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【企画】百恋一首 〜百の短編恋物語〜

著編者 : 絢音 + 全てのライター

四十七番 嫌いになるくらい知りたい

著 : まさる

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私の名前はカエデ。
告白実行委員会の委員長。
私の隣の席のイーブイはツカサ君。
この学校で唯一私と同じイーブイだからちょっと気になってたんだけど、
彼はいじめ対策委員会の委員長で創設者みたいなもん。
私とは考えもやってることも全然違う。
それに私、別にそういうこと興味ないから。
それから、私、彼のこと全然知らないから、
彼のことよく知っても好きでいる自信がない。

「その人を振り向かせたいなら、
まず、自分がその人をもっと好きになりなさい。
それには、まず、その人を知ること。
嫌いになるくらいにね!」

元委員長の先輩に言われたことだ。
でも、彼にそんなに夢中になっている訳ではない。
さっきも言ったけど、
どうでもいいんだ。
そんなこと…

そんなことを考えながら私は下駄箱から靴を取り出そうとした。
すると、手紙が入っていた。
「告白実行委員会委員長様へ」と、宛名が書いている。

『お、久しぶりの依頼だ。』

「告白実行委員会委員長様へ

私は密かに思い続けている人がいます。
それは、いじめ対策委員会委員長のツカサ君です。
どうか私の恋を叶えてください…」

私は驚いた。
今の文にではない。
差出人の名前を見てだ。

「…アヤカより(笑)」



『ふざけないでよアヤカ!』

私は翌日アヤカに言った。

『ハハハ!ドキドキして眠れなかったよ!』

アヤカは何故か知らないが私がツカサ君のことが好きなのを知っているのだ。

『もう!だから、あれはアヤカの勘違いだって言ってるでしょ!』

『もう、向きになって…
冗談に決まってるじゃん!』

『そんなのわかってるわよ!
もう、二度とこんなことしないでよ!
久しぶりの依頼だって期待しちゃったじゃない。』

『ゴメンゴメン。ハハハ!』

『(怒)』



〜少し離れたところで〜

『うるさ!
あいつら何騒いでるの?』

『さぁ…』

『それより、校長鬘盗難事件の犯人探しはどうするの?』

『そもそもなんで俺達がこんなことしなきゃいけねーんだよ。』

『校長が鬘を盗むなんていじめだ!って言うから。
俺達、そんなに暇じゃないって言ったら、
解散させるぞ!って脅してきたから仕方ないよ。』

『いじめてるのはどっちだよ…』

彼らはいじめ対策委員会のメンバーだ。
話し合いの結果、放っておくということにしたらしい。
そして、委員長が本題に切り出した。

『ブラッキーのツトムが最近調子に乗っている。
今朝も校長室に呼び出されてた奴だ。
ああいうやつはいじめを始める。
や、もう、少し始めている。
いじめにあってるのはスバメのツバサ君。
いじめになる前に止めろ。
いいな。』

『『『はい。』』』



『あの…』

『?』

カエデは帰りに一匹のスバメに声をかけられた。

『あ、ツバサ君。
どうしたの?』

『その……〜〜〜〜〜』

『そう。わかった。
任せて!』

『ありがとうございます。』

ツバサが居なくなるとアヤカがやって来た。

『何浮気してるの。』

『(怒)』

『(怖)』

『それより、久しぶりに仕事よ。』

『本当!』

『うん。
でも、なんか気になるのよね。』

『何?』

『あの子に頼まれたんだけどさ。
ツカサ君がずっとその子の跡をつけてるの。』

『へ、へぇ、よく見てるじゃない。
カエデはどっちを見てたの?』

『(怒)』

『(汗)』


ツバサは裏路地に入っていったので俺は気付かれないように跡をつけた。
しばらく、行くと少し広いところに出た。
ツバサは腕時計を見た。
誰かを待っているようだ。
すると、突然肩を叩かれた。

