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レスキュー!マホイップ!

著編者 : LOVE★FAIRY

EPISODE1

著 : LOVE★FAIRY

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 2月29日。今から10日前の過去にあたる。
 また、この日は、4年に1度巡り来るとも言われている特別な日――閏日。
 偶然にも私は、閏年にあたるこの日へと時渡りしていた。
「さて、これからどう変えていくべきか……」
 例の『大喰らい』が迫り来るまでのタイムリミットは残り10日と大きく限られている中、見込みのある者が誰一人いなければ、何も始まらない。当然、何の進歩もなければ、10日後にあたる現在と同じ惨状を目の当たりにされかねない。
「要するにこれは、善は急げといったところ……か……」
 そうと決まれば、一刻も早く、見込みのある者を何としても探さなくては。

 ――と、その前に、この島についてもっと詳しく説明せねばならない。
 今回私が訪れる舞台となる島は、別名『マホイップの楽園』とも呼ばれているおかしな島、クリーム島。
 その名の通り、スイーツ好きな者達にとっては最もうってつけの島でもある。
 だが、しかし、この島は10日後――現在にあたる3月10日には別名『大喰らい』と呼ばれし者が訪れる。
 噂によると、彼奴の胃袋は人間よりも数百倍あるらしく、食欲も凄まじく旺盛らしい。
 その為、早いこと10日以内に『大喰らい』に対処できる術が何一つなければ、この島はやがて廃墟と化される。
 だが、手がない訳ではない。彼奴に対する唯一の対処法はこの島の住人であるクリームポケモン、マホイップ達が鍵を握っている。
 問題は、肝心のマホイップ達をどの辺りで集合させるべきか、だ。
 一応、この島全体の地図をエリア毎に記しておいたところ、集合場所は地図上の中心部にあたるエリア――お菓子の家が一軒建っている広場でほぼ間違いない。
「さてと……そろそろ本格的に動くとしよう……か……」
 このまま何もせずに時間を無駄にする訳にはいかないので、まずは見込みのある者を一人でも二人でもいいから、手っ取り早く探さなくては。
 もちろん、この島の平和を守る為に……

 これからクリーム島全体を巡る事になったものの、見込みのある者はいったい何処にいるのだろうか。できれば、戦力の高い者且つ責任感の強い者が最も望ましい、といったところかな……
 とりあえず、まずはマホイップの集合場所にあたる広場から探し回るとしよう。
「それにしても、この島は何もかもスイーツ盛り沢山だな……」 
 正直、この島はたいそう興味深いけれど、タイムリミットがかかっているとなると、いつまでも悠長な事ではいられない。
 何しろ、こうしている間にも、『大喰らい』と呼ばれし者が時間が経つにつれ、刻一刻この島に迫りつつあるのだから。
「ん?確かあのポケモンは……」
 色々呟くその時、お菓子の家辺りにて、綿飴のようなポケモン――ペロッパフが通りがかってきた。
 様子をじっくり伺ってみたところ、ペロッパフは早速お菓子の家周りのスイーツを食べ始めた。
「おいしーい!」
 この島にもうじき大いなる危機が迎えようとしているのにも関わらず、呑気にスイーツをあれこれ食べ尽くしているペロッパフの幸せそうな表情は、見ている私も羨ましく思っている。
 甘いものが何よりも大好物なペロッパフの食べっぷりは流石に『大喰らい』程とは言わないが、もしもこのままずっと食べ尽くせば、この島中のスイーツはもちろん、この島の住人であるマホイップ達もいずれペロッパフのような食べしん坊共に全滅されかねない。
「もう、食べられないよ……」
 今日は幸いにもこの辺で済んで良かったものの、もしもこの島のスイーツが全部無くなった場合、ペロッパフはそのうち酷く不機嫌になる可能性も決してゼロではない。

「ん?」
 その時、また何やら変わったポケモンがまた1匹、ペロッパフのいるお菓子の家を訪れて来た。
「確か、あのポケモンは……」
 そう、ペロッパフの前に姿を現したポケモンは、いつもお腹を空かせている二面ポケモン、モルペコでほぼ間違いない。
「お腹空いた……」
 様子をじっくり伺ってみたところ、今のモルペコの体色は満腹模様にあたる黄色であるのにも関わらず、隣にいるペロッパフに少しずつ近寄っては、何か食べ物を求めている様子が見られる。
 しかし、ここいら一帯のスイーツは既にペロッパフによって全部食べ尽くされてしまったあまり、モルペコが食べれそうなものは何一つない。
「お腹空いた……お腹空いた……」
 空腹に耐えきれなくてとてもイライラしているせいか、モルペコの体色は見る見る紫色へなりかかってきている。という事は……
「お腹空いたって何度も言ってるのに、お前分からんのかー!!」
 思った通りだ。モルペコの体色が紫色――腹ペコ模様へと変化した途端、態度も急に凶暴化し出した。
「うわーっ!!」
 急変したモルペコの姿を見て驚いたペロッパフは目が飛び出る程とても狼狽えた。
「うわー!うわー!うわー!」
 お腹が満たされるまで、悪の限りを尽くすモルペコから必死に逃げ続けるペロッパフ。
「待て!待て!待て!」
 そして、そのペロッパフを執拗に追いかけ続けるモルペコ。
 ある意味似たり寄ったりな2匹の組み合わせはまるで、鬼ごっこで遊んでいる程、実に面白味がありそうだ。
「逃がさんぞ!綿飴!!」
 一気に決着を着ける気満々なのか、モルペコは“オーラぐるま”で更に加速し始めてきた。
「う、うわああ〜〜っ!!!」
 “オーラぐるま”で大きく加速したモルペコの凄まじい速さは、ひたすら逃げ続けるペロッパフを徐々に追い詰める。
「誰か、助けて〜〜!!!」
 モルペコに追い詰められ、もはや絶体絶命の身となったペロッパフは遂に大声で助けを求めた。

「ん?何だあれは!?」
 ペロッパフがもうじきモルペコに追い詰められそうなその時、どこからともなくクリームが彼らの前に数発降りかかってきた。
「ガバッ!」
 数発降りかかってきたクリームは、見事モルペコの口に入った。
「う、うまい……実に旨すぎる……」
 クリームを食べてとても満足そうな顔をし出したモルペコは再び元の姿へと戻った。
「もう、食べられないよ……」
 そして、あれから数秒後、モルペコはとうとう眠り始めた。
「おいしーい!」
 モルペコがさっき食べ残したクリームをペロッパフも食べてみたところ、急にとても幸せそうな顔をし出した。
「何だか、眠たくなってきたかも……」
 先に眠っているモルペコ同様、クリームを食べてとても幸せそうな顔をし出したペロッパフもとうとう眠り始めた。
 それにしても、この不思議なクリームはいったい誰が作ったのだろうか。
 第一に考えられるとしたら、やはり、マホイップが作ったクリームではないかと思われる。
 何しろ、マホイップが作ったクリームにはコクのある甘味がある他、鎮静作用も含まれているのだから。
「う〜む……」
 しかし、今の飛び散り様から分かるからに、これは間違いなく、マホイップに何らかの危機が迫り来るメッセージ――だとしたらこれは、例の『大喰らい』仲間の仕業に違いない。
 時は一刻争う事になるだろうけど、残り10日以内に『大喰らい』がこの島に迫り来る前に、バニラシティの外れに聳え立つ塔にて幽閉されているマホイップをいち早く救出しなければ、予定通りになりかねない。
 何しろ、この島の未来を救える鍵を大きく握るのは、他ならぬマホイップ達なのだから……

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2020.10.16  20:43:19    公開


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