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残り24時間。

著編者 : ダンゴムシ

素敵なデコレーション 前編

著 : ダンゴムシ

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今日の朝は、主人にたたき起こされた。
そして、衝撃の事実を聞くや否や、俺の寝ぼけた頭は吹っ飛んだ。
明日で、世界が終わるだって!?
俺は慌ててリビングに急行した。そこにいた主人の奥さんのヒロコさんも、悲しそうな顔をしていた。
間違いない。今日が俺の生涯最後の日なんだ。

「フラッシュ、落ち着け。、、、とりあえず、俺とヒロコはキキョウの実家に行こうと思う。お前は、ついてきてもついてこなくてもいい。夜までには戻ると思うから、今日一日を俺たちと過ごすか、自分のしたいことを果たすか、それを決めるのはお前だ。」
と、主人が言った。
俺には、、、どうしても、気持ちを伝えないといけない奴がいた。
その名はアイス。シャワーズのアイスだ。

ヒロコさんは、一日に一回、俺を散歩に出してくれる。その散歩で、たまに会うシャワーズがいた。俺が、サンダースだったのもあって、俺たちはすぐに仲良くなった。
アイスは、本当にうつくしいシャワーズだった。変な色気があるわけでもなく、ただただ純粋で、笑うたびに見せる笑顔がとびきり可愛い子だった。
そして、俺は恋に落ちていた。
ただ、まだプロポーズはしていなかった。

だから、今日俺はプロポーズをしに行かねばならない。主人には申し訳ないが、俺はやらねばならないことがあるんだ。
「、、、オッケー。どうせ、アイスちゃんだろ。男なら、気張っていけよ!」
やっぱり、主人に俺の気持ちは筒抜けだった。

二人が車で出かけていくのを確認して、俺も準備を始めた。
俺は、主人のロマンチックなプロポーズに憧れを持っていた。
台所に写真がある。ヒロコさんと主人が二人で立っていて、ヒロコさんの手にはアネモネと呼ばれる赤い花が握られていた。
主人がプロポーズをする際に、ヒロコさんに渡したものだった。
花束ではない。一本だけ。
でも、なぜか俺は、そのプロポーズがとてもかっこいいと思っていた。
俺も、そういう風なロマンチックなプロポーズをしてみたい。そう思っていた。
俺は、家を飛び出した。赤いアネモネの花を探すために。

まず、この街のお花屋さんで探そうとした。が、花屋は開いてなかった。
ならば、コガネの花屋さんに行くしかない。幸い、ウバメの森を抜ければ、コガネシティはすぐだった。
俺は森の方に走っていった。

森はいつも通り静かだった。みんな、今日もいつもと変わらずのんびり過ごしている。誰かに伝えようかとも思ったが、結局ノンストップで森を駆け抜けていった。
森を抜けると、騒がしい声が育て屋さんから聞こえて来た。よく見ると人がかなり群がっている。たぶん、自分のポケモンを引き取りに来ているのだろう。広場ではミルタンクさんがせわしなく走り回っている。
大変そうだなぁ。と思ったが、こっちも時間が限られていたので、声はかけず横を通過していった。

そしてコガネシティに着いた。超急いだので、一時間もかからなかった。新記録更新だ。
そこから、コガネ中を走り回って花屋を見つけた。花屋は、今日もやっていた。
中に入って、俺はアネモネの花を探した。コガネの花屋さんはかなり大きく、いろんな花を取り揃えていた。だから、花のいい香りに癒されながら、じっくりと数多の花を一つ一つ見ていた。
だが、アネモネの花は無かった。店を二周したんだ。見落としてはいないはずだった。
店の中で、がっくりとうなだれてしまった。すると、店で飼われているキレイハナが俺に話しかけてくれた。
「どうかされましたか?」
「あぁ、この店にはアネモネは売っていないのかい?」
「アネモネですか、、、私もこの店で売られている花をすべて把握できているわけではありませんが、店の中をぐるぐると回っていたお客様がないとおっしゃるのなら、多分この店の中にはないと思います。」
「そうなのか、、、」
「アネモネの花じゃないといけない理由はあるのですか?他にもたくさん花はあるので、気に入ったものをお持ち帰ってもらえればいいのですが、、、。」
「いや、アネモネじゃないと、、、あの赤いアネモネじゃないとだめなんだ、、、」
「そうですか、、、なら、自然公園に行かれてはどうですか?あそこなら、ここよりもたくさんの花が咲いています。もしかしたら、あなたが求めている花もあるかもしれませんよ。」
「わかった。ありがとうな。」
そう言って、俺は花屋を出て、自然公園の方へと走り出した。

