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檻の中の物語
檻の中06
著 : トーカ@浮上停止
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「クレア…クレアッ…!!」
気付けばボクは走り出していた。
ボクが行ってどうにかなる問題では無いのに。
それでも今行かなくちゃ。
ここで行かなければこれから先、もうクレアには会えない気がしたんだ。
「待ってエリシア!!落ち着いてっ!!」
追いかけてくるチェリーがボクを止めた。
「今行っても危ないだけ!状況が確認出来てないもの!何が起こってるかもわからない!!じっとしてなきゃ!」
「でもーー」
その時、遠くで大きな音が聞こえた。かと思うと爆風が一気に街を…アーカラ島全体を包みこんだ。
島のポケモン達はあちこちへと逃げ出そうとしている。何が起こったかわからず、パニック状態だ。
「うわっ、…どうやら、爆風が起こったのは向こうみたい…」
爆風が起こった方からボクとチェリーのいる方角へ皆逃げている。
大勢のポケモン達の波に呑まれる。
「エリシアちゃん、チェリーちゃん!」
その時、聞き覚えのある声がした。
「「リフレさん!」」
「二人共無事!?」
「は、はい。ボクらは…なんとか…。あの、一体何が起こって…」
「巨大なポケモンらしき生物が、襲撃してきたみたい。どうやら他の島でも同じような被害が出てて…アローラは大混乱よ。突然のことだから…。とにかく!!ここは危ないわ!!早く逃げーー」
「友達が!!」
「え?」
「友達が、あの、エーテルパラダイスにいるんです!!助けに行かなきゃ…!」
これにはリフレさんも驚いたがチェリーがまた静止した。
「だから、今は危ないって!!どんだけ大事でも自分が死んだら意味無いでしょ!?エリシアは昔っからそう!!自分のことより他人のことばかり優先して…!!頭冷やして!今行ってもアンタが死ぬだけよ!!」
「エリシアちゃん、今回はチェリーちゃんの言う通りよ。今は逃げて助かることを優先して!!」
「…っ」
ボクは死んだっていいんだ
チェリーや、クレア…大切な人さえ生きていれば、ボクはそれでいいのにー
そうしてボクとチェリーはリフレさんに連れられ、島の端の方に逃げた。
事故が起こった場所から遠く離れた場所だ。そこには同じように、逃げてきたポケモン達が大勢いた。
ただ彼のことが気がかりだった。
私と彼はもうおしまい?
ーそんなの、嫌だ。
だって絶対に外の世界を見せるって、約束したから。
でも、どうしようも出来ない無力な自分が腹立たしくて。
それからボクは、ずっと彼の身を案じていた。
それから。アローラ全土を襲撃した謎のポケモン達は姿を消したとの報告を受け、アウィスに頼みボクはいそいでエーテルパラダイスへ向かった。
彼が無事か確認したかったのだ。アーカラ島でさえ絶大な被害を受けている。山は崩れ、各地で火事が起き…。恐らく他もこうだろう。
「っ…!!」
エーテルパラダイスは酷い有様だった。半壊…どころではなく、外部から壊されているようだ。
中にいたポケモンが無事でどこかへ逃げたのか、それとも逃げ遅れたのか。それはわからない。
でも
生きてて
彼とボクの出会った地下牢へ向かった
そこに
"彼"の姿は無かった。
「クレ…ア…?」
「クレア…どこに、行ったの
いたら、返事してよ、ねぇ」
たくさんの瓦礫の山が見える。まさか彼はもうー
壊れ果てた施設の中で、ボクは一人佇んでいた。
その時、黒い大きな何かが、空の上を横切った。
「…」
それからボクは、クレアに会うことが出来なかった。彼は行方不明となっていた。
…それから、5年の月日が流れた
「ここがアローラ地方…!」
「わぁっ…!!」
ある二匹のポケモンがこの地に訪れた時
再び、悲劇が襲来することになる。
今のボクには、とても計り知れない出来事がーー。
2017.8.9 01:43:58 公開
■ コメント (1)
※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。
17.8.9 19:15 - LOVE★FAIRY (FAIRY) |
今度は黒い大きな何か、噂のUBらしき生物が現れる、という事は、今後、大変シリアスな展開になりそうですね……