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ポケモン不思議のダンジョン〜光の医療団〜

著編者 : Cynothoglys

番外編〜必要〜 俺が踏み出した理由・後編

著 : Cynothoglys

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俺は翼に力を溜めた。
破壊の翼、ブレイブバードだ・・・
「オラァ!」
「ひ、ひぃぃぃ〜〜〜!」
ヤミカラス達の泣きわめく声が辺りにこだまする。
「次ぃ!」
「も、もうやめてくださいお頭!」
「まだだ!俺は、俺は・・・認めんぞ!あんな奴に・・・あんな奴に・・・」
悔しかった。俺は、アイツよりも下であることが納得できてしまったことに・・・
「どうしたぁ!かかってこい!」
「ひぃぃぃぃ、逃げろ、逃げるんだぁ!」
どうしてだ・・・
俺はあの後からずっとこうだ。ただただ戦いを求めている。
もう部下であるヤミカラス達は全員倒した。
それだけじゃない、「ゆうやみのもり」に住むポケモン全員を倒した。
だが・・・それでも、俺は渇くばかりだった。
俺は・・・何がしたい・・・俺は・・・何で満たされるんだ・・・

「と、いうことで・・・また依頼をしてもよろしいでしょうか?」
「ハァ・・・あのドンカラスか。プライド高そうだったからなぁ。」
「あ、それと・・・」
「なにかしら?」
「最近『ゆうやみのもり』に指名手配犯が逃げ込んだらしいです、
 私の家も狙われるかもしれないです・・・だ
 から、できれば指名手配犯も倒してほしいのですが・・・」
「わかりました。引き受けましょう。」

数日が経過した。
もう、「ゆうやみのもり」にヤミカラスは三匹しかいない。
他の奴らは全員逃げた。俺を恐れて。
他にも数人来た探検隊を潰したが・・・
アイツのことを想うと、一向に渇きは収まらない。
それどころか、どんどんどんどん、渇くだけだ。
「親分、今日は・・」
「なんで、お前らは逃げない?」
「え・・・?」
「他の奴らは逃げた。俺を恐れて、俺を蔑んで。
 それなのにどうして、お前達は俺に近寄る?」
「・・・だって、どうなったって親分は親分だから。」
「・・・!」
何だ?俺は今、何を感じた?
なんだというのだ・・・俺はなぜ、こいつから、ヤミカラスから光を感じた?
「親分!親分!」
「・・・なんだ?」
「大変です!またあのサーナイトが来てます!」
「何!?どこだ!」
「こっちです!」
俺はヤミカラスに導かれるまま、森の入口付近に行った。
「貴様・・・!」
「お久しぶりね。随分荒れてるようじゃない?」
「何をしに来た!また、俺を・・・俺を消そうと言うのか!?」
「まぁ・・・平たく言えばそうかもね。最近この森のポケモンたちが
 逃げるように近隣の村に来るって苦情がわんさかあるの。
 そしてドンカラスの鳴き声が夜中ずっと響き渡ってるって。
 みんな迷惑してるの、やめてくれないかしら?」
「やいやい!親分になんて口のきき方するんだ!」
「・・・そういえば飛んでいるヤミカラスも数が少ないわね。」
「それはただ怖気づいて逃げただけだ!」
「そこの親分さんの配下が嫌になっただけじゃなくて?」
「そんなわけない!親分は・・・俺達の親分は・・・ング!」
俺はヤミカラスの口を押さえてた。ほぼ、無意識に。
「親分!」
「もう、何も言うな。」
全く、だ。全くその通りだ。
なんでだ・・・なんでお前らは、俺のことを信用する?
俺のやってきたことを見ただろう?俺は自分の渇きを潤すためだけに
お前らに手をかけた。それどころか森自体をも敵に回した。
それなのに・・・・なんでなんだ?
「いい部下を持ってるじゃない?」
「黙れ・・・」
「その部下、大切にしなさい。」
そう言って、奴は森の奥地に去ろうとした。
「待て!狙いは俺じゃないのか!」
「あなたもそうだけど・・・ただ最近ここに指名手配犯が来ているって噂があってね。
 それの調査も今回の私の任務なの。」
奴は去って行った。

「親分・・・」
「・・・」
「俺は・・・親分が好きですぜ。」
「・・・」
「だって、かっこいいし、強ぇし・・・
 それに、俺達の為にも戦ってくれるじゃないですか。」
「・・・!」
俺は、自分では支配者のつもりだった。
ヤミカラス達を従え、俺の足元に置き、俺自身の地位を高めてきた。
自分のことしか考えていなかった。
だが・・・それは・・・勘違いだったらしいな。
「・・・おい。」
「へい!」
「・・・お前に一つ聞きたい。」
「へ、へい。私に答えられる質問ならば。」
「・・・お前は、大切なものが短い月日で壊れると聞かされたら、
 お前自身はどうするんだ?」
「は、はぁ・・・私なら、その月日のうちに壊さないように努力をする・・・ですね。」
「・・・ありがとよ。」
「は、はい!お褒めにあずかり光栄です!」
「・・・ちょっと、行ってくる。俺の大切なもんを、壊さねぇようにな。」
「は!行ってらっしゃいませ!」
あいつは深く頭を下げた。
本当は、頭を下げるべきなのは俺なんだがな・・・

「ぐっ・・・!」
「どうしたぁ!そんな実力でこのレントラー様を捕まえるってんのか?
 きつい冗談だ、笑いも出やしねぇ。とっとと帰んな。」
「なんで・・・なによこの電撃の威力・・・」
「こいつさ。」
「じ、じしゃく!?」
「こいつのおかげで、俺の電撃は威力が向上している!
 この威力でお前を焼き払ってやる!」
「このままじゃ・・・」
「死にやがれ!」
「ふん!」
俺は、レントラーの「ほうでん」を薙ぎ払った。
「な、ドンカラスだとぉ?なんで、なんでそんな奴に俺の電撃が防がれるんだ!?」
「あなたは・・・」
「これは俺の・・・俺の持っている秘宝。『グランドガード』
 でんきタイプの技を無効化させる能力がある。」
「なっ・・・俺の電撃が無効だとぉ!?」
「闇に交じり、隙を突く・・・」
「あぁん!?どこいったぁ!」
「つじぎり。」
俺の黒き斬撃はレントラーを引き裂き、レントラーは倒れた。
「・・・ありがとう。」
「例なんざいらねぇ!俺は、俺の渇きを、俺自身の渇きを潤したかっただけだ!」
「・・・ねぇ。」
「・・・なんだ?」
「一度は断ったけど、今のあなたなら頼めるわ。私の仲間になって。」
「な、何言ってやがる!?」
「お願い、私の力はまだまだ未熟。その容赦ない心と強い攻撃能力。
 それが他のポケモンたちを助ける力になるの!いいかしら?」
「・・・」
沈黙が場を支配した。
いや、この沈黙は俺が意図してつくったものだ。
もう俺の心は決まっていた。
「このならず者でよければ、力を貸そう。それでいいか?」
「・・・ありがとう。」
その時のコイツの笑顔は、輝いて見えた。
俺にはまぶしく、遠く、あい慣れない光・・・
俺がこの光を受け入れる日は・・・いつのことなのか・・・

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2012.5.3  22:00:48    公開
2012.5.6  10:10:31    修正


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