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檻の中の物語

著編者 : トーカ@浮上停止

檻の中02

著 : トーカ@浮上停止

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「んっ…ここは?」

それからボクが目を覚ましたのは数時間後のこと。嵐はおさまっていたが、日はもうすっかり暮れていて月が雲で見え隠れしている。

「ここ…島…?この大きい建物…なんだろう」

どうやら大きい白い建物のある島に流されたようだ。
今夜はここに泊めてもらおう、ボクはそう思い建物の中へと入った。


「うわぁ、広い…」

外見同様、中も白を基調としているデザインだった。
カウンターらしきものがあるが、誰もいない。中央のアレは…エレベーター?

「あのー…すみませーん。誰かいませんかー?」

建物中に声を響かせたがもちろん返事は無い。自分の声がこだまするだけ。

「ま、当然かな…。夜だしね。とりあえず、どっか寝られる場所…。」

ボクは建物中央のエレベーターに乗ることにした。二階、地下一階…。どちらに行けばいいかわからないが、二階は大抵重要な階だったりする。ならば、主に倉庫などがある地下の方がいいのでは…?

ボクは自分勝手な偏見と判断で地下一階に降りた。

ガコン、っとエレベーターが地下一階に着いたことを知らせる。


そこは倉庫などではなく…



「…牢獄?」

無数の牢獄が廊下に並んでいた。ボクはそのまま牢獄の方へと進んで行った。
今のところは誰もいない。もし空いている牢獄があるのなら、そこで一晩過ごせば…など考えていた時だった。




