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【企画】百恋一首 〜百の短編恋物語〜

著編者 : 絢音 + 全てのライター

二番 また君と、戦いを、そして恋を。

著 : 不明(削除済)

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あーなんか恋なんてここ最近してないなぁ……。


冷たい窓に頬を寄せる。

私は……ポケモントレーナーのリナ。
半年前、家を飛び出し、旅にでた。
相棒のマニューラたちを連れながら、私は今、セッカシティへと来ていた。

私はいつもと違い、朝早く起きてしまった。 活気のないポケモンセンターの宿の中を歩くのにはさすがに勇気がいると思い、窓際でじっとしているのだ。

「恋……かぁ。」

どうして私がこんなことを言っているのかというと、昨日のこと。

やっとの思いで冬のネジ山を超え、セッカシティに着いた時、そこを通りかかる8歳くらいの女の子たちの話が聞こえたのだ。

「ねぇ、……、明日……に告るんでしょ!」
「応援してるよ!」
「う、うん。でも、……くんには別に好きな子がいるんだって。」
「大丈夫だよ!……は可愛いもん!」
「そんなことないよ!!
……でも、頑張ってみる!」

告白する。好きな人がいる。
随分昔のことのように感じた。そもそも私は恋をしたことがあるのかが謎だ。
確かに、旅の途中にバトルの強い人がいて、憧れを抱くことはある。 でも、だからと言って、それは全くもって恋愛感情とは関わりないものばかりだった。
それ以前に、悪統一パで旅をしている私を見て、可愛いなんてちっとも思わないと思う。可愛げのない奴が、誰かに好きになってもらえるわけがないんだから。

「まにゅ」
「あっ、セレーネ。起きちゃった?」
「まにゅぅ……。」

セレーネは首を振る。
ということは、セレーネも起きちゃったのかな。

「ねぇ、セレーネ。」
「まにゅ?」
「好きって気持ち、持ったことある?」
「まにゅうう?!」

ふふっ、いきなりの質問に驚いちゃった?なんかごめんね。
っとはいえ、セレーネだってメスなんだ。好きっていう気持ちを持っててもおかしくないし、持ってなくてもおかしくない。

「まにゅっ」

爪で結露した窓に、絵を描く。

ハートに、バツが描かれてる。

「まだないの?まぁいいの。そういう時だってあるよ。」
「まにゅ?」

ふぅ、気を取り直して今日も頑張るぞ……。
───────────────────────────────────────
というわけで、8番道路に来ている。
ぬかるみの多い地帯。下手すると足を持ってかれちゃう。

「エルケーノ、頑張って!」

なんで沼地にヘルガーなんだよ。とか思われそうだけど、うちのヘルガーがそんじょそこらとは違う。 迅速なのだ。だから大丈夫。

「ガゥゥ!!」

杭を飛び越え、すいっすいっとテンポよく前へ前へと進んでく。これくらいのぬかるみは大したことないよ。
「ねっエルケーノ!」
「ガゥゥ!!」

その勢いでシリンダーブリッジの手前まで着いた。

「いゃあ、8番道路は楽勝だったね!」
「ガゥゥ!」
「この調子で、ソウリュウシティへ直行よ!」
「ガゥゥゥウ!!」

とは言ったものの、私が見た光景は入り口が空いているのではなく、ぎゅうぎゅうに人が詰まっていて通り抜けが非常に面倒くさくなっていた。

「なに……これ。」

雑踏やざわめきが辺りを埋め尽くし、トレーナーに対しての害となっている。非っ常に困った事態だ。ここまでせっかく簡単に切り抜けてきたってのに、セッカシティに戻されたらまた面倒臭い。 しかも不運に雨まで降り出している。はぁ……もうサイアク。
ここは勇気を出して何があるか聞いてみよう。

「えっとぉ……何があったんですか?」
「ふぇっ?!なに?!」
「な、に、が、あ、っ、た、ん、で、す、か、!!!」
「ああ!!!それね!!!今ね!!!橋の上にね!!!変な霊が出てるんだってさ!!!だからねぇ!!!少年がねぇ!!!退治しようとしてるんだけどねぇ!!!うまくいかなくて!!!」
「ありがとうございます!!!!」

人混みに列車の音が重なり、余計に何が何だかわからなくなる。
一旦人の少ないところに避難。のちにポケモン回収。

「すいませぇーーーーん!!!通してくださぁーーーーい!!!」

私に向けられた視線とともに、人が通れそうな道が開く。そのを狙って……ダッシュ!!

異臭が漂ってたところをくぐり抜け、なんとか雨の匂いのするところまでたどり着く。そこには少年と、ポケモンが何かに向かって技を出していた。

「サーナイト!シャドーボール!!エーフィ、シグナルビーム!エルレイド、辻斬り!」

目にした光景。
それはエスパータイプたちがヨノワールにひたすら攻撃していたのだ。

ゴースト→エスパー
コウカハバツグンダ!

かつて教わったこの表示を思い出す。

ゴーストタイプ一致のいないあの手持ちでは、ヨノワールを相手にするのはキツすぎる!

「援護します!!!」

手持ちの悪タイプをずらりと並べ、 援護に入った。

「セレーネ、辻斬り!エルケーノ、悪の波動!テネブレ、龍の波動!デア、バークアウト!キリシタ、守る!ソル、噛み砕く!!!」

マニューラ、ヘルガー、サザンドラ、ゾロアーク、ミカルゲ、ズルズキンの順に技を命令する。

一方、ヨノワールの方は苦しみだした。
技がヒットしてく。これならなんとかなる!!

