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ホウエン地方、トクサネシティ宇宙センター―

「その資料は１０６棚の３段目の右から６番目の所に入れてください」
「はい」

アタシはパソコンに資料で得たデータを保存しながら助手の女性１人に言った。
助手は返事をして資料を直していく。

「瑠那さん、本当に願い星に会わないんですか？」
「…」
「イテッ」

助手の言葉に呆れて、ペンを助手のでこにぶつけた。助手は少し痛そうにでこを抑える。

「いいですか？星のずーっと上は宇宙です。願い星なんて居る訳がないでしょう」
「でも、昔は夢だったんですよね？願い星に会うのが」
「昔の話です。それに、星は隕石の燃えカスです。所謂、宇宙が出した『ゴミ』なんですよ」
「うわ…凄い言い方ですね…」

アタシはペンの先を助手に向けて講義する。助手は苦笑いして言った。
…アタシは１７歳の時から７年、宇宙センターで宇宙を調べている。

「ふぅ…瑠那さんにも夢みる乙女って言う時代があったなんて思いもしませんよ」
「無駄口叩いて居ないで仕事続けますよ」

アタシはそう言って資料の山を助手に手渡した。
助手は重たそうに腰を低くして運んで行く。
…たまには運動もしなければね？
それから数時間。同じ作業を繰り返していた。その時はもう夜で、宇宙センターにある自分の部屋に戻った。

「…さて」

いつものお約束が始まる。
星の観察だ。毎日、望遠鏡で覗いてノートにまとめているのだ。
これが結構楽しくてはまってしまう。

（瑠那さん、本当に願い星に会わないんですか？）
（でも、昔は夢だったんですよね？願い星に会うのが）

…くだらない。
ふと助手の言葉が脳裏によぎる。アタシはそれを振り払い、観察に集中した。
…あ、流れ星…

「…流れ星とはまた珍しいですね」

アタシはそれをすかさずノートに書き留めた。
…流れ星で願いがかなう…と言いますが…

「ありませんか…でもまぁ、見れた事がラッキーなんでしょうね」

私はフッと微笑み、夜空を見上げた。
満天の夜空が向こうの空まで続いている。…不思議なものだ。
人は輝く物を見ると美しいと思ってしまう。…例えそれが燃えカスであろうが。

「…人の心理についても調べてみましょうか…」

アタシは段々興味がわき、ニヤけてしまう。
…科学って素晴らしい！
改めてアタシはそう感じる。
そして、そのドキドキのせいか、今晩は中々寝付ける事が出来なかった―