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アクロアイトの鳥籠

著編者 : 森羅

破損記憶X

著 : 森羅

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 昔々のお話です。
 あるところにいた『お嬢様』はあるとき『子供』に昔話を語りました。
 それは、品行方正な夫婦が困難を乗り越えて幸せに暮らすという、とてもありふれたお話です。

 『子供』は『お嬢様』が語るその話に耳を傾けていましたが、いくら考えてもそのお話のどこが良いのかさっぱりわかりません。けれど『お嬢様』は、そんなお話をとても楽しそうに語るのです。優しい声と、蕩けるような笑顔を浮かべて。

「とてもとても素敵でしょう?」

 そう問われれば、それに答える言葉を『子供』は一つしか持ちませんでした。『子供』は『お嬢様』の遊び相手であり、『子供』の世界は『お嬢様』によって廻っていたのですから。
 『お嬢様』を見上げ、答える『子供』の頭を『お嬢様』は微笑みながら撫でました。その手がくすぐったくて、幸せで、『子供』は『お嬢様』が言うのだからその話はきっととても素晴らしいものなのだろうと思ったのでした。

 『お嬢様』は最後まで“どうしてこの物語が好きなのか”その理由を『子供』に教えませんでした。

   *

 昔々のお話です。
 あるところにいた『従者』はあるとき『子供』から昔話を聞かされました。
 それは、働き者で仲の良かった夫婦が困難にも負けず幸せになるという、どこにでもありそうなお話です。

 『子供』は静かに拝聴する『従者』に対して嬉しそうに物語を語ります。とてもとても素敵なお話だと、そう声を弾ませ、口元を緩めて。けれど、『従者』は相槌を打ちながら、心の中で困った顔をするしかありません。『子供』のいうほどそのお話は素敵なものには思えなかったからです。

「ええ、とても素敵ですね」

 それでも『子供』から相槌を求められれば、それに対する『従者』の選択肢は一つだけでした。『子供』は『従者』の主人であり、『子供』の世界は『従者』を必要としていたのですから。
 肯定する『従者』を見ながら無邪気に笑う『子供』に、『従者』は頬を緩めました。『従者』が笑ってくれるのが嬉しくて、幸せで、『子供』はこの物語のようにきっといつか誰もが幸福になれるのだろうと思ったのでした。

 『従者』は最後まで“この物語のどこが良いかわからない”という真実を『子供』には言いませんでした。

***
5‐4 に関して。
こんばんは、あるいはこんにちは。
5-4に関してなのですが、実はミスが見つかりまして、大変申し訳ない話なのですが初稿から大幅に変更を加えている部分がございます。本当に申し訳ございません。
公開時の「2014.8.13 23:22:32」から翌日の午前六時ごろまで(申し訳ありません、こちらでも正確な訂正時刻を覚えていないのです)に5-4を読んでくださった方がいらっしゃいましたら、改稿されている確率が非常に高いです。ご留意くださいませ。
大変失礼いたしました。ここまで読んでくださり、有難うございます。

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2014.8.16  22:42:13    公開
2014.8.16  23:08:40    修正


■  コメント (2)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

コメント有難うございます!! 絢音さん!
改めまして、お初にお目にかかります。森羅と申します。
おお、本当ですか!! 読んで頂き本当にありがとうございますm(_)m いえいえ、コメントは本当に、なんなら踊り出すレベルで嬉しいですので、図々しいなんて仰らないでください。
美しい、読み惚れるだなんてそんな……勿体ないお言葉です、有難うございます……!! 精進しますm(__)m 
言葉のチョイスや使い方が上手い、ですか。ありがとうございます! ですが、そんなべた褒めして頂いても、残念ながらなにもお返しできませんよ(笑) 
大勢のキャラをそれぞれきっちり動かすのがどうも苦手と言いますか、(僕の力不足以外の何物でもないのですが)出来ないので小数キャラで勘弁して頂いています(苦笑)。少しでも彼らが上手く動いてくれていることを願うばかりですが、「キャラがしっかりしている」とのお言葉で少し安堵しております。ありがとうございます。
おお、ラウファがお好きですか! 特定のキャラに愛着を持っていただくのははやりとても嬉しいです、ありがとうございますっ!! 彼は天然というよりは頭のネジが足りないだけだとは思いますが、もしよければこれからも好いてやってくださいませ。ラプラス姉妹の出番もそろそろ増やしたいのですが、いかんせんタイミングがなくてですね……。出番が少ないのに好きだと言ってくださってありがとうございます。
亀の歩みのようなペースですが更新頑張ります、もし宜しければこれからの彼らの旅にもお付き合いいただければ幸いです。
「ありがとうございます」の連発のようなコメント返信になってしまって大変申し訳ありません。ですがもう本当に、コメントを頂けると言うのはありがたいものでして……。本当にありがとうございます。
それでは、失礼を。

14.9.27  16:59  -  森羅  (tokeisou)

初めまして、絢音と申します。
実は前々から少しずつ読ませて頂いてまして、やっとここまで読みきれたので、その喜びから図々しくコメントしています←
森羅さんの書く文章はとても美しいと思います。いろいろとはっとさせられる表現があって、見惚れると言いますか、読み惚れてしまいます。特に背景描写が綺麗で「こんな言い回しするのか」と感心してしまいます。
言葉のチョイスや使い方が上手くてもう、なんと言葉にしたらいいのか…私にも森羅さんのような文章力があれば良かったのですが…。
登場人物も少ない分、一人一人のキャラがしっかりしていて良いと思います。私は天然なラウファが好きですかね…あ、でもアシェルもラプラス姉妹も好きです。
先の見えない物語展開とどこか人間離れした二人の関係が惹き付けて止まないです。これからも更新頑張って下さい。
それでは乱文失礼しました。

14.9.27  10:42  -  絢音  (absoul)

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