「オマエヲ……ケス……。イマニコウカイシロ……。」

?!
ヨノワールの腹が……

「サーナイト!全力で女の子を守るんだ!!!!」







───────────────────────────────────────








………いつつ……何があったんだろう。
ふかふかのベッドの上に、私は横になっている。
無機質な白い天井が、目線の先にあった。全く知らない、この空間。

「はっ!!!」
「大丈夫。僕は変な人じゃないから。
セッカシティは寒いからね。スープを持ってきたよ。」

ああ、ついさっき、ヨノワールの攻撃を……。

「……ありがとう。」

さっき戦ってた少年だ。
私よりも背が高い……のかな。

戦ってた時とは違う、優しい目をしている。お世辞でもなんでもないし、何かを隠しているような感じでもない。素で、この性格なのがよくわかる。
そして、なんだろう、この暖かい感じ。

あっ、セレーネたちは……。

「あっ、マニューラたちは回復したよ。ほら!」
「まにゅ!!!」
「セレーネ!」
「そうだ。君の名前、聞いてなかったね。僕はセレン!」
「私はリナよ。
あっ……。」

よくよく考えたら、この部屋は私のを除けばみんなエスパータイプのポケモンたちだ。

「あなたは……エスパータイプエキスパート?」
「エキスパートってわけじゃないけど、エスパーで育ったからね。手持ちみんなエスパーなんだ。」

みんな、目の前に天敵の悪タイプがいるにも関わらず、セレンと同じように優しい目をしている。

「……私、悪タイプエキスパート。」

こんなこと言ったら嫌われるに決まってる。でも、いいの。私は昔からそういう運命なんだから。

「そっかぁ、じゃあ真反対だね!」

鳥がさえずるように、花が咲くようにセレンは笑った。
セレンは……今まで会った人たちとは違う……。

どうしてだろう。
セレンが花だったら、私が鳥でも虫でも、この花を守りたいと思う。

「どうしたの……?」
「ううん!
あっ、スープごちそうさま!」
「急がなくて大丈夫だよ。 そうだ!君、セッカシティから来てたよね!ソウリュウまで送るよ!」
「いやっ、いいよ!大丈夫!」
「今大雨で。
さっきの手持ちからだと8番道路を通るのはきついんじゃないかな。」
「あ……じゃあお言葉に甘えて。」
「よしっ、傘持ってくるからね!」



悪はエスパーを傷つける。
悪は純粋な心を傷つける。

なら、私は純粋な心を守りたい。

「よしっ行こうか。」

初めて会っただけなのに、ずっといたい、と思う。

「今日もぬかるみはひどいなぁ……。」

気持ちがほっこりする。

「ポケモンリーグ……でるの?」
「うん。」
「じゃあ次会うときはライバルだね!」
「うん……。」
「じゃまたね!」
「うん……!!!」



人はそれを、恋と呼ぶのかもしれない。












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2014.9.28  20:23:01    公開
2014.10.14  09:01:29    修正


■  コメント (5)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

>>夕暮本舗さん
初めまして。こんなものを書いたCaC3です。
ええ、私はそうかな〜と思いまして。なんとなく、「あっ…。」と、気づかぬうちに始まって……と。
こここ心温まる?!
えっと、こ、これからも頑張りますっ!
2人はどうなったんでしょうか……神のみぞ知る……でしょうか。

14.9.29  06:53  -  不明(削除済)  (sksc)

恋は気づかぬうちに始まっているもの、それは友情の延長線からでも、一目惚れでも、ちゃんと輪郭がはっきりしてくるんですね。
心が温まる素敵なお話ですね。二人の将来が気になったりします。

14.9.29  01:55  -  夕暮本舗  (LoL417)

はい、初めまして。CaC3です。

えっ、大丈夫ですか?!よかったぁ……。はいっ、微糖ですね!はい、なんだかわかります←えっ!
そっ、そんなこと言ってもCaC3からは何も出ませんよ〜※照
ええ、ジャンルはバトルでいいですよ!友情とか、そっから発展する恋愛とか好きなもんで←この子やばい
紹介文は絢音様の文章力にお任せします!
またの参加ですか?……いつか来るかもしれませんね←
こちらこそ、乱文失礼しました。

14.9.28  22:40  -  不明(削除済)  (sksc)

初めまして、CaC3さん。この度はご参加頂きありがとうございます。企画者の絢音です。以後お見知りおきを。
全然大丈夫です!ちゃんと恋愛してますよ、糖度としては微糖ってところですかね?まだ淡い恋心がむずむずさせますね←この子危ない…!
ポケモンとの掛け合いがテンポ良くていいと思いました。ポケモン達がとても生き生きと書かれていますね!私はどこか付属品程度にしか出せないので…(恋愛小説とか言う前にポケモン小説としてどうなのw)
これは、ジャンルとしては『バトル』になるんでしょうか…?良ければCaC3さんの考えをお聞きしたいです。目次のところに説明書きしたいので。そこに紹介文も載せようと思っていますので、もし『こう書いて欲しい!』というのがあれば仰って下さい。無ければ私が勝手に書いちゃいます←
素敵な恋ばなありがとうございました!またのご参加お待ちしております。それでは乱文失礼しました。

14.9.28  21:29  -  絢音  (absoul)

あああああ投稿してしまった。
この物語を書いたCaC3です。

大丈夫かな……これ、恋愛かな……企画者の絢音様、こんなものですが大丈夫でしょうか……?

14.9.28  20:24  -  不明(削除済)  (sksc)

 
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