『!』

『なぁ〜にしてるの?』

カエデだった。

『何だよおどかすな。』

『驚くようなことしてたの?』

『告白実行委員会委員長には関係ありません。』

『そうですか。いじめ対策委員会委員長さん。』

『黙れ!』

ツカサはカエデの口を塞いだ。

『何するのよ!』

『静かに!』

そう言ってツカサは奥の方を見た。
私も覗いてみると、ツバサとツトムが居た。

『ちゃんと用意したよな。』

『あぁ。』

そう言ってツバサはツトムに茶封筒を渡した。

『何あれ?』

『大体予想つくだろ。』

『まぁね。
で、どうするの?』

『お前を巻き込むわけにはいかない。
帰れ。』

『やだ、一緒に居たい。』

冗談めかして、カエデは言う。

『ふざけるな。』



『貴様がこんなこと出来るのも今日までだ。
今の内に天国を満喫するんだな。』

『そんなこと言ったところで何も変わらねーよ。』

『確かにそうだな。
でも、変えるのは口じゃない。』

ツバサはナイフを取り出した。

『まずい!』

ツカサはツバサからナイフを取り上げた。

『お前こんなことやっていいと思ってるのか!』

ツバサはツカサを見て笑い出した。

『ハハハ!バカじゃないの!来てると思ってたよ。
それ、引っ込むやつだから。
おもちゃのナイフ!
ハハハ!』

別人みたい…

『何だよお前ら。
何でここにいるんだよ。』

と、ツトム。

『あんたが調子乗ってるからな。
こいつの跡をつけてたんだよ。』

と、ツカサ。

『どういうことよ!これ!
何がどうなってるの?!』

と、私。

『何であんたも居るの?
あ、こいつに付いてきたんだ。』

と、ツバサ。

『あんたにもね!』

『で、お前はここで何してたんだ?!
あの、茶封筒は何だ?!』

と、ツカサ。

『見たいか?』

ツバサはツトムから茶封筒を奪い取ってツカサに渡した。
中から鬘が出てきた。

『『は?!』』

『ツトムが校長に仕返ししたいって言うから俺が盗んできてやったんだよ。』

と、ツバサ。

『ゴーストタイプに使うギガインパクト級に下らない話だな。』

『お前のギャグの方が下らない。』

『このオチ自体が下らないのよ。』



『な、何?大事な話って。』

『あの…』



『へぇ〜、そうだったのか。』

私は今、ツカサと別れ道まで一緒に帰っている。

『そう。ツバサ君、アヤカのことが好きだったの。
アヤカもそうみたいで、
ツバサ君から依頼があったって言ったら様子がおかしかったからもしかしたらって思って。
アヤカ、人のこと暴けてるけど、自分も暴かれてるよね。』

『人のこと暴けてる?
何だそれ?』

『な、何でもないよ…』

『そう。』

『やっぱり、同じスバメだったからなんとなく意識してたのかな…』

私と同じ…

私達は別れ道まで来た。

『あのさ…』

『何?』

『ツバサ君達の跡をつけてたときの話なんだけどさ。』

『何だ?』

『私、あれ、ふざけて言ったつもりないから。』

ツカサはしばらくの間なんのことだか理解していないようだが、
理解すると少し驚いた表情をした。

『そう。悪いけど俺はふざけてるから。』

『わかってるわよ。じゃあね!』

『じゃあ!』

二人はそれぞれの家に向かって歩き出した。
しかし、カエデは振り返ってツカサを呼んだ。

『ねぇ!』

『何だ?!』

『それじゃあ私、嫌いになってあげるから!
教えてよ!ツカサのこと!
嫌いになるくらい!』

そう。これは、賭けであり、テストである。
嫌いになったらアウト。終わり。
でも私、今、凄く自信がある。

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2017.1.23  00:40:42    公開
2018.12.26  23:10:36    修正


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