここまで連れて来たのだ。
ならば、耐えるしかない。ヒロトが、起死回生の一手を見つけるまで。

「カメックス、終わらせに行くぞ!波乗りだ!」
グリーンさんが指示すると、カメックスは両手を上げ、波を呼び出していった。
その波は、どんどん大きさを増していき、みるみるうちに大津波と化していた。
幸い、天井までは届かない。俺は行けるギリギリまで飛んで行って、大洪水を起こしているフィールドを見ていた。
その時、水の中から、突如ジェット噴射。
すかさず避けたが、噴射が一本しかないと気づいた時には、目の前に激水流が来ていた。

物凄い勢いだった。本当に片方だけの威力とは到底思えなかった。
当たって1秒後には、俺は天井に張り付けられていた。
落ち着け、絶対にカメックスはここで仕留めに来る。
我ながら、冷静な判断。
左に避けるフェイントをしてから、右に避けた。

噴射が終わったと思うと、俺のすぐ左で空気にメガトンパンチを繰り出しているカメックスがいた。
もし当たっていたら、下の津波に落とされて終わりだった。
落ち着いて、燕返しを確実に当てた。
津波がフィールドの溝に凄い勢いで流れていって、地面が見えてきたところにカメックスは落ちていった。

「リザードン!」
ヒロトの声だった。ヒロトはサインを出した。
、、、なるほど、分かった。ヒロトを信じるぜ!
すぐに俺は準備に入る。
俺達は、最後の大賭けに出た。

カメックスは起き上がると、上空でリザードンが何か準備しているのが見えた。
グリーンの指示を聞くまでもなく、ハイドロポンプの準備に入る。
最大火力を溜め、そして、放つ。
2本の水流が俺に向かって、一直線に伸びていく。
まだなんだ。まだ溜まっ

直撃。効果は抜群。
意識が遠のいていく。
俺は、真っ逆さまに地面へと落ちていった。


まだ、、、なんだ、、、。
ここまで、、、、、やっと辿り、、、、着いたのに、、、、、
もう少しで、、、、、あのグリーンさんに、、、、、勝てるのに、、、、、
こんなところで、、、、、終わって、、、、、

たまるかよ!


「撃ってくれぇぇえええぇえええ!!!!」

ヒロトの叫びが、聞こえた。
燃え上がらせろ、闘志を。
ここでへましてる場合じゃねえんだ!

体制を立て直して、標的確認。そしてカメックスに放った。
起死回生の、ソーラービーム。

カメックスに当たる、効果抜群の一発が。
が、カメックスの長年の勘が働いたのか、ギリギリで直撃は免れていた。
なんとか、体制を立て直していた。

そうだろうな。やっぱすげえ奴だ。
だが、ヒロトの方が、1枚上手だ。

次の一撃が本命。砂煙が待っている向こう、大きな影が見える。
今だ。
絶対に外さない。決める。
俺は、残っている気力をすべて込めて、最後の一撃を放った。

猛火の上昇も入った、最大火力の、大文字。

砂煙の向こうで、轟音が鳴った。
砂煙が引いた時、その向こうでは、カメックスが倒れていた。

「カメックス、戦闘不能!よって、勝者!挑戦者のヒロト!」
審判がそう言った。

ヒロトは、泣きながら俺の元へ走ってきていた。
俺も、フィールドの真ん中で泣いていた。


俺達のもとに、グリーンさんは歩いて寄って来た。
「いやぁ、お前ら凄ぇや。まさか、カメックスが破られるなんてな、、、。」
グリーンさんは、いつものように明るく振舞っていたが、やはり、少し悔しそうだった。
「俺の本気のパーティが負けたのは、ジムが始まって以来初めてだ。
 、、、あーあ、ほんとに俺を負かしに来る奴が現れるなんてなぁ。参ったぜ。」
「いや、僕はグリーンさんの教えを大事にしていただけです。
 グリーンさんが、俺をここまで育ててくれたんです。」
そうヒロトが言うと、ヒロトの頭をなで、グリーンさんはこう言った。
「いや、これはお前がこの半年間頑張った結果だ。俺の教えなんて、お前の爆発のきっかけに過ぎないさ。、、、胸を張れよ。」
そして、グリーンバッチをヒロトに渡した。

「けっ。これじゃあ、あいつに勝っても、世界一強いトレーナーだってことを証明できなくなっちゃったなあ。まったく、世の中は広いもんだ。」
吐き捨てるように、グリーンさんが言った。
この後、誰かとバトルする予定だったらしいが、もうする気は無さそうだった。
「ま、お前はそのバッチを街のみんなに自慢して来いよ!ほら、行った行った!」
そう言って、グリーンさんは俺達をジムから追い出した。


ヒロトの腰には、夢にまでも見た、グリーンバッチがつけられていた。

俺達は、これ以上ない達成感に包まれていた。

長い長い旅は、グッドエンドで締めくくられたのだった。

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2020.5.16  13:27:40    公開
2020.5.16  13:38:30    修正


■  コメント (4)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

LOVE★FAILYさん
コメントありがとうございます!
LOVE★FAILYさんの考察通り、最後のバトルは原作を意識した組み合わせにしました!
それについても、またどこかで話したいと思います。
リザードンに一番輝いてほしかったので、そうできてよかったです!(思いっきり私情)
次回も頑張ります!

20.5.16  23:16  -  ダンゴムシ  (tailback)

KOHAKUさん
コメントありがとうございます!
私自身リザードンが大好きなので、たくさん活躍させてあげられて良かったです。
グリーンが言っている「あいつ」とは、もちろんレッドのことですね!
つまり、またそれについても、後日話せたらなと思います。
次回も頑張ります!

20.5.16  23:11  -  ダンゴムシ  (tailback)

試合はいよいよ大詰めとなる中、最後は何と、リザードンとカメックスによる戦いとなりましたか。
相性面では挑戦者側が圧倒的不利な2匹の組み合わせは、まるで主人公とライバルによる戦いにほぼ似ておりますね……
カメックスに苦戦しつつあるも最後まで諦めないリザードン、実に強いですね……
隕石が迫り来る前に、憧れのグリーンにようやく勝利できれて達成感を得られたヒロトは、さぞかし嬉しかったかなと思います。
次回も楽しみにしています!

20.5.16  20:16  -  LOVE★FAIRY  (FAIRY)

かっこいい…(´;ω;`)
ヒロトもリザードンもグリーンもみんなかっこいい…!
で、でも…この後世界は…え、そんな…(´;ω;`)
嘘だああああ!!
こんなにみんなが頑張っているのにいいい!!!←うるさい
グリーンさんが度々言っているあいつってまさか…レッ…(`・ω・´)
ダンゴムシさんの描く既存キャラがもっと見たいですっ(*'▽'*)!←
次回も超期待して待ってます!!!

20.5.16  16:28  -  KOHAKU  (sian331x)

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