自然公園は、ジョウト1でかい公園だ。野生のポケモンもめちゃくちゃいるし、この公園を一周するだけで、いったいどれだけの時間がかかるのか、想像もできないししたくもない。
そんな公園の周りには、キレイハナの言う通りたくさんの種類の花が咲いていた。
色とりどりに咲く花たち。その中から、俺はアネモネの花を探した。
赤い花が集まっているところを探して、一輪一輪丁寧に見ていった。
、、、でも、アネモネの花は見つからなかった。
俺は、ずっと下を向きっぱなしで花を見極めていたので、次第に首が痛くなってきた。おなかが空いて、集中力も持たなくなってきたので、俺は花畑の中で横になって休憩することにした。
今日はいつもより起きるのが早かった。それに加えて、午前中だけで普段の一週間分の運動に匹敵するほど走り回った。
次第にまぶたが重くなってくる。、、、でも、俺にはそんなに時間が、、、あるわけでは、、、

zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz

「お〜い、こんなところでな〜に寝っ転がってんだよ!もう!」
はっと目を開けると、俺の目の前にはメガニウムが仁王立ちしていた。
「まったくよう、お前は一体何やってんだか。もうじき夕方だぞ。良い子はおうちに帰りましょの時間!いつまでも、こんなところで寝てちゃだめだろう?」
「す、すまん。ここの花畑が気持ちよくってさ、つい、、、」
「まぁ、いいんだけどね。で、もう用事がないんだったら家に帰ってほしいんだけど。」
「あ!あんたさ、赤いアネモネの花どこにあるか知らねえか?」
「赤のアネモネ?お前よ〜、今秋だってのに、春の花が咲いてるわけないでしょうが。」
「、、、え?」
「だから、アネモネは春に咲く花なの。今は秋だろ?だから、アネモネは咲いてないの!」
嘘だろ、、、アネモネは、今、咲いていないだと、、、

「、、、なんとかなんねえか?」
「え?」
「もしかしたら、どっかに咲いてたりしないのか?洞窟の奥地とか、湖のほとりとかさ。」
「だから、今は秋だって言っ」
「お願いだ!俺には、どうしても、どうしても今日中にアネモネの花が欲しいんだ!」
俺は心の底から、メガニウムに懇願した。
「、、、分かった。ついてきな。」
そう言って、メガニウムは森の中に向かって歩き出した。俺はその後ろを黙ってついて行った。

しばらくすると、森の中で開けているところに出た。そこには、まだつぼみすらできていない植物が一面に広がっていた。
「ここは、春に咲く花の球根が集まっているところ。この花たちが、春になって花を開いたら、自然公園の花畑に移動させて、桜とともに見る者を楽しませてくれる。」
そこはいわゆる、花の倉庫みたいなところだった。メガニウムは、駄々をこねる俺に現実を見せにここへ連れて来たのだ。

「、、、そうか。、、、なるほど。俺はほんとにバカだったわけか、、、。」
「うん。君は、川の中からホーホーを釣り上げてくれ、みたいなことを今さっきから言い続けてたんだぞ。そりゃ、バカだよ。」
「そうだな、、、。」
「でもね、」
と言うと、メガニウムはその球根だらけの中に入っていって、あるところで立ち止まると、おもむろに息をはいた。
すると、あいつがいたところの周りの花が、みるみるうちに芽を出し、つぼみをつけ、そして花を咲かせた。
「あたいは、そういうバカ、嫌いじゃないな。」
それは、俺が一日中探し続けた、真紅のアネモネだった。

俺がメガニウムの方を見ると、どんなもんだ、って言いたげな顔をしていた。

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2020.5.8  14:30:04    公開
2020.5.8  14:35:12    修正


■  コメント (4)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

KOHAKUさん
コメントありがとうございます!
お久しぶりです!ゆっくり読んでいってくださいね、、、と言おうとしたときにはもう全部読んでくださっている、、、。ありがとうございます!
今回はポケモン同士の甘い恋模様を描きました。
ニヤニヤしながら見て下さったのなら幸いです(笑)
次回も楽しみに読んでください!

20.5.13  12:46  -  ダンゴムシ  (tailback)

しばらくログイン出来なかった間にこんなにも更新が…!
さすがダンゴムシさん!(`・ω・´)
さっそく追って読んでいかないと…!
そして可愛い二匹の恋模様と、ピュアな赤色のアネモネを探しに行くなんてツボ過ぎて…!
終始ニヤニヤしながら見てました!笑
次回もとても楽しみにしています!

20.5.13  11:40  -  KOHAKU  (sian331x)

LOVE★FAILYさん
コメントありがとうございます!
フラッシュは若いサンダースです。(もちろんアイスもです)
自分の気持ちに素直だからこそできる選択なのかもしれませんね!
無事にプロポーズは成功するのでしょうか、、、
次回も頑張ります!

20.5.8  21:27  -  ダンゴムシ  (tailback)

シャワーズのアイスに恋に落ちたのか、隕石の影響で残り一日と時間が大きく限られている中、赤いアネモネを探し求めるサンダースのフラッシュ、随分頑張り屋さんですね……
あれこれ苦労する中、メガニウムのお陰でようやく目当ての花を見つけたフラッシュ、無事にアイスへのプロポーズが上手くいけるといいですね……
後編も楽しみにしています!

20.5.8  18:31  -  LOVE★FAIRY  (FAIRY)

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