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まだ、紡げない。

著編者 : 結月

【NO.1】 SIDE:ミラ

著 : 結月

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「なぁに、あんたまだ誰ともチーム組めてないわけぇ?」
明らかに見下した、嘲笑うような声が、部屋の隅のベッドの方に投げられた。
その声に、わたしーーミラは頭の大きな葉っぱの手入れを止めると、顔をあげる。
そして、クスクスと顔を見合わせて笑い合う数人の女子に目を向けると、努めて明るく言った。
「そうなの。あはは、笑っちゃうよね!」
暦は325年5月中旬。
わたしがこのアドベンチャースクール、略してアドスクに通い始めたのが4月の始めだから…もう実に40日以上も経っている。
月日が過ぎるのって、思った以上に早いんだよな。
「あんた、笑い事じゃないのよぉ。6月までに少なくともパートナーまでは見つけないとぉ、退学だって知ってるぅ?」
クスクスクス、女の子たちの押し殺したような笑い声が耳に残る。
まったく、うるさいなぁ。
そんなこと、言われなくても百も承知よ!
わたしは満面の笑みを1ミリたりとも動かさないまま悪態をついた。

普通の学校とは違って、ここアドスクは優秀な探検家を世に送り出すための大型育成学校だ。ちなみに全寮制。
だから、必然的に実習授業が多くなるんだけど、何せ1学年300人もいる生徒達をバラバラに散らして、命に関わるかもしれない危ない実習させるなんて、ちょっと無謀でしょ?
そこで、こういう校則ができたの。
『実習授業内の冒険は、3人以上6人以下で行うべし』

6月後半にある実習授業に備えて、わたしたちは6月までに3人以上のチームを組まなくちゃいけない。
少なくともパートナー、つまり2人で組むところまでいかな いと、なんと退学!…チームも組めないような協調性のない子は要らないってことでしょうね。
チームを組むことなんて簡単だって思う人もいるかもしれないけど、わたしは違う。

それができない、どうしてもできない理由があるの。

「おい!消灯時間だぞ!」
ドアの向こう側から、回ってきた係りの先生が声を張り上げている。
「やば!あんた早く灯り消して!」
するとみんなは脱兎のごとくベットに潜り込み、寝息を立て始めてしまった。
いつか、どこかで、何かが変わりますように。
フッ――
わたしは今日もそう祈り、ランプの灯りを吹き消した。

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2013.8.14  17:35:33    公開
2019.7.10  02:01:47    修正


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