「…おい」

「うわぁっ!?」

突然、誰かに話しかけられた。ボクは驚いて声がした方に向いた。そこは、隣の牢獄だった。

一人の、ポケモンがいる。


「…お前、こんなところで何してんだ」
「あ、いや、ええっと…」

少しわたわたと慌てふためいた。

「その、嵐で…波に巻き込まれちゃって…それでここに着いたというか…。うん、まぁそんな感じかな…。夜が明けないと帰れないからさ、寝られる場所でもあったらなって…」

「此処に来たのは偶然なのか…」
「あっ、うん、そう」

今ここには、幸い彼とボク以外には誰もいないようだ。彼はならいい、と言うと眠りにつこうとする。


「ねぇ…貴方はさ、何でそんなところにいるの?」

「…は?お前には関係ねぇだろ…。さっさとどっか行け…。」

そういうと彼はそっぽを向きかけた。

「ま、待ってよ!せめて、名前だけでも…」

「俺に名前はねぇな。強いて言うなら…タイプ:ヌル。これがヤツらに付けられた名だ」

「…?ふーん…。ボクはエリシア。宜しくね」

無愛想なヌルにえへへっと笑って見せた。

「でもそのタイプ:ヌルって種族名じゃない?」

「うるせーな…」


「なんで何も教えてくれないの?」
「初めて会ったばっかのヤツに何でもかんでも教えるわけねぇだろ…。」

「んー、そうかもしれないけど…。だってヌルさ、寂しそうに見えたから」

「…は?」

「見る限りはキミ一人だし…。でも、友達って大事なんだよ?ボクも何度救われたことか…。」


「…」

しばらく黙っていた彼が口を開いた。

「俺は、ここの建物…“エーテルパラダイス”で人工的に造られたポケモンだ。」

ここ、エーテルパラダイスっていうのか。
いや、そんなことより

「え…人工的にってどういう…」
「そのまんまの意味だ。俺は造られたポケモンだ。そして造られた時から…此処に入れられ監視されている」

「え…なに、この建物ってそんなお偉いさんが関わってるの…?」

「…さぁな。何らかの理由があって生み出された。そして此処に入れられた。ただそれだけだ。わかったか?」


ヌルは…人工的に造られたポケモン…?信じられなかった。
いや、そんな存在をボクが知らなかった。

「何で急に教えてくれたの?」
「お前が教えろ教えろうるせぇからだろ」

「じゃあタイプ:ヌルっていうのはコードネームみたいなもん?」

「まぁ、そうなるな。」



「ねぇ、名前は無いんでしょ?」
「?ああ、まぁな」


「じゃあボクが付けてあげるよ」
「は?」

どうして、かな。
初対面の相手にこんなにも積極的になったのは。

きっと、ボクが彼と一緒だからだ。

姉さんがいなくなってたった一人になってしまったボクと同じだったから。


「んー…じゃあ…」
「いや、お前な…。別にいいって…」

「あっ、じゃあさ


クレア!クレアってどう?」

「急になんだよ…」

彼は心底うざつんたそうにしていたが、ボクは構わず続けた。

「昔、本で読んだんだけど“始まり”とか“創造”って意味を表すんだよ。まぁ正確な語源は“creation”からだけどね。」

「クレア、か」
「うん。あ、別に気に入らなかったら別にいいけど…」

「いや、いい。もらっとく」
「そう!じゃ、クレアね」

クレアが少しだけ笑った気がした。

「あー、眠たい…。今日はここで寝なきゃ…。そうだ、クレア」

「…あ?どうした」


「…やっぱ何でもない。おやすみっ」

「…?おう」













ーボクは、君を助けられるかなぁ





ーー*ーーーーーー*ーーーーーー*ーーー
ヌル(シルヴァディ)はアルセウスの派生ポケ?みたいな感じなのでその意味も込めてクレアという名前にしました。

メスっぽいけどまぁいいや。

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2017.3.16  16:37:38    公開
2017.3.28  23:11:21    修正


■  コメント (6)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

あすぺふさんどうも!トーカです。

ここでタイトル回収です。え?そのまんま?まぁまぁ。

クレアって最初は自分のネーミングセンスを疑ったよ…。何より♀っぽい!なのでカッコイイと言ってもらえて嬉しいです!

これからも頑張りますので宜しくお願いします!それでは!

17.3.28  23:09  -  トーカ@浮上停止  (0914)

平井さん、どうもっす!トーカだよん←

クレアって確かにクレセリアっぽいなぁ…。

もしかしたらクレアはツンデレかもね!!(言われた初めて気が付いた)
性格はまだ定まってないんですよねははは…。

チェリーは大丈夫でしょう(適当)←
それでは!

17.3.28  23:06  -  トーカ@浮上停止  (0914)

LOVE★FAIRYさん、どうも!トーカです。
エーテルパラダイスの実際の構造と少し違うかもしれませんが、そこんとこは妄想でカバーして下さい((
名前は自分でも試行錯誤しました。ですがそれ以外になかなかいいのがなくってですね…。

次回も頑張ります!それでは〜。

17.3.28  23:03  -  トーカ@浮上停止  (0914)

トーカさん、こんにちは! あすぺふです!

ついにタイトルにある「檻」のようなものが出てきましたね!

もう“彼”の正体が分かってんですね! クレアってかっこいいですね! cre`ationは仏語でしたっけ。
英語でもcreationで創造という意味になった気がします。

しかし、エーテルパラダイスにクレアとエリシア以外に誰もいない、というのは奇妙ですね。何かが起こる前触れとかですかね?

次回も楽しみです!

17.3.16  22:32  -     (rev01cni)

ク、クレアだとっ・・・!!私のクレセリアのNNと同じじゃないか!?

てかクレア君ツンデレだったりする?てかツンデレがいい//

チェリーが心配だなぁ、大丈夫かな?

17.3.16  18:52  -  不明(削除済)  (7777777)

エリシアが嵐に巻き込まれて到着したのは、エーテルパラダイスですか。
あと、タイプ:ヌルの呼び名がクレアって、何だか変わってますね……
チェリーはどこへ行っちゃったんでしょうか……

17.3.16  18:33  -  LOVE★FAIRY  (FAIRY)

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