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物語の先〜探し物〜

著編者 : 窮爽

第十四希望 迷える心

著 : 窮爽

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「はぁ…お前は良いよな。ユーレイだから濡れなくてよ」
「あらま。ウサちゃんビショビショですねぇ?」
「うるせー」

フキヨセシティのポケセンで紅兎はびしょ濡れになった体を部屋に入ってすぐ服の上からタオルでふく。
電気石の洞窟を抜けてすぐに大雨のシャワーを浴びてしまったのだ。

「こんな事で風邪ひきたくないぜ…明日はネジ山に行くんだからよ」
「そうですねぇ」

紅兎の言葉に僕は頷く。
そう、明日は等々ネジ山に向かうのだ。そのためにも今日はみっちりと準備をしなければならない。
紅兎が体をふいた後、傘をさしてフレンドリィショップで買い物を済まし、準備を整える。
準備を済ました後、紅兎は苦笑いしてこういって来た。

「…ちょっくら…ロストタワーに行っても良いか?…1人で」

僕は何も言わずに頷いた。紅兎は『悪ぃ』と言って、そのままロストタワーへと向かって行った。
…グラエナに会いに行くのだろう。

「…ったく、いい加減に成仏したいものですねぇ…」

僕は呟く。
未だに見つからない自分の欲しているモノ。いい加減ハッキリさせたいものだ。
そのまま苛々がこみ上げてくる。そのまま部屋で暫く苛々しながら居た。…その時。

リーン ゴーン…

そんな鐘の音が聞こえて来た。
何故だろうか…心が安らぐ…
恐らく、ロストタワーのてっぺんにある鐘だろう。
その鐘はポケモンの魂を静めると言われているらしい。しかも、その鳴らす人の心根が音に反映するらしい。

「…おかしいですねぇ…ポケモンではないのですが?」

僕は苦笑してそう呟いた。
僕がもしロストタワーの鐘について話すとしたらこう話すだろう。
”鐘の音はポケモンの魂だけでなく、人間の魂も沈めてくれる“
…しかし…

「誰が鳴らしたんでしょうねぇ…」

その鐘の音は優しくて…でも何処か強くて…
不思議な感覚だ。
…これが仮に紅兎だとしたら、僕は絶対認めないぞ。うん。絶対認めない。

「何が認めないって?」
「へっ?」

突然そんな声が聞こえ、思わず拍子抜けた声が出てしまった。
考えるのに夢中になっていて、時間が過ぎるのを忘れていたのだろう。
…それと、思わず思っていた事が声に出ていたという事実。

「ブッ…!テメー、すげぇ間抜けな声出てたじゃねぇか…!ハハハ!」
「…五月蝿いよ。言っとくけど紅兎よりはマシだから」

紅兎は腹を抱えて笑いだした。僕はイラッとして、言い返す。

「ハハ…!悪ぃ悪ぃ!マジでギャップというかさ…ってか、口調変わってなくね?」
「紅兎が悪いんでしょ」

僕はサラッと言い返す。紅兎は参ったと言わんばかりに髪の毛をクシャっとさせる。

「んで?仮に俺だったら認めないってのはどういう事かね?ルイ君?」
「さぁ?どういう事だろうね?」

紅兎はニッコリ笑いながら言って来た。どこかキレているようにも見える。僕はフッと笑って言う。
幸い、そこ以外の事は訊かれていないらしい。

「テメー、俺に何か都合に悪い事でも隠してんのか?」
「はぁ?何でそうなるんですかねぇ?な訳ないでしょう?」

紅兎は黒笑みで言ってくる。僕は少し喧嘩腰ぎみで言った。
…嫌な予感がする。

「じゃあ、何だよ?」
「何でもないですから?」
「嘘つけ!言えねぇことなのか?」
「言えない事というか…言いたくないって感じですねぇ?」

彼は思い込みが激しいのだろうか。少し表情を険しくして言って来た。
僕が答えると、紅兎はリュックを背負って部屋を出た。

「あー、そうかよ。じゃーな」

そう言って去って行った。…はい?僕何もやってませんけどねぇ?

「…ったく、もう知りませんよ?」

僕は紅兎の去って行ったほうを見てそう呟く。
雨はザンザンと降り続いていた―

          ○●○

〜紅兎編〜
「…あー…やっちまったー…」

俺はポケセンを出て、ネジ山向けて歩いていた途中…肩を下して呟いた。
思い込み激しくなっちまったよー…今思うとすげー恥ずかしいんだけど!?
何か、隠し事されてんのかなって思っちまって…
1人でやってやる!って思って歩いてんだけど…

「…どうしよー…謝りに行きたいところなんだけどなー…何か、今行くのもなー……」
「何だか険悪ムード中ってところかな?」
「!テメーは!」

そこにグライオンに乗って黒い傘をさして彪が現れた。俺は身構える。
ってか、コイツ見えんのか!?

「僕さ、この間見えてたんだよね♪今はー…喧嘩中みたいだね♪」
「うっせーな!丁度いいや!今、テメーと決着を付けてやる!」

俺はそう言って懐から銃を取り出し、彪に向けた。
バァン!
そして弾を放つ。銃声があたりに響き渡った。
しかし、グライオンは素早くそれを交わした。

「まーまー♪落ち着いて♪…スリープ!」
「!」

彪の声と共に俺の背後にスリープが現れた。
振り向いたときにはもう時遅し。スリープは催眠術を掛けて来た。
俺の意識はそのまま遠のいた―

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2011.7.18  23:43:40    公開
2011.7.19  16:04:50    修正


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